見出し画像

【感想】逆噴射小説大賞2023に参加しました

前置き

 逆噴射小説大賞に初めて参加してみました。私は普段、漫画や絵を趣味で作っていて、小説というものは全く書いた経験がないド素人なのですが、今回突然参加したくなり応募してみました。この記事は今回参加してみて楽しかったこと、気がついたことなどのまとめです。
(※本当に無駄に長いです。もし読んでくださる方がいたら、初心者はこんな基本的なことにつまずくんだな~と思って眺めてください。)


参加経緯

 ここ一年くらいずっと趣味で描き続けている漫画の制作がなんとなく煮詰まった感じになっていたので、何かパッと短期間でできる新しい刺激がほしいな~と思いながらTLを見ていたら丁度どなたかの応募作が流れてきました。賞の存在自体は知っていたので「今年もそんな時期か~」とか思っていたのですが、急に「自分にもできるんじゃね?」みたいなビギナー特有の根拠の無い楽観的な気持ちが芽生えてきました。思いついたらすぐやってみたくなったのでその場でスマホのメモ帳を開いて応募作の『久子』を作りました。
 実はその時点で応募締切はとっくに過ぎていると思っていたので応募できるとは思っていませんでした。でも確認したら締切まであと2、3日あったので次の日無事応募できました。締切確認して良かった。
↓これが応募作。

大変だった点

①字数

 文字数800字以内という制限がとても大変でした。スマホのメモ帳に一通り書き終えたとき、「こんなに書いたんだから1500字とか到達しちゃってるんじゃね?頑張って削らないとな」みたいに完全に調子こいてましたが、noteのテキストに貼り付けて確認したら560字くらいしかありませんでした。さすがド素人。文字数感覚がガバガバすぎますね。
 560字というのは800字以内という規定に反してはいませんが、800字に求められる内容の豊かさや充実度と比べるとかなり薄い内容になっていると思われたため、少し文章を付け加えました。すると今度は800字を超過してしまったので色んなところを削るハメになりました。この文字数調整がとても難しく、最終的にちょっとゴリッとした不恰好な文章になりました(特にラストあたり)。

②最後

 最後の「引き」の部分も大変でした。初稿ではあまり親切な終わり方をしていなかったので少し終わり方を変えたのですが、文字数との兼ね合いでちょっと妙な仕上がりになりました。登場人物がラスト付近になると「引き」に向けてやたら急ぎ足でサクサク話をまとめ出す不自然さは読み返すとちょっと笑ってしまいます。なんかこいつら急に作者の都合に協力的なムーブ始めたな、て感じが結構バレバレです。
(逆噴射先生のコメンタリーでも「800字にまとめるのに苦心した」と指摘されていたので恐らくしっかりバレていたと思われます。)

意識した点

 そもそも小説を書いたことがないので日本語が合っているか、変な文章になっていないかなど物凄く基本的なところから心配だらけだったのですが一応以下の点を気をつけました。

①わかりやすい文章にする

 とにかく平易な文章になるように心がけました。自分自身難しい漢字や言葉が書いてある文章が苦手なので読みにくい単語は使わないようにしようと思いました。とくに登場人物の名前は頻出するものなので気をつけました。特別な理由がない限り一般的に読めないような字を名前に当てたり無駄に難しくしたりするのは書き手の自己満だと思うし、読み手からするといちいち読みづらくてストレスを感じる要因になるかなと思ったので避けました。基本的に人は他人の書いた文章に対してそれほど興味がないため少しでもストレスを感じたら読むのをやめてしまうかな、と思ったので簡単な文章になるように頑張りました(できていたかは微妙です)。

②余計な部分を削る

 書くべき部分といらない部分の判別が出来ているかあまり自信がないのですが、一旦書き終えた後、数時間空けて何回か見直してざっとみたときになんとなくイラつく部分やウザいと感じる部分を消すようにしていました。あと世界観や設定などは私の技量ではとても800字以内に入れられないので書かないようにしました(書くと多分めちゃくちゃになってしまうので……)。私の書いたものは世界観や設定は重要ではなさそうなので入れなくても大丈夫でしたが、しっかり入れられる方はすごいな、と思います。

③段落始めの一字下げをなくす(これは失敗でした)

