プレビューサムネイル_vsモンテディオ山形_

相手を翻弄しながらもドロー。フィニッシュワークに課題有り。〈山形戦レビュー〉

試合情報

J2リーグ第28節 東京ヴェルディvsモンテディオ山形 @味の素スタジアム 19:00KO 前半0-0/後半0-0 合計0-0
〈得点者〉
【東京V】
なし
【山形】
なし
〈交代〉
【東京V】
68分:小池→端戸
86分:河野→井上
89分:佐藤→澤井
【山形】
64分:ジェフェルソン・バイアーノ→高木
75分:大槻→坂元
82分:半田→柳

スターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓

お互いに悔しいドロー

今節はフィニッシュワークに難ありのゲームとなった。ポケットまでは侵入する場面が多かったものの、そこでいい状態で受けられる攻撃が少なく上手くフィニッシュに繋げられなかった。対する山形はカウンターでの狙いをしっかりとっ実現させ、シュートも多く放ち効率的にゴールに迫る展開。後半の途中からはペースをつかみ、チャンスを作るもこちらは決定機をモノにできずドローとなった。
ヴェルディは前節終盤の優平アンカーを継続。理仁が右SB、河野が右WGで先発。久しぶりの先発となった。
対する山形は前節からメンバー変更なし。前節は新潟に2-0とクリーンシートで勝利しているため当然の采配といえるだろう。
それではいつもどおり攻撃と守備の2局面に分けて振り返りたいと思う。

攻撃

今節のビルドアップの形は下図である。

想定通り山形は前からのプレスを敢行。2枚のIHがCBへプレスし、バイアーノがGKにプレス。そこから順次前に当てはめていくスタイルのプレッシングとなった。しかし体力面やこの後の図で紹介する形により、すぐにセットディフェンスに移行するが多くなった。
山形のこの守備にはいくつか欠点がある。1つ目は図のように右サイドからの攻略になったときヴェルディのSBにWBが出ていく必要があることだ。基本的に山形は躊躇なくSBにプレスにきたが何度か河野に繋がれて剥がされたシーンもあった。
また2つ目の欠点としてはSBに入った後、少しタイミングを間違えると優平に前を向かれて梶川や森田へパスされたり、優平自身での前進を許してしまうことだ。山形はヴェルディWGの選手にピン留めされた状態なのでディフェンスラインは前に出れずかなり間延びしていた。ここのスペースをもっと使えるとヴェルディは有利に試合を進めれていたかもしれないが、幾度かは使えていたのでビルドアップに関してはそこまで悪くなかったんじゃないかと考える。

そして押し込んでからの図が下図である。

前半の35分まではこのサイドでの工夫によりかなり押し込めていた。また前述した山形が簡単にセットディフェンスに移行した理由としてはヴェルディSBが高い位置を取るため守備時にSH化する山形の選手がそこに引っ張られることが多かったためだ。そのスペースを利用してのCBのドライブが多く見られたのもこの試合の特徴であっただろう。
サイドの工夫の1つ目として右サイドで多く見られたのは森田・河野・山本が旋回しながらポジションチェンジを何度も繰り返して相手を乱すパターンである。上図では森田が下りてそこに山本が入っていく形を示した。この形は何度かあった。しかしなかなかポケットにボールを進めるに至らず、相手のチャンネル攻略への意図はあまり感じられなかった。
サイドの工夫2つ目として上図では左サイドに挙げられているものである。両サイドで何度も見られたのだが、小池・河野の両WGがゴールに向かってのランニングで山形WBを引きつけてアウトサイドレーンを空けてそこにSBが入っていく形だ。これは恐らく事前準備されていたものだと考える。かなり多くの回数再現性を持って動作を確認できた。アウトサイドレーンで持った後はハーフスペースから裏に抜けたりとこちらの工夫はある程度上手くいったと考えていいかと思う。しかしこれもフィニッシュには結びつかず。クロスを人に合わせる余裕はあまり無いように感じられた。この辺りは永井監督が試合後にコメントしたフィニッシュの部分のあと一歩という面だろう。

