『二人だけの戦場』の感想

『二人だけの戦場』のライブ配信見ました。すごくよかった。最後、十五年後にライラと再会したときに、ライラがシンクレアの腕のなかにすっと収まって、呼び方もお前呼びになっていたのが、十五年連れ添ってきた夫婦みたいで泣きました。すでに泣いてたのにさらに涙腺崩壊しました。

十五年間手紙のやりとりもなくて、相手がどう思ってるか確かめるすべがない状態で、それぞれ別の場所で思い合ってきた仲って、どれほどのものなんだろうと思います。

シンクレアは「徒労だった」って言ってたけど、それは軍人としてであって、人間としては、十五年のあいだに積み重ねられた愛と友情をしっかり手にしているところが、すごくかっこよかった。

シンクレアみたいに誠実で一生懸命な人が、かっこいいな、と思える結末を迎えたことが、この話の一番好きなところかもしれません。そのあとの哀愁に満ちたアップテンポな曲に乗せての、青春時代が蘇るようなフィナーレもかっこよかったです。出てきた人皆好きだなー、としみじみ思って、また泣きそうになりました。

他に、特別好きだったところは、

・最初の歌の歌いだし。低い声が響いてすごく綺麗。

・軍服よいです。肩幅とかまっすぐな背中とか軍人らしい動きとか。希望に満ちたキラキラした目も好き。あとお顔の美しさが、名門出身の優等生感を割増しさせててすごい。

・ライラも可愛い。短いセリフのちょっとぶっきらぼうっぽい言い方が、今までのまどかちゃんとは別人みたいで、ライラってこういう子なんだって、すごくリアルに感じられました。

・クリフォードとかけあいの歌、かぶりまくりの自己紹介、面白い上官さん、と楽しい場面が続くところも好き。キラキラした目でハウザーさんを見るシンクレア、すごく可愛い。集中して話を聞いてるところとか、先のわからないなりゆきを一生懸命見守ってるところとか、ほんとにフレッシュで、すごく引き込まれる。

・シュトロゼックさんの家で再会したライラとシンクレア。なんかシュトロゼックさんとハウザーさんが話してるときの安心感が半端なくて、この二人といるときのライラとシンクレアが幸せそうで好きです。尊敬する人のそばでリラックスしてて、安心してお互いへの気持ちを出せている感じ。

・ライラは気が強いからシンクレアの手には負えないだろう、みたいなことをシュトロゼックさんが言っていたけど、そういう恋の駆け引きみたいなものがないまま、自然に惹かれ合っているのが、この二人らしくて好き。

・町の人たちの雰囲気、すごく好きです。そしてシンクレアが見るもの出会う人全部に目を見張ってる感じが好き。ラシュモアさんのことを知ったときの、厳しい顔をしようとしてるのに、笑っちゃってたところも可愛いかった。

・ライラに独立を認めるか聞かれたとき、そのままは答えられなくて、代わりに最終的な理想を話してるのを見て、うーん、と思った。精一杯の誠意なんだろうな、とは思うんだけど。ライラへの優しさに見えるけど、認識の足りていない自分への甘さにも見える。そして、本当に独立宣言がされて、先延ばしにされていた問題が容赦なく突き付けられるの、なんかすごい。ど真ん中を来る物語なんだな、と思った。

・お祭り。ライラに引っ張っていかれるの二回目で可愛い。ダンスがすごい人は、ダンスできない振りまですごいんだな、と感動。教わりながらのダンス、目線や表情のやりとりがたくさんですごい好き。あと、やっぱりお顔の美しさがすごい。

・ライラ、自分の恋心を認める一歩手前くらいなのかな、と思って見ていたら、「なんで軍人なの?」といきなり本題に入ってて、話が早い。ほんとストレート。シンクレアの「会えないのか?」も優しくて好き。この二人、かなり違う性格なのに、まっすぐで、一生懸命で、好意をはっきり口にするところが一緒で、ほんとお似合い。惹かれ合うのがわかる。

・茶色いカーディガンですっぽり抱きしめるのが好きすぎて、このあたりの記憶とメモがとてもあやふや。とげを取ってあげるシーンも大好き。ライラに話しかけるように歌う歌、低音がすごく綺麗に響いて好き。今回、歌がいつも以上に素敵で全部好きだけど、そのなかでもここと最初の歌が一番好きです。

・爆破事件のあとの、エルサさんのライラへの助言。不安と傷心ですでに辛そうなライラに、がんばらなきゃいけないって言ってて、厳しいんだけど、だからこそすごく優しい。辛すぎる世の中をなんとか生きていってほしい、って願ってるのが伝わってくる。そしてそれを見つめるシンクレアの表情も、すごく悲しそうで愛情深い。

・アルヴァとシンクレアの会話。ライラに正論ぶつけすぎて後悔したばかりなのに、アルヴァにも言いすぎて、また後悔しているの、なんかもう愛しい。

・クリフォードが面白い感じになってる横で、仲睦まじいシンクレアとライラ。こんなふうに誰かが歌ったり話したりしてる横で、楽しそうにしてる二人、すごく好きです。ずっと見てたい。

・手紙を読むところ。ライラの「私の大切な人」っていう書き出しや、シンクレアの、君が書いた文字を見て君の指を思う(うろ覚え)みたいな歌詞がすごく素敵だった。優等生で姿勢よくしてることが多いシンクレアが、一人沈んでるところも好き。ギターの響きも好き。

・クェイドさん、すごく怖がりな人なんだな、と思った。怖いから危ない橋を渡りたくないのに上司が平気で規則を破る、という状況の辛さ、私も怖がりなのでちょっとわかる。そしてこの人に「臆病」は禁句だったと思う。「軍人らしさ」とか「男らしさ」の概念に追いつめられてしまった感じが、今の時代にもすごく通じる。

・人を殺してしまった衝撃も辛いけど、その衝撃を乗り越えることができてしまうという事実のほうに、シンクレアが傷ついているようで辛かった。敬礼がちゃんとできなくなってるのも、ほんと痛々しくて辛い。

・ライラとシンクレアの別れ。ライラが最初は気持ちを抑えてるのに、最終的に気持ちが溢れてしまうところ、見ていて涙が止まらなかった。ライラをしっかり抱きしめるシンクレアの言葉や仕草が愛情深ければ深いほど、二人の別れが悲しくて、さらに涙が止まらなくなった。十五年後の再会があたたかいもので本当によかった。

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