見出し画像

【酒蔵ツアーレポート】川西屋酒造店で愛を叫ぶ!!

今日は料理教室の生徒様を対象にした酒蔵訪問ツアーを実施いたしました!!

いやはや、これがもう最高過ぎて…。興奮し過ぎて眠れないので、レポートを書いて心を落ち着かせたいと思います。笑

日頃は新宿のキッチンで日本酒と料理について学んでいただいているのですが、やはり百聞は一見にしかず。リクエストを頂いたこともあり、いざ教室を飛び出して、実際に酒蔵に行ってみよう!!というツアーを企画したのです。

酒蔵を訪問するにあたり、絶対に私が皆さんをお連れしたいと思っていたのが、神奈川県川西屋酒造店さん。
元々は、東中野の和ごはん一献丸屋さんに通っていたのをきっかけに出会った酒蔵さんで、これまで3回ほど蔵に訪問したことがあったのです。

川西屋さんでは「隆」「丹沢山」という2つの銘柄のお酒を醸されており、しっかりと熟成させて旨味を乗せ、燗酒にして美味しい酒質をとことん追求されている酒蔵さんです。

お酒が美味しいのはもちろんのこと、私は川西屋酒造店の蔵人さん皆さんの心が大好きなのです。
何よりも、皆さんが心から自分たちの醸すお酒に誇りを持たれていて、その素晴らしさを余すことなく伝えてくださるのが本当に魅力的で、心から尊敬する蔵元さんです。(この一節だけで「心」という言葉を3回も使っている…。)

JR山北駅から徒歩20分、目の前に山がそびえる住宅街に酒蔵はあります。
到着したら、まずは酒蔵見学からスタートしました。

総勢25名でお邪魔したので、2グループに分かれてご案内いただきました。
私は若手蔵人の二宮さんのグループ。

まずは瓶詰め場から。
川西屋さんでは近年どんどん最新式の機械を導入されており、瓶詰めも効率化されているそうな。
現在、3名の社員さん+造りの時期だけ来られる南部杜氏さん、そして数名のパートさんという体制で年間700石(1石=一升瓶100本)のお酒を造られているとのことで、できるだけ作業を効率化するのは必要不可欠ですね。

洗米機も2年ほど前に新しいものに替えられたそうで、ぐんと酒質が綺麗になったそうです。

ついつい私たちは「手作業の酒造りが一番!!」と盲目的に考えがちですが、洗米に関しては、機械で行った方が水切れが良く、糠が綺麗に取れるそうです。

必要に応じて、適材適所に最新技術を配備すると、労働環境も酒質も改善するのだと、改めて気付かされました。

そしてこちらは、米を蒸すための道具。
川西屋さんでは、伝統的な和釜でお米を蒸されいます。

現在の主流はボイラー式なのですが、和釜だと乾燥蒸気で米を蒸すことができるため、外硬内軟のお米に蒸し上げることができるそうです。
いい麹を作るためには、いい蒸米を作ることが必須。

ここまでが原料処理と言われる工程で、実はこれらの工程は、のちの酒造工程に大きな影響を与えます。お米を上手に蒸さなければ、いい麹もいい酛も醪も作れません。
この部分を大切にされている酒蔵さんは、心から信頼できますね!!

そして、こちらは和釜のお隣にある分析室で、最新の分析器がゾロリと並んでいます。「この規模の蔵でここまで分析器を揃えているのはウチぐらい」とのことで、お酒の分析にも余念がありません。
これらの機械で、日本酒度やアルコール度数、酸度などを測ることができます。

そしてお次は酒母室
お酒の酛を仕込むお部屋ですね。

現在は造りをしていないので倉庫になっていますが、造りの時期はここに酒母のタンクが並ぶそうです。

低温で管理されており、劣悪な環境で強い酵母を育てるそうです。
温かくてぬくぬく育つような環境では、弱い酵母しか育たないため、力強いお酒は造れないのだそう。

こちらは醪のお部屋。
上の写真は、密閉タンクと呼ばれる蓋付きのタンクなのですが、川西屋さんでは主に「解放タンク」(写真右手前)と呼ばれる蓋のないタイプのタンクを採用されています。

蓋付きの密閉タンクは、酵母がアルコール発酵する際に発する香りを閉じ込めることができるため、より香りを重視した酒にはもってこい。

しかし、川西屋さんではむしろ香りはあまりつけたくないそうなので、解放タンクの方が好ましいとのことです。
どんな酒質に仕上げたいかによって、タンクの種類も変わってくるのですね。

手塩にかけて育てたお酒たちは、ベストな状態で瓶詰めされ、冷蔵庫で丁寧に保管されています。

こちらも同じく、「この規模の蔵でここまで大きな冷蔵設備を持ってるのはウチぐらい」というほど、珍しいのだそうです。

隆と丹沢山がずらりと並ぶ、日本酒ワンダーランド。
ずっと眺めていたい(そして飲みたい)光景です。

さて、一通り酒蔵見学が終わったら、お昼ご飯タイム!!
(待ってましたとばかりの全員弾ける笑顔!!)
皆さんにはお昼ご飯をご持参いただいたのですが、残念ながら手作り率は1%ほど。。涙

せっかく料理教室メンバーとして伺っているので、次回は1人1品手作りでご持参いただこうかしら。笑

私は責任感もあり(笑)しっかり作ってきましたよ!!

