ぼくはわさビーフとスッパムーチョかなぁ

ファンタジーです

免許の更新に行った
平日だからそんなに混んでなくて、まるまる込みで２時間足らずで終わった

現金3000円と講習30分でまた5年車を運転する事を許されてきた
運転は好きなのでうれしい

講習の映像の冒頭で瀬戸大也が車を運転している時に届いたメールに気を取られて、自転車で飛び出して来た女の子を轢いてしまった

芝居がうまくて、後悔の念を抱えた瀬戸くんが「119…110…」と救急車と警察をダブルで呼んだ後、嘘みたいに明るく「こんにちは、瀬戸大也です！｣と名乗るまで気が付かなかった。よく引き受けたなその役

ハイドロプレーニング現象の危険性を教えるシーンであまりにも映画みたいなスリップと呼ぶにはカッコよすぎる走りを見せつけられて笑ってしまったけど、自分以外誰も笑ってなかった、前の更新の時は結構みんな笑ってたから笑いどころだと勝手に思っていたけど、どうやらそうではないらしい

次のシーンで、交通事故で子供を失くした被害者遺族の人の映像が流れた。

隣のおばさんが目を急に伏せたので、気になって見たら 目を潤ませていた。
悦に近い熱を帯びた目だった。

おばさんを少し冷めた目で見ていた自分を意識したので、バレないようにそっと目を逸らした

今自分が向けたこの目を、かつて自分も向けられたことがある

ーーーーーくそ回想タイムーーーーーー

春になると毎年母の実家に遊びに行っていた

大学生になるまで、毎年二週間近く滞在していたから、春になると今でもあの家が恋しくなる

事が起こったのは中学生の時

おばあちゃんの家でする事といえば、《縁側で犬と一緒に日向ぼっこしながら寝る》、《徒歩2分の距離にあるケーズデンキに遊びに行ってゲームの試遊台で遊ぶ》の二択ルーティンで、
ヨークシャテリアのジュンくんと寝るのが飽きたので、たまには外を散歩しようと思った。

縁側で嗅ぐ太陽の匂いのする座布団とジュンくんの肉球が大好きだった。

「ちょっと、ケーズいってくるねー！」と玄関から母と祖母がいる居間の方に叫んで、外へ踏み出そうとした瞬間、この世の終わりを濃縮したみたいな声が外から聞こえた。

「えー、なにごとー？」くらいの軽い気持ちで少し先の道を見据えると、女の人が真上を見ながら「やめて！！お義父さんやめてください！」と叫んでいた。
女性の目線を追って顔を上げると、知らないおじいさんが寝巻きのまま電信柱の上に登っているのが見えた。
もう一度女性はダメ押しみたいに「やめて！」と叫んだ、おじいさんは手をパッと離して電信柱を掴むことをやめてしまった。
そのままおじいさんは垂直に女の人の目の前の地面に吸い込まれるように落ちていく。

聞いたことのない音がして、それから救急車がぴーぽー
警察の人に何個か質問をされた

あとからおばあちゃんに聴いた話だと「昔、NTTに勤めて電気系統の仕事をしていたおじいさんがボケて、懐かしくなって登ってしまった」のだと言っていた

それから何年か経って大学生
授業で9.11の映像を見ていた。
飛行機が突っ込んで、まだテロだとも知らず、事故だと思っている消防隊員たちがビルの中を進んでいく、「何か聞こえる」と消防隊員の人が繰り返し叫んでいる。ドスン、ガツン、ドスン、何かが凹むみたいな音が、不規則に聞こえる。

当時、飛行機が突っ込んだ階より上の階にいた人たちの殆どが火災の煙から逃げる事もできず、わけもわからず窓から飛び降りいった、そんな人たちがニューヨークの路肩に停めてある車の上に繰り返し繰り返し落ちてくる。

ドスン、ガツン、ドスン

すごく趣味の悪いカノンは続く

ぼくはあの時のことを思い出して、目を伏せながら、授業を受けた。

授業が終わったあとに友達に「やー、こわくてさー、涙出るかと思ったー、てか少し泣いたー」なんて軽口を叩いていたら、同じ授業を受けていたCactusくんって男子に冷めた目を向けられながら「あんなので泣くとか」とボソッと言われた。
なんも知らんくせに、って思った。

なんも知らんくせに、そんな目を、一瞬でも隣のおばさんに向けてしまって、ぼくはブーメランで死んだのだった。

享年2017年4月10日春便器ここに眠る。

（私は今なんらかのダメージを受けている...という気持ちよさってあるじゃないですか。。エモい作品とか音楽で泣くとか最もたるものだと思うのですが、なんか一定周期で嫌になりません...？自分が気持ちいいのも他人が気持ちいいのも...。）

あの時の自分の発言って悦に入ってたつもりゼロなので、悦みゼロの涙だったのだけど、まぁ知ったこっちゃないよね！ごめんな！Cactusくん！「SMが好きなので将来金持ちになってM女を買ってめちゃくちゃなプレイしたい」って言ってたけど夢叶ったかな？？？？

自意識のせいで自爆して、自業自得っすね、これも一種の自爆テロです。
爆発に巻き込んでごめんなさい。

ーーークソタイムおわりーーー

講習の先生は映像が流れ終わる前に「30分経ちましたね」と言ってテレビを消して講習を終えた。え、最後まで見ないの…？講習とは…？

特に何事もなく交付して貰えたけど、写りの良い写真持ってきたのに、その場での撮影で、（うわー、萎えるわー、でも今日コンディション悪くないから平気やろ）思ったけど交付された新しい免許証は髪の毛も表情も惨敗だった。
誰に見せるわけでもないから良いけど。
でも、悔しくて親に電話して話したら「でも3000円の中に写真代、含まれてるのよね...？」とオトクだよね...？みたいな提案されて、まぁ、そう、、だね、、、、え？

元の免許証返さなきゃいけないと思ってたら、穴開けて再起不能にされたけど貰えたので、キーホルダーとかにしようかな。鍵落としたりしても1発で返ってくるかなぁ〜。

帰りに見つけた川沿いの桜が綺麗だったので木陰で少しぼーっとしてから帰った

おわり

追記

大勝利
#エッセイ #コラム #ファンタジー #ブログ