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【入門編】日本酒マリアージュ通信

《この記事は前半(日本酒に関する情報)は無料、後半(ペアリングに関する情報)は有料としております。前半だけでも是非お目通しいただけましたら嬉しいです!!》

先月スタートしました、日本酒マリアージュ通信
私が主宰している、日本酒と発酵食料理をペアリング形式で学べる日本酒マリアージュ料理教室を、noteを通してご体験いただけるサービスです!!

詳しくはこちら。

先々月、見切り発車で第一弾の記事(無料サンプル)を公開してしまいましたが、うっかり入門編の記事を書いていなかったことに気がつきました。
(意気揚々と第二弾の記事を書きながら気がつきました…。)

私のレッスンでは、初参加の方には30分前にお越しいただき、日本酒とペアリングについての簡単な講習を受けていただいております。
日本酒とペアリングの基礎知識を踏まえた上でレッスンに参加していただけるので、日本酒初心者の方にも安心してご参加いただいているのです。

レッスン風景はこんな感じ。
料理教室ですが結構座学多めです。

そして、この日本酒マリアージュ通信においても、やはり日本酒とペアリングの基礎知識を最初に踏まえていただいた上で本編に入っていただくのがオススメです。

ペアリングに関しては、私が独自に構築した極めてシンプルなロジックがあり、図式化して分かりやすくしておりますので、是非ご参考になさっていただきたいです。

そこで最初に日本酒の基礎知識についてご説明したいと思うのですが、我らが日本最大級の日本酒webメディア様の記事がイラスト付きで大変分かりやすいので、こちらを引用させていただきます。

しかも、これらのイラストは無料ダウンロードして自由に利用できるというのだから、さすがはSAKE TIMES様…!!
ということで、これらのイラストと、これまで訪問した酒蔵さんで撮影させていただいた写真(統一感がなくてごめんなさい)に沿って、日本酒について簡単に説明させていただきます。

STEP1:日本酒の造り方

それでは最初に、日本酒がどのように造られているのかを簡単に説明させていただきます。より詳しい内容は各月のレッスンで踏みこんで解説しているため、ここではさわりの部分だけになります。
まずはざっくりと、日本酒がどのように造られているのかをイメージしていただければ充分です◎

〜精米〜
米の表層部分にはたんぱく質やミネラルが多く含まれており、この部分が多すぎると「雑味」として感じてしまうため、しっかりと精米することで綺麗な酒質に仕上げることができます。

〜洗米・浸漬・蒸し〜
白米の表面の糠を洗い落とし、水に浸漬させて吸水させたら、外側は硬く内部は柔らかい「外硬内軟(がいこうないなん)」に蒸し上げます。
蒸し加減は後の工程に影響してくる重要なポイントです。
*ここまでの工程を「原料処理」と言います。

写真は奈良県の菩提酛清酒祭で見学した蒸しの工程で、ちょっとイレギュラーな様子ですが、なんとなくのイメージをお持ちいただければ幸いです…!!

〜製麴(せいきく)〜
蒸米に麹菌を繁殖させることで、麹菌のアミラーゼ(糖化酵素)により米のデンプン質をブドウ糖に分解します。
これにより、初めて米が酵母のエサになることができるのです。

こちらが麹で、表面のふわふわしているのが麹菌の胞子です。(イメージ写真)

〜酒母(しゅぼ)造り〜
醪を仕込む前に、「酒母」と呼ばれる、酵母を大量に培養した発酵液を造り、後の発酵がスムーズに進むようにします(原料は蒸米、麹、水)。

〜醪(もろみ)造り〜
酒母に蒸米、麹、水を加えて醪を造り、アルコール発酵を行います。
麹の「糖化」と酵母の「アルコール発酵」が同時に進む並行複発酵という、世界的に珍しい発酵技術です。
酒造りと言えば、この工程を想像される方が多いかと思います。
*発酵期間は、だいたい2週間~1ヵ月程度です。

〜搾り〜
醪が適度なアルコール度数になり、ちょうどよい味に仕上がったら、醪を搾り、酒と酒粕に分けていきます。

〜貯蔵〜
濾過や加水などの調整を行なった後、タンクや瓶で貯蔵します。


…それでは、日本酒の種類がどのように分類されているのかを見ていきましょう。

STEP2:日本酒の分類(特定名称)

日本酒のラベルには実に様々な名称が付いているので、「日本酒って複雑〜!」と困惑されるかもしれませんが、「これだけ知っていれば大丈夫!」という基本的な分類をご紹介したいと思います。

日本酒の基本的な分類は、「米をどれくらい磨いたか(精米歩合)」「アルコール添加をしているかどうか」という基準によるもので、所定の要件を満たすものは「特定名称酒」、それ以外は「普通酒」となります。

【精米歩合】
玄米を磨いて残った白米の割合を「%」で表したもの。より多く磨いたものは「吟醸」や「大吟醸」などの名称がつく。

【アルコール添加】
醪に醸造用のアルコールを加えて酒質を調整すること。
アルコール添加していないものは頭に「純米」という名称がつく。

そして、特定名称酒は下記のように分類されています。

ちょっぴり複雑に見えますが、細かい数字まで覚えなくても大丈夫!!
覚えることは二つだけです。

①醸造アルコールが添加されていないお酒は頭に「純米」という名称がつくこと。
②たくさん磨いたお米で造られたお酒は「吟醸」、もっともっと磨いたお米で造られたお酒は「大吟醸」という名称がつくこと。

さて、それでは、これらはどのように味に影響してくるのでしょうか?