 一段落の文字数が少ないうえに読みやすくしようと頻繁に空白行を入れていた影響で、段落頭で一文字下げると見た目がガチャガチャしてしまいました。特にスマホで見たときの印象が汚かったので一文字下げるのをやめてしまいました。ですが最終選考の発表まで終わった後に、過去にこの一文字下げをしていないこと指摘されている方がいたことを知りました。あ、やらかしたな、と思いましたが時すでに遅しでした。

④読む人のストレスを頑張って減らす

 今回応募作を作っているときも普段漫画を描く時も思っているのですが、自分がどんなに思い入れのある設定やキャラクターを作っても、多分読み手にとっては死ぬほどどうでもいいことなんだろうな、と感じることがあります。なので読み手はちょっとでも「ダルい」、「ウザい」、「なんか鼻についてイラつく」、「わかりにくくて読んでてストレス」、「はよ話進めろ」みたいなことを感じたら即ブラウザバックしちゃうんだろうな、と思いました。せっかくわざわざタップしてページを開いてくれた人がそうなったらとても悲しいのでできるだけストレスがない文章にするにはどうしたらいいんだ~と結構悩んで書いた部分もありました(結果的にストレスの少ない文章が書けたかは微妙)。

面白かった点

①漫画との違い

 今回『久子』を書いてみて、改めて自分がお話を作るときに漫画的な発想で作っていることがわかってとても面白かったです。『久子』には情景を描写する言葉がほとんど存在しないのですが、ここが物凄く漫画的な発想だなと思いました。
 例えば、『久子』のなかでは、視点人物である主人公に関する描写は全くなく、主人公の性別、年齢、外見といった特徴は一つも明らかになっていません。漫画の場合は主人公のビジュアルは絵でしっかり出てくるのでわざわざ文字で言及する必要がなく、『久子』のなかの主人公に対する描写の少なさはこうした漫画的な発想がそのまま流用されたものと思われます。
 漫画的な発想により視覚情報に関する文が抜け落ちるという現象は主人公以外でも発生しており、物語の舞台である白川邸についてもほとんど描写がありませんでした。白川邸について描写している箇所は『久子』3行目の以下の文のみです。

西洋建築の意匠が美しい白川邸にはかすかに異臭が漂っていた。

 実は初稿ではこの文すら存在していませんでした。初稿を作った段階では「男爵」や「邸」という言葉から読み手は豪邸を連想してくれるはず、と信じていました。ですが校正中に、豪邸といっても和風か洋風のどちらを想像するかは読み手によってかなりブレがあるのではないか、と気が付き後から西洋風の建築であることを明らかにする文章として付け足したのです。これも漫画であれば背景の絵があるので逐一言葉で伝えることを考えなくて良い部分なので、漫画的な発想のクセがそのまま出ているために起きた事象と思われます。

 また、物語のほとんどが会話で占められている点もかなり漫画のクセが出ていると思いました。漫画は基本的にモノローグ以外はほとんど会話、もしくは人物の考えていることで展開したり情報を整理していくことが多いように思います。地の文がないため当然ですが、文章に起こした場合、漫画は小説より遥かに会話の占める割合が多く、重要な情報は会話で整理されることも多いです。『久子』も情報の整理や展開を全て会話でしていてかなり漫画的に感じます。

 振り返ってみると、全体的に漫画のクセが強く出ているというか、そもそもうっすらコマ割りありきでイメージしているのが透けて見える感じがします。画力がそこまで高くないのでやりたくはありませんが、『久子』は6~8ページくらいの漫画で描いた方が自然に見えるのではないかと思ったりしています。

②ヘッダー作り

 小説とは直接関係ないのですが、ヘッダー作りもすごく楽しみな作業だったので最後にヘッダー作るときはいつも以上に楽しんで描けました。ただ、単純な顔のアップの絵にも関わらず3、4時間かかってて笑いました。正直この工程が一番時間かかった気がします。普段絵を描いているのにどうして。

最後に

 逆噴射小説大賞に参加できてとても良かったです。正直いきなり何か書いても誰も読んでくれないだろうし……誰も読んでくれないのはかなり寂しいし……と思って尻込みしていました。ですが逆噴射小説大賞は少なくとも1回は審査員の方が読んでくださるというのを知り、この世で自分以外に最低でも1人は読んでくれる人がいる、という心暖まる保証に安心して応募することができました。何もかも初めてでかなり拙い部分ばかりでしたが自分なりに頑張れて良かったと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?