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それぞれの正義 | 「ゼロの執行人」感想 備忘録

※本内容は、「ゼロの執行人」のネタバレ、その他コミックス未掲載の内容を含みます。閲覧の際は、ご注意ください。


真実はいつもひとつ でも
正義は そう
涙の数 だけ...
.
そう、本当にこの一言に尽きる...
何が正しいかなんて、全て一括りになんて出来ないんだ
誰かの「正義」を振りかざそうとするならば、
見えない何処かで誰か傷付いている
そう、安室が公安として遂行した公務によって
蘭が
日下部が
境子が
そして 風見が
それぞれの想いに苦しんだのと同じように

.

思い上がるな、
全ては私の、私自身の判断
お前の協力者になったのも、私の判断
お前を裏切ったのも、私の判断
彼を愛したのも、私の判断
.
.
私の人生は、誰のものでもない、自分のモノ
ーー

.
ある人物が物語の後半、
本音の叫びを見せる(言い回しは異なるけれど、叫びの内容としてはこんな感じ)
.
.
今回のコナン劇場版は
昨年の恋愛感(もちろん、百人一首になぞらえたミステリー、謎解きは散りばめられていたが)
とは雰囲気が異なり、ある人物の不穏な動きから幕が開ける。
.
おっちゃんが逮捕され、警察の車が去っていく。警察の車を見つめるコナン。その背後に現れる、喫茶ポアロのエプロンをしたある男。
(ここの不穏な、時が止まるような演出がとてもすきだ)
安室がスクリーンに登場したのは、公安としてサミット会場にいる姿が今回初だったが、このポアロ前でのシーンは、コナンとの今回初の対峙シーン。
「純黒の悪夢」を彷彿とさせるような不穏な音楽。コナンの目を見ない安室。
人間模様の描き方や表現、色合いが従来のものとどこか異なって それがまた魅力的。

おっちゃんに手錠がかけられる、という衝撃的なシーンを目の当たりにした蘭。
いつも気丈に振る舞い、凶悪犯でさえも空手で叩きのめすが、今回ばかりは溢れ出る感情を抑えきれない。
親友や母親に支えを受け、震えながら行き場のない感情を漏らすその姿は、今まで見たことない。(バレンタインの時やホワイトデー、米原先生の事件など、蘭が涙することは今まで多々あったけれど。あ、米原先生の時は、号泣してたか。。
でも、取り乱してたといえば、「それでも蘭に待っていてほしいんだ、、」と例の展望レストランで新一から聞いたという言葉をコナンの姿で伝える、あの名シーン。今回のはそれとは比べものにならないくらい、ダメージは大きかったはず。)

そんな状況が今まで然程なかったから、
ということだけど、そういう意味でもとても新鮮で、人の弱いところの描き方が秀逸だなぁ、と。

そして、やはり俳優さんの演技は素晴らしい...
蘭の絞り出すような震えた声... 正直涙出る。和佳奈さんありがとうございます...泣

声に宿るパワー...
青山先生が、
「声優さんは俺よりそのキャラクターのこと知ってるもんね」と監督との対談の中で、台本のキャラクターの口調や語尾についての話題でそのように触れていたけれど、本当にそうだろうなぁ。作品のファンとしては、本当にそれ嬉しすぎます。。
作者さん、俳優さん、制作者さんみんなの愛がこもっているよ... ファンとしてとても嬉しすぎます。

そういえば、先日Twitterで「コナン作品における、憂いを帯びた表情がすき」という内容の投稿をしたら、30以上のいいねを頂いた。

「この憂いを帯びたような表情たちがたまらなくすきなのです... 「あの子を護らんとアカンのやろ?」と和葉に言われ部屋を後にする服部(それを見つめるコナン)。

#ゼロの執行人 安室
#から紅の恋歌 服部
#迷宮の十字路 和葉
#世紀末の魔術師 コナン」

普段そんなに伸びるtweetをしてないので、この数は2016年の青山先生の年賀状(キャメルの好物は?
→ダニーズのカレーor赤井さんのカレー?)に次いで、2番目かも。

キャメルネタはこちら


話戻ってやはり、青山先生の描く この表情イイよね...!原作でそうそう見られないし、この原画のときの俳優さんの演技がまたたまらないのです。

「安室の女」効果もあって、正直予想以上に映画はヒットをしている。興行収入は、コナンをあまり知らない人にもどれだけヒットしているかを伝えるのにとても有効だ。
(来年の怪盗キッド(=勝平さん)には、正直興行収入とか気負わずにチームコナンとして主役を張ってもらえれば嬉しいです...!!変なプレッシャーとかはやめてほしい!)

