ヴェルディサポの関東大学リーグ観戦記~Part2~

今回は番外編の関東大学リーグ第6節・中央大学vs筑波大学のマッチレビューを書いていきたいと思います。今回は試合の見直しをしていないため、選手の動き、配置などに間違いがある可能性がありますのでご了承ください。(最大限試合の動きには近づけます)また、このレビューを読んでもらい関東大学リーグにとどまらず、大学サッカーに興味を持っていただけると幸いです。
それでは、試合を振り返りたいと思います。

関東大学リーグ1部第6節 中央大学vs筑波大学 
@AGFフィールド 13:00KO
前半0-0/後半0-0 合計0-0

両チームスターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓

筑波大学の攻撃・中央大学の守備

筑波の前半から後半途中の攻撃陣形は下図である。

筑波は攻撃時3-1-6のような形。10番がCB間落ちし3-1のダイヤモンド型のビルドアップ。おそらく筑波のファーストチョイスは絞った2SHとOH、CFの4枚への楔。基本的には15番と19番の2人が中央大学の中盤5枚の選手の間に落ち、ボールを受ける。この選手に気を取られる中大WGは幅を取っている筑波SBのマークも頭に入れておかなければならず、前半は筑波が楔からPA脇のスペースという流れでチャンスをいくつも創出していた。また前線の中大31番は筑波ビルドアップの頂点に当たる6番をカバーシャドウしながらの守備で制限したいものの、中大中盤の選手は上述したようにその場から離れられない。もし仮に出て行っても筑波のもつ逃げ道の数が多く、1度リトリートしてしまうと前には出ていけないように見えた。なのでビルドアップの阻害という意味ではほぼできていなかったと考えられる。

中大の想定としては前からプレスに行くことを考えていたようだ。それは4-5-1によるポジティブトランジションの脆弱性だ。1トップのため基本的にポジティブトランジションでのパワーが足らず、CFの選手が囲まれボールロストしてしまうシーンが増えてしまうからだ。実際この試合でも何度も筑波のネガティブトランジションのスピードも相まって、ボールをすぐに奪われるシーンが多かった。しかし後半に筑波の前プレの強度が落ちてボール保持の時間が増えたことも考えると、結果オーライな部分も少しはあったかなと考える。

後半は筑波が18番と15番に替えて、9番と11番を投入。ここから中盤省略形の攻撃が増え、トランジションの回数が増えオープンなゲーム展開となった。こうなると両チーム個人の質が高いため中大にも筑波にもかなりチャンスの数が増えた。しかし両チームともにディフェンスの粘り強さとGKのセービングにより、得点は生まれなかった。

また注目していた三笘は今まで見ていた通り、大学リーグの域を超えていた。インサイド気味に位置取っても、アウトサイドレーンで受けても仕事ができる選手は戦術兵器としてとても貴重。筑波という強豪でも戦術三笘を採用しているのには納得できた。また右サイドはSB大外、SHインサイドが遵守されていたが、左サイドのSBは三笘に合わせてレーンを変更しながらプレーしていた。

中央大学の攻撃・筑波大学の守備

中央大学の前半に見せていた攻撃は以下の2つの図。

まず前半は中央大学にボール保持の時間は多くなかった。先ほど述べたようにポジティブトランジションのパワーという課題が付きまとったためである。上図は何度か現れた形。DHの5番がCB間落ち、IHが相手中盤の前まで落ちてくる3-4-3のような形。しかし筑波の前プレにハマり蹴らされることが多かった。またターゲットの前線3枚はハーフスペース間に圧縮するも横並びであることや、IHが降りている弊害として間延びしセカンドボールを筑波に拾われるシーンが多かった。実際、ビルドアップにコストがかかっているのに、ポジショニングが悪いがために全体的なマイナス効果を生んでいた。

2つ目の形として、SBにボールが入ることも何度かあった。しかし最初のポジショニングは1つ目の攻撃の図の位置なので、SBに逃がせても選手の距離感が悪く、前進するシーンはあまり多くなかった。

後半からは筑波の前プレが弱まり、ボール保持の時間帯がかなり増えた。また前半からの変化としては、右サイドが大久保のアウトサイドレーンとハーフスペースに荒木の配置変更があった。この筑波のプレス強度の低下によって、大久保や加藤のボールに触れる時間が増え、筑波の空中戦移行まではチャンス数、ボール保持時間ともに多かった。この後の流れは前述したように、オープンな展開となった。

中央大学の攻撃の核は、紛れもなく大久保と加藤の2人である。筑波のは三笘へのボールを預けるルートがはっきりしていたが、中大にはそれが足りなかったように思う。相手の4-4-2ブロックにハマってしまい、思うように2人にボールを預けられなかったうえ、預けたとしてもその流れに再現性が見られないのは2人の武器を持っているのでもっとこだわってもいいののかなと感じた。

※追記:三苫へのルートについて
2つあり、前線の4枚として振る舞って少し落ちて縦パスをハーフスペースで受けるパターン。そして右サイドでボールを回してから空いた左アウトサイドレーンで受けるパターンの2つ。内でも外でも確実に仕事をしていた。

まとめ

この試合、観客も多く、タレント揃いの2チームであったことも相まってとても盛り上がった試合となった。スコアは0-0のスコアレスドローとなったものの、とても充実した内容であった。互いに個人の質は高いためオープンな展開は避けたい試合のなかで最終的には筑波のアクションでオープンな展開になり、お互いに勝ちを本気で取りにいった上での試合だったのでとても見ごたえがあった。

マッチレビューいかがだったでしょうか。この記事を機に大学リーグに興味を持っていただければ幸いです。近年とてもレベルが上がっているので、ぜひ足を運んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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