STEP3:日本酒の味わいを構成する要素

日本酒の味わいは、主に「原材料」「製法」(+造り手の想い…!?)の掛け合わせにより形作られます。
そして、ワインのようにブドウの味が直接的に味わいに影響するお酒に対して、日本酒は製法が複雑なぶん、原材料以上に製法が味を左右する場合があります。

それでは、はじめに原材料について見ていきましょう。

【主原料】
<水>

日本酒の成分の80%は水ですので、日本酒の味わいに大きく影響してきます。軟水の方がなめらかで甘口、硬水の方がキリッと辛口になる傾向があります。
<米>
米の品種や品質によって味わいは微妙に変わってきますが、それ以上に味に影響するのは精米歩合。お米をたくさん磨いた方が、雑味がなく綺麗な味わいで、香り高いお酒になりやすい。反対に、磨いていないお酒は旨味が強く(多すぎると雑味に感じる)、香りの少ないお酒になりやすい傾向があります。
<麹>
麹菌の菌糸の破精具合により、甘みや味の濃淡などが変わってきますが、そこまでの情報は通常知り得ないので、あまり意識しなくて大丈夫です。
ただし、通常は黄麹菌が使われているのに対して、白麹菌や黒麹菌が使われたお酒は、クエン酸を多く生産するため、酸味の強い味になります(その場合は、ラベルに情報が記載されている場合が多いです) 。

【その他の原材料】
<醸造アルコール>
お酒の味にキレを出したり、吟醸酒の場合はより香りを高くすることを目的に、少量添加されている場合があります。
または、安価なお酒の場合はかさ増しのために加えられています。
<糖類、酸味料、アミノ酸など>
甘味、酸味、旨味を調整する場合があります。

上記が、ラベル表示義務のある原材料(水を除く)で、これ以外に清酒酵母や醸造用乳酸などの表示義務のない原材料が使われていることもあります。
これらについては、今後のマリアージュ通信で詳しく解説していきますね。

それでは、次に製法はどのように味に影響するのでしょうか。
代表的な要素を5つご紹介いたしましょう。

【酒母の造り方】
醪を仕込む前に造る「酒母」の製法により、酸味や旨味が微妙に変わってきます。酒母の製法は、大きく分けて2つあります。
(1)速醸系酒母 …醸造用乳酸を使用した製法
(2)生酛系酒母…天然の乳酸菌を活用した製法(生酛,山廃)
生酛系の方が旨味や酸味が強く、辛口の傾向があります。速醸の場合は特に表記されていませんが、生酛系の場合は表記されています。酒母に関しては、2019年2月度の「酒母特集」で詳しく説明していきます。

【酵母の種類】
酵母の種類により、香りや酸味が異なってきます。
特に、お酒のフルーティーな香りは、主に酵母によるものです。

【濾過の有無】
醪を搾った後の原酒は、フィルターにかけたり活性炭で濾過されたりします。濾過することで透明な色の綺麗な味に仕上げることができますが、美味しい香りや味も一部除去されてしまうため、最近は濾過しないお酒が増えています。濾過していない日本酒は「無濾過」と書かれています。

【火入れの有無】
日本酒は通常2回の火入れが行われています。
菌を殺し、酵素を失活させることで、品質を安定させるのが目的です。
しかし、火入れをすることによって香りやフレッシュな味わいが失われてしまうため、最近は火入れをしていないお酒が増えています。
ただし、味が変わりやすいため、冷蔵保存して早めに飲む必要があります。
・生酒(本生)…全く火入れしていないお酒
・生詰、生貯蔵…一度だけ火入れしたお酒 

【加水(割り水)の有無】
醪を搾った後の原酒は、アルコール度数が高く、味が濃いため、通常はアルコール度数を下げたり味を調整するために、加水(割り水)されている場合が多いです。
加水していない日本酒は「原酒」と書かれています。

原材料と製法に関しては、上記を覚えればまずはバッチリかと思います!!
一気に覚えなくて大丈夫なので、わからないことがあったらここに戻ってきて、振り返るようにしてくださいね。
それでは次に、日本酒の簡単なタイプ分類をご紹介したいと思います。

《恐れ入りますが、ここからは有料とさせていただきます。スタバのコーヒーよりも安い300円で、かなりの情報量。損はさせません!!》

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