今節はかなり攻撃に工夫はあったものの、前半35分あたりからのペースダウンや相手を動かす動きの減少、または上図で紹介した形はタイミングがかなり重要なのだが少しずつタイミングが合わなくなり山形に対応されてしまったのは残念ながらところだった。ここは練度を上げていきゴールに近づいていってほしい。

守備

今節では新しく4-4-2の守備を披露した。それが下図である。

河野を前に上げてレアンドロと並ぶタイプの4-4-2だった。しかしこの守備はあまり機能しなかったと言っても過言ではないだろう。
まずこのシステムはコンパクトになるのが基本である。もちろん今節のヴェルディもかなりコンパクトな形を披露していた。しかし相変わらず前からの守備はオーガナイズしていないため、山形のHVにボールを持たれた際にプレッシャーがかからず、多くの選択肢を与えていた。まずは1つ目として、基本的にやられるサイドチェンジだ。コンパクトなためボールサイドに寄るものの、逆サイドのWBには対応できないためサイドチェンジからチャンスを作られたシーンもあった。30分あたりで山田が上図の形から裏に抜けてダイレクトシュートを放った場面が象徴的だろう。オフサイドではあったもののかなりピンチであった。
そして2つ目の欠点としては山形のCHに誰もプレスに行かない場合、フリーで本田や中村にボールを持たれてしまうことだ。これも同様にサイドチェンジはもちろん、楔も簡単に打たせてしまう状態となっていた。
そして3つ目。先ほどとは違いCHにヴェルディのCHがプレスに行く場合である。ヴェルディのバックラインは下りていく山形IHに対応することはしなかったため、プレスをかけたヴェルディCHの空けたスペースでフリーで受けられてしまうシーンもあった。これは中盤のスライドが無いことが悪いのか、ディフェンスがついていくべきなのかという問題にもなるが、基本的にはファーストディフェンスにいけていないのが良くないのでそこに守備の問題は帰結するんじゃないかと考える。

後半の終盤はプレスに行ってはいたものの、後ろの選手の重心が下がってしまい結局はボールを持たれる展開となってしまった。守備面の構築に時間はかけていないとは思うが、このままだと以前よりもっとまずいと思うので、守備の改善は期待しておきたいところである。

そして山形が効率的にゴールに迫るきっかけとなったのがカウンター。それが下図である。

基本的に今節のビルドアップの形だとかなり2CBが晒されるような状態になる。その中で無理やり縦パスを通しにいったり、密集したところにパスをしたり、周りとの距離感の悪い選手が受けてミスで奪われたりとそもそもネガトラにリスクがあるにも関わらず選択肢を選び間違えているシーンが何度もあったと感じる。これはかなり深刻で、永井監督が2CBを中心としたビルドアップをするにあたり、CBの選択ミスは即失点モノのエラーなのである。ここはなかなか修正できていない点でもあり、これからの課題でもあるだろう。ましてや相手にバイアーノという強力なアタッカー、そして出し手として優秀な本田という選手がいる以上は失点しなかっただけ良かったという試合だっただろう。また山形がポスト直撃のカウンターも救われたシーンだっただろう。たまたま失点はしなかったものの、実際の内容では負けていたと言えるだろう。

まとめ

今節は攻撃にはかなり工夫が見えたのではないだろうか。かなり運動量の多いタイプの攻撃だったので、ペース配分をしっかりするか、きっちり決めるところで決めておかないと、試合終盤で今節のように押し込まれて6-4のフォーメーションになってしまうような事態がまた起きることになるだろう。
守備に関しては変化はあったものの、ファーストディフェンスが無いことを考慮しなければならないのでかなり難しいポイントだろう。そのあたりをしっかりと考えておいた上での守備を見せて欲しい。4-4-2の守備を続けるのであれば、4-4の選手達に守備の選択肢が多い中でもある程度基準を持たせるようにしていかないとこれからも苦労するだろうと感じた。
次節は強敵水戸である。京都に3-0と完封勝利で勢いに乗っている。本当に手強いチームだ。さらなる発展をイメージしながら来週の試合を待とうと思う。

最後までお読みいただきありがとうございました😊

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