それにしても、古谷徹さんの声は変わらない。アムロ・レイの時が15歳くらいのお年?
今こうして、アムロ・レイを超える勢い?もう超えてる?くらいまで、ヒットを飛ばす"トリプルフェイス"...
素晴らしすぎる。

原画シーン メモ
たぶん青山先生の原画シーン?と思われる箇所を記載。

1)物語序盤
エッジオブオーシャンでの爆発直後、
灰原に「防犯カメラの映像に...」と安室の名を聞いた時のコナンのアップ

2)新一、頑張ってくれてるんだね... と涙ぐむ蘭が映った後のコナンのアップ
(この蘭も原画?と思いつつちょっと違う?と思ってる)
この時の蘭の嬉しそうな、安堵の表情にほっこり。

3)俺のそばから離れるな!と毛利のおっちゃんに言われ、頬を染める英理さん
「やるじゃん」という園子。いや、ほんとやるじゃん!って感じ。
「ゼロの執行人」EDで、料理を並べる英理さんをちろっと見てるおっちゃんもイイよね。結局、怒らせちゃったけど笑
でも、不味いのは仕方ない... 安室さんならば不味いの食べてもスマートな回答をしてくれそうだな。

4)雨、降谷と風見の密会
「怖ろしい男がいる、その一人はまだほんの子ども...」と呟く降谷零

この憂いを帯びた青山先生原画の出す色気がすきなんだ!!
そして、「降谷さんと同じ子どもを...」と風見が答えきる前に消える降谷さん。
頑張れ、風見。わたし、応援するよ...!

追記)降谷さんに「よくこれで公安が務まるな」って言われてしまったけど、TV放送で地上波に顔が乗ってしまった降谷さんはもっとヤバい。そして、調子のって京都でガッツリTVに映る工藤さんは、もっとヤバい。
あ、でも「よくこれで公安が務まるな」と言われる直前、コナンの目の前で「降谷さん」呼びはマズイぞ!風見さん!
(おっちょこちょいキャメルと同じでほっとけないです...)

5)
「愛の力だねぇ〜」
「安室さんって... 彼女いるの?」
決め台詞を放つ、降谷零さんのアップ
安室の女が一番キャーーーなとこになるのかな?
降谷さんのアップは、他にも青山先生原画かな?と思うシーンがちらほら。
やっぱり青山先生も気合い入れて描かれているのかな、と思ってます。
ほんっとーにお忙しいのに、有難き幸せです。。ティザーもいっぱい描いてくださってるし、、!!!
つい最近は、警察学校組の5人を描いてくださってるし...感涙です。

6)カジノタワーへの直撃を決死の想いで防ぎ、生還したコナンと安室さん。
「君の本気の力が借りられるからね」
「...。買い被りすぎだよ...」
この影や線の具合がすき...
そして二人は別々の道へ歩き出す...


コナンが正統派の正義をまとった、悪を討伐するヒーローであるのに対し、
安室(降谷零)は、悪を討伐するという目的は同じでも、その目的を果たすためには多少の他の犠牲も厭わない(自己の犠牲もありうる)ダークヒーロー。(理由は何にせよ、蘭を泣かすのは頂けない。)

その立ち位置の違いが、二人の歩む方向から示されているように思う。
風見が言う、「降谷さんが怖ろしいです...」という核のところ。

でもね、風見さん。
あなたはとても優秀だと思うけど、降谷さんのような志を持って任務を遂行する人間はそうそういない。降谷さんに食らいついてでも、右腕として動く風見さんがいるからこそ、降谷さんは任務に就けるのですぞ...!
風見愛あふれる。
「純黒の悪夢」といい、風見は一見嫌われる役どころだけど、とても人間味があって好きなんだよなぁ。
赤井さんを敬愛するキャメルに似てるよね。風見さんとキャメル、きっと話したら犬猿の仲というか似た者同士というか、きっと自分の上司の自慢してそう。笑
いつか、ブルーパロッドでお酒を飲み交わしてくれないかしら。
んで、その様子に灰原がツッコミを入れる、そんな姿が見たい。笑 きっと微笑ましいよ...!!

