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ヴェルディサポの関東大学リーグ観戦記〜Part3〜

今回は最近月1くらいで更新するようになってきた、関東大学リーグシリーズの第3弾です。(思いのほか好評)対象試合は関東大学リーグ第8節・筑波大学vs法政大学のゲーム。大きな目的としては、ヴェルディが天皇杯2回戦で対戦する相手である法政大学のサッカーをある程度把握しておくことです。このシリーズが始まって以来初めてのヴェルディサポ要素じゃないかなと(笑)
ちなみに川崎内定の筑波大学・三笘はトゥーロン国際に召集されているためメンバー外。また法政大学には鹿島内定の上田、FC東京内定の紺野がおり、こちらは両者ともにスタメンとなった。それでは振り返っていきたいと思う。

試合情報

関東大学リーグ第8節 筑波大学vs法政大学 
@武蔵野陸上競技場 13:00KO
前半0-4/後半0-0 合計0-4
両チームのスターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓

筑波大学の攻撃&法政大学の守備

今節、最大の驚きを提供してくれたこのゲーム。ここまで無類の強さを誇っている筑波大学が前半から4失点、そして完封されての敗戦。普段の法政の戦術を知らないので、断定はできないが今節採用した戦術を見る限りは筑波対策を取ったのかなと考えている。その形が下図だ。

筑波大学の最初の選択肢としては前線の4枚に楔を入れること。そこからサイドへ展開しクロスからの流れ。またはそのまま中央突破を仕掛けるパターンである。しかし法政大学は4-5-1⇔4-4-2を採用。19番平山が筑波3番の角田にボールが入るのをプレススイッチとし4-4-2に変形。変形するタイミングは共有されているため、出て行った後も隙を与えることなく守れていた。4-4-2移行後は相手の楔を入れさせない中央圧縮型の守備。前線2人は筑波のCB間落ちしないCHを切りながらプレス。そうして筑波の選択肢を徐々に削っていきサイドへと誘導するのが狙いだったと考えられる。それもただ誘導するだけではない。CB・CHの前進する術がなくなったのを見たSBは下りてこざる得ないのである。また法政の守備ブロックの高さが後半10分辺りまでは低くてもミドルゾーンという設定だったため、筑波SBが下がってしまうと前線との距離も悪くなってしまい、蹴らされるもしくは後ろでのボールロストが増えていた。そこからの被ショートカウンターも多く、筑波のリズムは悪かった。

しかし前線からのプレスも後半10分辺りからは身をひそめる。筑波vs中央の試合では中央は引いた守備をして押し込まれ防戦一方だった。しかし法政はラインが下がってもやることは変わらない。同じようにアウトサイドレーンに誘導し、クロスを上げさせる。狙い通りGK中野を中心に跳ね返し続けた。特に名前を挙げた中野は出ていく判断やキャッチングの技術、セービングのどの面においてもかなり能力が高く、この試合の戦術遂行に大きく貢献していたのではないかなと思う。

また筑波がサイドでボールを持った際の選択肢は前線4枚のチャンネルランである。しかし、楔を受けたい選手はボールを受けに下がってしまいチャンネルランができない。なので、最終的に出ていくのは法政CBにマンマークされている選手。SB裏にその選手が出ていくシーンは何度もあったが、法政のマンマークに屈しチャンスとはならなかった。

最後に、法政大学の守備は三笘がいない状態だからこその戦術だったのかなと感じる。三笘はアウトサイドレーンでも勝負できるため、この戦術が通用するかわからないなという感想も持った。しかし、三笘がいないのでこの守備戦術が妥当であると思う。また早稲田大学の学生コーチとして活躍しておられる、大矢峻さんとも筑波vs中央のレビューを書いた際にお話ししたのだが、筑波相手に前から行くチームが出てくるといいななんていうお話をTwitterでしていた。法政はそれを見事に体現し、完封。三笘のいない筑波ではあるが、これは筑波攻略のカギになるのは間違いないのかなと思う。

法政大学の攻撃&筑波大学の守備

前半におそらく想定以上の4点叩き込んだ法政大学の攻撃の形はこちら。

法政大学は26番がCB間落ちし、13番・19番が落ちたりなどで中盤を埋める形の3-4-3。筑波SB・SHが基本的に法政の(4-1-2-3の状態でいうところの)SB・WGを見る形になるが、そこにサポートのCBもしくはCB間落ちしていた選手がサポートに来るのにも対応する必要があり、かなりサイドから崩されるシーンが多かった。特に右サイドではアウトサイドレーンで関口がボールを受け、紺野のインナーラップの形が多くみられ、筑波は法政のストロングに見えたサイド攻撃に手を焼いているなという印象を受けた。そして法政の強いところは、サイド攻撃のフィニッシャーとして上田が待ち構えていることだ。上田は競り合いにめっぽう強く、この試合でも守備で押し込まれた後に前線で上田が収めるなど、中央大学が筑波と対戦する際に悩まされた陣地回復の課題も見事に1人で解決して見せた。ストロングのサイド攻撃と、競り合いに強いアタッカー。法政の攻撃手段は理にかなった素晴らしいものだった。

法政の守備の部分でもふれたが、前線で嵌めてからのショートカウンターも機能しており。素晴らしい試合運びになっていたのではないかと感じる。また、まとめでもふれるが上田と交代で投入された飯島が地上戦でとても機能しており、試合終盤までアグレッシブな戦いぶりだった。

まとめ

この試合での発見になったのは、上田の交代で出た飯島だ。飯島陸は前橋育英の出身で名前を覚えている人も多いのではないのだろうか。彼は上背はないものの、足元の技術は一級品、キープ力もかなり上手く体の使い方も上手いので、上田が下がった後も地上戦で筑波に対抗し防戦一方にならず最後まで面白い試合になった。
もう一つ思ったのは、紺野のクオリティーに関してだ。この1試合しか見ていないので完全に感想になってしまうのだが、スペースのある状況(カウンターや裏に抜けた後)では技術が活きるものの、少し狭い局面になるとカバーがいる状態で突っ込んでしまったり、ボール離れが悪く選択肢がなくなり無理やり蹴ったボールを相手に当ててしまったりしてしまっていた。申し訳ないのだがあまりプロのクオリティーは感じられなかった。ただスカウトがこの選手を取ったのにも理由があるのかもしれないので。難しいところになるかなと思う。来年は注目というか気にしてみようかなと思う。
正直、試合を見るまでは三笘がいないとは言え、配置で筑波が押し込むのかなと思っていた。しかしおそらく弱点だと分かっていながらどの大学も取り組んでこなかった、引かずに前からの守備にチャレンジした法政の完勝。あまりにもあっけない負け方をした筑波は、この敗戦を機にどのように変わるのか、はたまた変わらないのか、楽しみなところである。

今のところタレント力でずば抜けている明治、筑波、法政はかなりサッカーも出来上がってるなと思いました。まだ明治は観戦していないので、次の観戦してみたいなと思っているチーム。天皇杯の結果を見ていただければわかると思うが、全国的に大学リーグのレベルは上がっている。下手すると、というか下手しなくてもヴェルディがやられる可能性は普通にある。何とも複雑な気持ち。(笑)
もし時間があれば天皇杯のプレビューも少し書こうかなとも思っているので、まだ書くのかはこれからの筆者のスケジュール次第ではありますが、もし書いた際には読んでいただけたら嬉しいなと思います。
また、このレビューによって大学リーグに興味を持っていただけた方がいれば、とてもうれしいです。ぜひ試合に足を運んでもらえたらなと思います。これからも趣味の範囲の中から大学リーグを盛り上げることに貢献できればなと思います。

長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!

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