J2に蔓延るWBの起用への答えを見つけた?

J2リーグ第5節 vs徳島ヴォルティス(A) @ポカリスエットスタジアム
前半0-0/後半1-1 合計1-1

両チームのスターティングメンバーと基本フォーメーションは下図↓
〈東京ヴェルディ〉
基本フォーメーション→4-4-2

〈徳島ヴォルティス〉
基本フォーメーション→3-4-2-1

監督も適応してきた

前節の厳しい負け方で、そこそこフラストレーションを溜めてきている人たちが増えてきた中での一戦。自分としては最適解を探りながら少しずつでも必ず毎週良さを増してきている感じがするので割と希望は持っている。
怪我人も戻り始め、選手も揃ってきたこの試合。スタメンは梶川から潮音への変更があった。CHの変更は多々あるものの、他のポジションでの変更は少ないため、ある程度固まってきたのかなという印象を受けている。
対する徳島もなかなか勝ち星が積めず苦戦しておりヴェルディの1つ上の順位の17位と、お互いに苦労してしまってる感じ。J2の進化と選手の質もキープできない財政やクラブの状況からなかなかペースが上がってこないのが現状だろう。
それではいつも通り攻撃と守備の2局面で振り返っていきたい。

攻撃

今節もスタートの攻撃の形は変わらず下図のような3-5-2となっている。

しかしビルドアップの中で下図のようなこんな形のシーンも多かった。

ヨンジと潮音がCB間もしくはCB付近まで落ち込んでしまいFWとの間がガラガラに空き、相手は制限せずともパスコースを読みやすく得意なハイプレスに自らハマってしまったのだ。3-5-2の形だが、3-5と2で分断され、縦パスがなくどんどん押し込まれてしまった。相手のヴォルティスは5-4-1または優平にマークを付けた4-5-1の形で守備をしていた。CBまではプレスが来ないものの、少しでも綻びを見せるとコンパクトな中盤とFW1枚で一気に詰めてその瞬間を狙う。もちろん背後を気にしなくて良くなる3-5と2の分断型ビルドアップになったら徳島は詰めてきくる。ヴェルディもボールをサイドに逃がすもサポートが少なく窒息してしまっていた。ヴォルティスもまだ得点していなかった時間帯はこのプレッシングを続けて圧力をかけ続けていたためヴェルディは思うように前へ進めなかった。

もちろん中盤3枚(ヨンジ、潮音、優平)のバランスが良い時は前を向いて端戸のポストプレー、サイドに流れてからのチャンス創出やシンプルな純輝の仕掛けまで持ち込めていたのでその点は今までと変わらず良かったと言えるだろう。

そして優平が攻守にわたって活躍しているのが注目されがちだが、自分は端戸を褒めたい。確かにFW起用で結果が求められると思われてる方も多いとは思うが、自分は端戸のタスクはそこに重心を置いてないと思っている。恐らくフリーマン的な起用なので、数字に残る結果よりも多くの局面でのチャンスメイクを要求されていると思う。試合を見ていただけると分かるが、サイドからクロスでのチャンスメイクから、フリックや落としなどのポストプレー。もちろんゴールに直結するかもしれない裏抜けでのチャンスもあったがチャンスメイクよりは少なかったと思う。前でどっしり構えるのは林のタスクで、フリーマンで動き回るのは端戸のタスクだとここ数試合でFW2枚に求めることはハッキリしてきた。優平も欠かせないが、端戸もかなり欠かせない選手になってきていると感じた。

そして若狭の投入から形を変えて3-1-4-2へ変更。(下図参照)これが割と機能しており、この先も何度も見るシステムになってくると考える。

まず効果としては若狭のハーフスペースでのドライブ。ここで前進してボールを前に運ぶというもの。次にビルドアップは後ろの4枚(CB3枚+アンカー)で攻撃のスイッチ役が潮音かつ前の選択肢が豊富で縦に推進力が出る事。潮音は年代別代表でCHでプレーし縦パスがかなり積極的に入れられていた印象があった。そのためこのシステムは潮音の良さを引き出せた良いフォーメーションではないかと思った。あとは単純に前に人数をかけてPA内での迫力を出して行ける事。このフォーメーションは守備でも良い面があったので後で紹介する。