「どんなに憎まれようとも、彼女を護れ。」
「自分がした違法捜査は、自分でカタをつける」
降谷と風見の、公安としての責務が見える。
いやほんと、彼らは彼らで苦しい思いをしているんだよな。
それと同時に、「公安」という組織の裁量の大きさに怖れを感じる。
裏で何やってても、歯が立たないし、そもそも世間に露見することがないって...見えない何か大きな力が働いていることにゾワゾワ。そうやって、秩序は守られつつ、ある意味脅かされつつ、という感じなのだろうか。

その他、好きポイント

イメージボードのloundrawさん。
埠頭の電話ボックス、
風見と会話する降谷さん。
朝日が上がり、それに反応するように降谷さんが顔を上げる。
青や光、構図がとても好き!!
こういうイメージを作るお仕事が、イメージボードというのか...と初めて知った。
風見との橋の下、雨のシーンも良いです...
これはloundrawさんのお仕事ではないかもしれないけど、夕暮れ時、高木刑事とコナンが高速の下?小さな公園のような場所で会話するシーン。あのちょっと寂しげな、だけどオレンジが差して少しあたたかみがある雰囲気が良かったなぁ。
「こんな事言うべきではないけれど...負傷したのが一般人でなくてよかった」と言う高木刑事。そう告げる下からのアングル描写、すき。
気をつけて帰るんだよーとコナンに言う高木刑事、すき。いい青年だよ...

「ゴロちゃんだよ!」のコナン
TV放送の時、カットされそうな気がしてならないけど、コナンがとても可愛くて◎
みなみさん、ありがとうございます!感涙

園子、素敵。
友人想いのとても良い娘さん。
京極さんはいい眼をしていますよ...来年はやはり、キッドVS京極さんなのかしら?
(グッズみてると、地味に京極さんメインのクリアファイル売ってたりとじわじわと京極さんが攻めてきてる気がします。)
でも、京極さんて真面目で(真面目すぎて)とてもとてもいい人だよね...!

カジノタワーで、蘭とおっちゃんたちが人混みではぐれるシーンがあったけど、特に何事もなく再会していて「あれっ?」って思っちゃった。
時間の都合上、蘭が一行からはぐれて一人ピンチに?!みたいな展開を予定していたのかな?とはいっても、警察庁・検察庁・警視庁のそれぞれの公安、「公安的配慮」など、
内部組織構造を思う存分出して頂き、とても楽しいです!!!

探偵団の子供たちが、自分たちが知らないけれども実は日本の危機を救った、という事実。
そして、君たちは一体...というある人物の問いに、灰原が答える「小さな探偵さんの、協力者ってところかしら」
...良い!!

声は無かったけれど、ちらっと小田切警視が画面に...!
4作目「瞳の中の暗殺者」の時の、
「先に真実を明らかにしたのは、どうやら君の方だ」と言い、コナンの正体に触れようとするも、コナンから例のあの台詞を返され、一小学生に向かって敬礼し去っていく...。
警視という身分でありながら、、いや、逆にそれだけ人を見る眼があるのか?とても印象的なシーンで、小田切警視にはまたがっつりと事件に絡んで頂きたい。
なんなら黒田管理官と会話して頂きたい...。
(ちなみに、この敬礼シーンで画面が引きになりEDの曲が流れる、、このスワッチ式演出がとてつもなく好き... 小松未歩さんもすき...)
Need not to know...
知る必要のないこと。
まだ英語なんぞ何も知らない時(当時9歳?)、この台詞の英語だけはばっちり覚えました。
私はなんでもコナンから学びます、ハイ。

降谷が去り、残された風見とコナン。
風が強くなり、降り出す雨。
「安室さんは...ゼロ」
コナンの口から飛び出ることばに目を見開く風見。哀愁漂う、メインテーマ.....

「江戸川コナン、探偵さ...」
一番、好きなシーン。。。ありがとうございます。。。
風見さん、君になら話せてしまうんだ、、っていうところとても良いよ... この際いろいろ喋っちゃえよ...!
ところで、「純黒の悪夢」のラストで、
「記録じゃない、想い出だよ...」ととてもキザでそして哀しい捨て台詞をはいた子どもということは、風見さんは覚えているのだろうか?

そして、風見さんはコストコで何を買っているのだろうか?笑
公安の経費できっと何か食べ物でも買っているのでしょう...。とわたしは解釈しています笑

原作ではまだ顔を合わせていないコナンと風見さんだけど(原作では風見さんはパシリ扱いだ泣)
次会ったら、「降谷さんの正体知ってる子ども...!」と思うんだろうか。色々気になるなぁ。


狂気の沙汰の安室さん

コナンがこの横顔にぞわっとする姿
そして、緊迫のメインテーマ...

安室さん(降谷さん)は、コナン以上に命の危険や修羅場をくぐり抜けてきたはず。そんな男の狂気の一面は、、ぞっとするよな...
でもあの顔は、助手席にいるコナンのことはきっと忘れてる。日本を救うため、身を投げ払ってでも行く、進む、、って顔だった...