おつまみ弁当、おにぎり弁当、そしてお酒に入れる用のフルーツたち。

そう、午後の試飲勉強会では、米山工場長お得意の「燗グリア」も披露しくださるとのことだったので、フルーツを持参したのです。

とくとくとくとく。
プラムを入れたグラスに、お酒を注いでいきます。

一晩おくのが理想だそうですが、今回は10分ほど置いてから飲みました。

ほんのり、フルーツの味を感じるか感じないかぐらいがいい感じ。
 フルーツの味に独占されてしまってはお酒の美味しさが消えてしまうので、ほどほどに効いてくるのが良いそうです。

さらに勉強会では、お酒に新聞紙を巻いてのブラインドテイスティングまでしていただきました!!
3種類のお酒を、情報のわからぬままテイスティングし、それぞれディスカッションした上で答え合わせするという方式です。

何もかもわからぬまま、ひとまずテイスティング。
①と②のお酒は似ているように感じたのですが、お燗にすると②が抜群に美味しい!!ほのかに香ばしさを感じます。
③のお酒は、あきらかに生酒。美味しいのですが、少し重たさと苦味を感じる。

はてさて、①と②は確実に火入れの丹澤山系だと思ったのですが、果たしてどの丹澤山か??
…おそらく、②の方が香ばしさがあり、①の方がまったりとした熟成感があったので、「①が丹澤山 麗峰!!②が丹澤山 秀峰!!」

と答えたところ、なんとどちらも丹澤山 麗峰という引っ掛け…!!

しかし、なぜ同じお酒をブラインドテイスティングしたかというと、それは抜栓日違いによる味の違いを知るため。

①のお酒は開けたてで、②のお酒は開けてから1週間以上経過したもの。
やはり、麗峰のようなしっかり熟成させたお酒は、栓を開けてから数日間おいた方が空気に触れて味が開くのだそうです。

そのため、開けてから時間がたった②の方がお燗にした時に香ばしさを感じたのですね。いや〜、面白い…!!
しかし、これを当てるのは美味しんぼ山岡士郎でなければ不可能です。。

このように、川西屋さんではしっかりと熟成させて旨味を乗せたお酒を真骨頂としており、そのようなお酒は、先ほどのように、開けてから数日置くことで味を開かせることを推奨されています。

しかし、開けてすぐ飲む場合は、なんとかして味を開かせる必要があります。

そこで編み出された技術が半端じゃないのです。
上の写真のカラフェにお酒を注ぎ、くるくると回して空気を含ませることで、お酒の味がまろやかになります。

他にも、お酒を高いところから落とすことによって空気を含ませると、ふくよかな味わいになったり、グラスに入れてくるくると回すと、ボリュームが出たりします。どのように味を開かせるかによって、お酒の味はいかようにも変わるのですね。

…その後も、様々な温度帯でお酒を試飲させていただき、おつまみとのペアリングも楽しみながら勉強させていただきました。
結構な量を飲んだので、泥酔者が出てご迷惑をおかけしないかヒヤヒヤでしたが、幸い皆さん全員酒豪だったので(笑)、終始楽しみながらお勉強させていただくことができました。

品が良く、節度のある生徒さんたちで(そして何よりお酒が強い…!!笑)本当にありがたかったです。。涙

そして最後は恒例のじゃんけん大会!!

勝者には丹澤山Tシャツがプレゼントされました!!

しかも男女一着ずつ!!
米山さんありがとうございます!!

そんなこんなで、終始米山工場長に全てを託してしまい、私は遊び呆けていたのですが、最後に簡単にご挨拶をさせていただきました。(最初にしておけ!!笑)

私が川西屋さんに出会ったのは約6年ほど前で、おそらく初めて訪問させていただいた酒蔵さんです。
それからというもの、まあ本格的に日本酒(特に燗酒)に惚れ込んでしまい、現在に至ります。

思い返してみれば、川西屋さんに出会っていなければ、このように日本酒と料理を中心とした仕事をしていなかったかもしれないです。
それだけ思い入れが深く、私の人生を大きく変えてくれた酒蔵さんです。

そして、毎回蔵に訪れるたびに新しい設備を導入されたり、新たなお燗技術を編み出されていたり、とにかく飽くなき探究心でより良いお酒造りのために努力を惜しまないんですよね。
そして、ご自身で造られたお酒に誇りを持たれている。

そんな川西屋さんの皆さんの心に惚れ込んでしまったのです。
もう、愛を叫びたいくらい大好きなのです。笑

川西屋さんでは、通常は一般のお客様の訪問は受け付けておらず、普段は酒販店さんや飲食店さんを対象にこのような飲みきりや勉強会を開かれているため、正直「料理教室」として訪問して本当に良いのだろうかと、肩身がせまい思いでおりました。

しかし、米山さんは快く受け入れてくださり、先ほど御礼のメールの返信でこんなことを仰ってくださいました。

「いつもの酒屋さんや飲食店さんのチームと違い全員素人さんというのは殆どありませんのでとても新鮮でした。
日本酒って本当に楽しくて美味しくて、ちゃんとした飲み方提供の仕方でいくらでも幅は広がるし逆に提供の仕方や飲み方を間違えれば駄作にもなってしまいます。
私達は賞を取るために酒造りをしているわけではありません。
そこに食があって更に楽しんで貰うための一つの手段として日本酒を選んで頂ければ本望です。酒屋さんだろうと飲食店さんだろうと最後は気持ちだよ。」

もう…、改めて大好きな酒蔵さんになりました。涙

きっと、生徒さんたちも大ファンになったことでしょう。
最後は皆さんお酒2〜3本は買っていかれましたもの。笑

日本酒は、美味しくて楽しいもの。
そしてペアリングは、日本酒を更に楽しむための一つの手段。

肩肘張らずに、これからも食とお酒を楽しみながら、人生を豊かなものにしていきたいですね!!
丹澤山、墓場まで持っていきたい日本酒です。笑

お忙しい中ご対応くださった川西屋酒造店の皆様、本当にありがとうございました!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?