このフォーメーション変更と徳島のプレッシングの弱まりが相まってかなり押し込んだヴェルディ。結果的には90分にCKからヨンジが押し込むというゴールで追いつくという流れになったものの、相手を長い時間押し込めたのはかなり大きな収穫と成長だろう。攻撃は日に日に良くなっている。これからも期待が高まるところだ。

守備

試合序盤は優平を上げて相手のDFラインと同数で勝負していく4-3-3のプレッシングを敢行したヴェルディ(下図参照)。

しかし相手のボールと逆サイドのWBのマークに手を焼き、そこへの展開からなかなか選手たちも難しさを感じていた。今シーズンはJ2あるあるのWB起用に苦しめられ(特にマークの仕方)前節の栃木SC戦の1失点目もWBのマークの仕方をハッキリしなかったため、純輝の守備が結果的に間違ったという状態から失点。今日は攻撃時3-2-5(下図参照)を取るヴォルティスに試合序盤は4バックで挑むもWBに苦しみ、選手間の話し合いで5-3-2の形を取っていた。

しかし4-3-3で狙っていた相手CBへのプレッシングは弱まり、少しヴォルティスもボールが持てるようになり、相手がコンパクトにボールサイドに寄りプレーするので、ヴェルディの中盤3枚もコンパクトになるのだが、「中盤3枚の横のスペース使われたら終わりだなあ」と思っていた。なんと後半、その感覚が当たってしまう。ヴォルティスにそのスペースを使われてしまいあっさり裏を取られヴォルティスに失点を許す。この失点では前プレスを敢行したにも関わらず、誰も相手のプレーに影響を与えられるほどのプレッシングに行けなかったのが厳しかった。また相手右WBがランニングで奈良輪を押し込み、野村に前を向いて判断をする時間を作るスペースメイクをしたので完全に崩されてしまった。右サイドで抑えられなかったのもまた個人戦術なのである。課題はまだ消えぬという感じ。

そこで先ほども攻撃の場面で言った3-1-4-2に変更する。ここで守備もかなり良くなった。恐らくだが、ネガティブトランジションの場面での帰陣の仕方がシンプルになったからだろう。今までは3-5-2⇔4-4-2(のちに5-3-2)の帰陣がデフォルトだったのだがこの可変フォーメーションはポジションを固定した状態でネガティブトランジションの対応をできる選手が少なく(2CB+アンカーのみ)、自分のポジションに戻るために斜めだったり大きく動く選手が多くなってしまう。しかし3-1-4-2⇔5-3-2にすればストレートでシンプルな動きで戻れる事と、攻撃時からそのままの位置でネガティブトランジションに向かえる選手が増えるのだ(3CB+アンカー)。つまり攻撃時と守備時に同じ位置の選手が増えるという事。これは顕著に効果を感じたし、WBへの対応もすぐに行えて4-4-2⇔5-3-2の守備内でのフォーメーションの変化するリスクよりもより低リスクで3-1-4-2変更後は対応しやすくなったと考える。

タイトルにも書いたのだが、J2で多く対戦するであろうWBの起用があるチームに対してマーキングなどでここまで苦しみ失点もしてきたが、ここに来て3-1-4-2という一定の解答は得たのではないのだろうか。少しずつの進歩を実践を交えながら掴んできているのではないかと自分は考えているので、これからの更なる成長には期待したい。

まとめ

勝てない状況が続いておりフラストレーションも溜まるだろう。しかし毎週毎週進歩を感じられるし、相手を押し込む時間も増えたり、人選やフォーメーションの正解というか最善を見つけ始めているだろう。メンバーも戻ってきてここからが本番になってきてくると思う。来週はこのJ2では随一の選手の質を誇る柏レイソル。個人戦術が課題となるヴェルディにとって一番の腕試しとなるだろう。また次の試合での成長を楽しみにしていきたいと思う。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました😊

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