爆発の力で安室さんの愛車を飛ばすシーン(安室さんって彼女いるの?の直前)

「天国へのカウントダウン」を彷彿とさせるよね...!あの時の子どもたちの連携プレイも良かったなぁ。
ご飯粒一つ残しちゃいけない!といって灰原を抱え、車に乗り込む元太、
爆風で身体が投げ出された灰原を、絶対離さない、、!と手を掴む光彦
コナンの隣なら...とカウントダウンの大役を担う歩美...
そして灰原のめっちゃ難しい計算(rootうんたらかんたら

話逸れたけど...
物体を吹き飛ばす方法で、記憶に新しいのはパラボラアンテナ!!
あの場にパラボラアンテナはないけど、車に伸縮サスペンダーを装着してグルグルグルグル...回るというのも有りなのでは!?

自動車関係
はくちょうを止めるためにコナンはスケボー、安室さんは愛車のマツダ アンフィニRX-7 白 (松田...!!ちなみに佐藤刑事も赤のアンフィニだ!そして昴さんの愛車はスバルだ!駄洒落だ!)
っとまぁ、、、話逸れたけど
いや、君たち並走しないで車に早くコナン載せなさいよ。笑
しかも、安室さん事故って「行け!!」ってコナンに言うけど、そのあと割と普通に車発進させてるし。ちょっとツッコミたいとこでした。

阿笠博士(というか緒方さん)のちょいちょい出てくる駄洒落。
鳩ぽっぽ腕時計を見ながら、「ウォーッチャ!!」笑
「純黒」でも鳩ぽっぽと戯れてたよね笑

ドローン操縦しながらのクイズなんて危ないでしょ!それにこれは遊びじゃないの!って怒られる博士も愛らしい...笑
フサエさんにこの微笑ましい様子を見せてあげたい。笑 きっと楽しんでくれそう。
フサエさん、ブランド名だけじゃなく再登場希望!
ちなみにその他再登場希望は
作家の新名香保里先生と、
ドジっ子・本堂瑛祐!!
瑛祐はここぞという時に再登場して、コナンを助けてくれるのでは...?!と期待してます笑

さて。
今回は公安への復讐からコトを企て、自身の悪事を隠蔽するためにIoTテロを起こし、そして衛星を落とす...という事件であった。
正義感と復讐心。
「正義のためなら、人は死んでもいいのか!」
そうコナンは、叫ぶ。

正義は、もしかしたら人の数だけあるのかも。
まさしく、エンディングで福山氏が言うように、「涙の数だけ」の正義が...

そりゃあ、一心同体の存在として大事にしていた人を失ったとあれば、当然憎しみの感情は抱くはず。
推理小説、警察モノにはいろんな犯人の姿が出てくるけれど、
その犯人たちにも少し同情というか、共感してしまう部分もある。
(ちなみに私は、コナン映画の初期の犯人たちには、特に共感してしまう。そんな理由で?と他人が思うことほど、当の本人には耐え難いことだったりするからだ)
だけど、やはり一般人でさえも危険に晒したことには変わりはない。
殺戮者と変わらないんだよな。

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検事が「協力者」を使った事実を無くす...
貴方にはその力が無い。

重い言葉だった。

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ゼロの執行人。"執行人"とは、彼のことだったんだね。

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最後に。

原作の青山先生、
お忙しいところ毎年がっつり映画作りしてくださって本当にありがとうございます!!!
1000話記念、黒の組織のボス、色々あるにもかかわらず...本当にありがとうございます!!
立川譲監督、脚本の櫻井武晴氏、
昨年「から紅の恋歌」が邦画No.1ヒットで色々とプレッシャーあったのでは...?と勝手に思っています。
それを凌ぐ大ヒット、おめでとうございます!!特に今回は、王道の警察ものに近い感じで、櫻井氏の脚本が生きている!!って感じだったのでは...?!!(偉そうですみません!)

大野克夫氏の今年のメインテーマもまた格好良かった!!!以前、ストーリーの順で音楽を作っていくとコメントされているのを拝見したけれど、今回も音楽楽しませて頂きました!!!

そして座長のみなみさんをはじめ、
キャラクターに命を吹き込んでくださる声優陣様、コナンチームの皆さん、ありがとうございます!!!
皆さんの演技が好きすぎるよ〜〜

古谷さん!
トリプルフェイス炸裂おつかれさまです!笑

絵コンテさんや
色彩設計さん、他にもいろんなポジションがあって、この一つの作品は作られている。
ほんっとーにいつも、ありがとうございます!!!
コナン始まった当初は、まだ探偵団よりも年下だったのに...笑 でもいつの時代もコナンはほんとに楽しい。
大好きな作品です。

あぁ、原作も大好きだけど、
アニメ化→映画化してくれたから 今こんなにも盛り上がっているんだよなぁ。
本当にスワッチ氏に感謝です...!笑 ありがとうございます!!

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※画像は、公式さんのtwitter等からお借りしております。

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