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フウコと小オアシス32-サイレント・ネオ-boy meets girl-

サムソンの勝ち誇る声を聞くと、オジャムは悲しげにつぶやいた。
「やっぱり、僕はてんで弱い役立たずだ…」

30-32話追加(更新した場合、お知らせしていきます)

32

目には涙をためたオジャム、もう、すべての勝負が決まったと思い、観念したかのようにうつむいた。
そして、オジャムの上をCAの巨大な足の影が覆った時だった。
ビームライフルのうなるような高い音が響いた瞬間、閃光一閃、サムソンののるCAのフェイスを撃ち抜いてしまった。
さらに、次々とビームライフルの光線がオジャムの頭上を飛んできて、他の4機も正確無比に撃ち抜き、あっという間に全滅させてしまったのである。
「ま、まさか…」
オジャムがゆっくりと後ろを振り向くと、ムサシの乗るサイレント・ネオが立っていた。
「む、ムサシ君どうして…?」
「CAに乗って散歩しちゃいけないなんて決まりないだろ、たまたまさ……」
「ムサシ君、早く北に行かないと、村が大変なことになっちまうよ!」
「わかってるよ、オジャムは宿に戻ってろ!」
「わかった!」

それからの決着はあっという間だった。
北の入り口に侵入し、今まさに攻撃しようとしているところに、突如サイレント・ネオが現れた。
ネオは背中からビームサーベルを抜くと、出会いがしらに手当たり次第、盗賊ののるCAを切り捨てていった。
不意をつかれた上に、盗賊たちは首領も副頭もすでに失った烏合の衆である。加えて逃げた後、考えをかえた村人の乗る3機の農作ロボットは、再び踵をかえて入り口に戻ってきた。
戦力という戦力ではなかったが、戦う姿勢を示すことが大切だった。
これが決め手となって、モーラ残党は総崩れとなり、蜘蛛の子が散るように逃走していった。
もちろん、この様子をテディ・Dは実験機のモニターごしに、じっと見つめていた。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。



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