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『人口減少社会のデザイン』から考える三重県四日市市のローカルビジネス

月ごとのテーマについて考え、毎週noteを書くWeekly news。
12月はローカル発ビジネスの成功事例をテーマに考えます。

ローカル発ビジネスとは

一口にローカル発ビジネスといっても、ローカル発のビジネス規模は様々です。

1. ローカルビジネス/企業
2. ローカル/地方スタートアップ
3. ローカル発大企業

今回は、ローカル発ビジネスにどんな規模/種類/課題があるのか?について
広井良典先生の著書「人口減少社会のデザイン」から、地元三重県四日市市のローカルビジネスについて考えます。

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1. ローカルビジネス

ローカルビジネスとは、個人商店や小規模事業者を中心とする地域に根付いた店舗型ビジネスです。例えば、、、

四日市のB級グルメとして人気のとんてき屋 来来憲

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子供のころによく行ったおもちゃ屋 ぺんぎん

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このような地域の方が個人で、また小規模で営み、地域に根ざした、その地域の人たちのためのビジネスがローカルビジネスです。

このローカルビジネスは昨今問題視されているように、少子高齢化や人口減少の影響を受けています。四日市市の人口、世帯数は共に減少し、特に15~64歳の割合が減少により、働き手が不足しています。

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四日市市の人口・世帯数の推移

商店街も、今は残念ながらシャッターを閉めたお店が目立ちます。

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この状況を打開するため四日市市は、四日市市空き店舗等活用支援事業補助金を行っています。この助成金事業に、若い世代のローカル志向が強まっていることが追い風になるかもしれません。

高度成長期に象徴されるような"地域からの離陸"の時代から、"地域への着陸"の時代へと変化。文部科学省の14年度調査では、高校生の「圏外就職率」は17.9%で、09年から4.0%下落している。

人口減少社会のデザイン(一部抜粋 / p52~54)

しかし現状では、シャッター街が立ち並ぶ四日市は、
未だ着陸不安定だという印象が払拭できません。

都市から離陸し、地域へ飛び立ちたいと思う若者が、
安心して着陸できるローカルの整備には、
助成金だけでなく、「着地出来そうだ!」と思える
現状のローカルビジネスの底上げが重要な課題となりそうです。

2. ローカルスタートアップ

まちの商店街がシャッター街化し、
ローカルビジネスが減少している四日市には
新たな活気を生むローカルスタートアップが必要です。

そのため、地域の公的機関が連携した創業支援組織、
四日市創業応援隊がスタートアップの支援をしています。

昨年、その組織の支援から起業したのが、外国人材紹介・支援サービスを提供している、SKYグローバルリンク株式会社。四日市市には、四日市コンビナートやキオクシア(旧、東芝メモリ)などの工場が多く、第一次産業も行われているため、人材確保が課題となっています。

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しかし、しばらくインターネットで調べるも
ローカルスタートアップ企業はとても少なく、活発ではありません。

これは前述の、起業する土台がないことも原因なのではないかと思います。

3. ローカル発大企業

そんな四日市発の大企業があります。

四日市市の繁華街(だった)スワマエ商店街に、オカダヤという百貨店がありました。百貨店の開業は1958年で、その前は、岡田屋呉服店という呉服店でした。

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オカダヤ

呉服店が百貨店と大きくなった後、さらに1969年に総合スーパーになり社名がジャスコに変わりました。

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ジャスコ

私自身も幼少期はこのジャスコに買い物にいき、ついでに周囲の個人商店でも買い物をしていました。当時は、商店街に買い物にいくことが当たり前でした。しかし、2002年にこちらの店舗は閉店し、郊外の広いジャスコに買い物にいくようになりました。

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そしてジャスコは、1989年にイオングループへと社名を変更し、現在にいたります。今や、全国各地にイオンモール(ショッピングセンター)があり、三重県四日市市から全国区の大企業になっています。

このイオングループの成長は私の生活の変化とも大きく関係していました。

商店街にあったジャスコというスーパーで買い物&商店街でも買い物
→郊外にショッピングモール化したジャスコができる
→郊外のジャスコに行くようになり、商店街には行く頻度が減る
→商店街にあったジャスコが閉店
(→ジャスコがイオンショッピングモールとなって全国へ)
(→四日市商店街のシャッター街化)
→全く商店街に行かなくなる

もちろん、四日市商店街がシャッター街化した原因は、ジャスコだけではありませんし、この変化が一概に良いとも悪いとも言えません。なぜなら、郊外ショッピングモール型の都市・地域像は国の政策だからです。

1980年代ないし90年代移行の政策展開が、アメリカン・モデルをなぞるように"郊外ショッピング・モール型"の都市・地域像が志向されていた。日本の地方都市の地方都市の空洞化は、国の政策の"失敗"の帰結ではなく、むしろ政策の"成功"、つまり政策が思い描いたような都市・地域像が実現していった結果

人口減少社会のデザイン(一部抜粋 / p34)

このことから、ローカルビジネスには、一企業の成長はもちろん、国の政策も大きく関わっているということがわかりました。

現在の政策は平成26年から、「まち・ひと・しごと創生」として、人口減少社会への対応と地域経済の活性化を目的としています。

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「まち・ひと・しごと創生」(内閣官房・内閣府 総合サイト)

このような政策の舵取りは、今後ローカル発ビジネスを後押ししていけるのか。次回以降で考えていきたいと思います。

まとめ

今回は、広井良典先生の著書「人口減少社会のデザイン」から、
地元三重県四日市市のローカル発ビジネスを規模に分け、
1. ローカルビジネス
2. ローカルスタートアップ
3. ローカル発大企業
について考えました。

いずれも、少子高齢化、人口減少が課題となっていることが
明確になりました。
次回は、少子高齢化、人口減少の課題を抱えながらも
ビジネスを成功させている例について考えたいと思います。

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