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フウコと小オアシス25-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「相手は30機、テディ・Dは1人、あとは入り口を3台の農作ロボットが固めているそうだが、これは頼りにならない。守り切れるかな」
億劫なのかムサシは片目だけあけて、じろりとオジャムを見ている。
「ま、守り切れるさ。ムサシ君だって知っているだろ。テディ・Dはとても強いって……」
「そうかもしれないけどな…どうも、あいつは安定して力を発揮できないタイプだからな。パイロットとしてムラがありすぎる。それに…」
「それに…?」

26-29話追加(ハルカナルのサイトを見ていただく方も増えてきたので、更新した場合、お知らせしていきます)

「北の入り口だけ守っていて大丈夫かな?」
「どういうことだい?」
「何だか悪い予感がするのさ…」
「悪い予感…!?」
「ま、俺には関係ないがな…」
ムサシはあくびをすると、再び壁の方を向いて、眠ってしまったのか、何も言わなくなった。

「ムサシ君ってこんな時に、よくねむれるよな…」
オジャムが嫌味を言うわけでなく、妙に感心していると、フウコが「あっ!」と叫んで立ちあがった。
「どうしたんだい?」
「私は村のあちこちで寝ているから知っているんだけど、西の湿地帯では水がひいて村に入れる時間があるの。それは日暮れの頃なのよ!」
「なんだって!?」
オジャムが窓をあけて空を見ると、茜色が徐々に紫に染まり、夕陽が沈み始めていた。
「それって、もうすぐじゃないか!」
「だって、犬やら猫がそこを通り道にしているのをたまに見るんだもの!」
「大変だ、テディ・Dに知らせないと……でも、今テディ・Dは戦いで手いっぱいだし…」
オジャムがおろおろしていると、ムサシが大きなあくびをして起き上がった。
「ったく、お前たちがうるさくって、ろくに昼寝もできやしないよ!」
そして、深緑のアーミージャケットをはおった。
「どこにいくんだい?」
「……散歩だよ」
「散歩だって!? こんな時に、どこにいくのさ!?」
「こんな時に散歩しちゃいけないって、決まりはないだろ」
「そ、そうだけど…」
「ついでに宿のおっさんに夕飯も作るように頼んでおくよ」
あ然とするオジャム達をしり目に、ムサシは何の動揺もみせずに、ポケットに手を突っ込むと、さっさと部屋を出て行ってしまった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信/23-25話追加)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。


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