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【日本酒マリアージュ通信】 スパイス&ハーブ料理 × 日本酒 (2018年7月レッスン)

以前予告しておりました日本酒マリアージュ通信、いよいよ始動いたします!!
第一回目の今回は、サンプルとして無料でお読みいただけるようにいたしました。

予告編でお伝えしておりました通り、日本酒マリアージュ通信は下記のような方に向けた購読サービスです。

・料理教室に参加したことがある方で、参加できなかった月のレシピを知りたい方
・料理教室には参加できないけれど、レシピや情報を知りたい方

定期購読ではないので、単発1記事500円でお気軽にお読みいただけます。
…とは言え、内容が分からないのに500円も支払うのは高いと感じてしまいますよね。ということで、今回はサンプルとして無料でご覧いただけるようにいたしました!!

そして、昨年4月からスタートした日本酒マリアージュ料理教室ですが、現在のようにきちんと内容が整ってきたのは7月頃からかなあ…と思うので(そもそも写真があまり残っていなかったり…)、7月度の内容からスタートしたいと思います。

7月テーマ:スパイス&ハーブ料理 × 日本酒

「日本酒=和食に合わせる飲み物」というのは、もはや昔の話。

日本の食の多様化に伴い、日本酒の味わいも実に多様化しているのです。

香りが華やかなものや、甘酸っぱいもの、低アルコールのものや、シャンパーニュのような瓶内二次発酵のきめ細かい発泡酒など…。
最近は本当に個性豊かな日本酒が多く、それらの魅力を最大限に楽しむには、もはや和食だけでは間に合わないのです。

そんな時に大きな可能性を秘めているのが、スパイス&ハーブ
これらをうまく取り入れることによって、今まで出会ったことのないような日本酒マリアージュに出会うことができます。

そんなスパイス&ハーブ料理が食べたくなるのは、やはり夏。
そこで、昨年2018年7月度のレッスンで特集いたしました。

当時、レッスンで取り上げるにあたりスパイス&ハーブについて勉強したのですが、スパイスの歴史ってとても面白いんですよね〜。

こちら補足しますと…
マルコ・ポーロの「東方見聞録」は、東洋を旅して目にした美しい絹織物、中国やモルッカ諸島のスパイス、ジパング(日本)の黄金の宮殿などを、1299年にまとめたもの。これがヨーロッパの人々に強烈な印象を与え、好奇心を掻き立て、300年にわたる大航海時代に突入します。

15世紀頃には冒険者たちによって海洋貿易路が開拓され、スパイスが比較的たやすく手に入るようになり、ヨーロッパの料理にもハーブやスパイスが取り入れられるようになります。
そして、ヨーロッパでもスパイスやハーブの栽培が行われるようになったものの、
どうしても手に入らないクローブやナツメグを巡って、ヨーロッパ各地で争奪戦が激化し、東南アジアにおけるスパイス戦争に発展。

16世紀にはポルトガルとスペインが植民地を次々に獲得した後、16世紀後半にはイギリスがスペインとポルトガルの領海へ進出してインドでイギリス東インド会社を設立。勢力を拡大していきます。
その後、オランダがモルッカ諸島に進出し、イギリス・ポルトガル・スペイン・オランダの4ヶ国でスパイス戦争が始まりますが、オランダが見事勝利。18世紀までの2世紀近くに及び、オランダが繁栄したそうです。

しかし、それまで参戦しなかったフランスが、オランダ領でクローブやナツメグなどの苗を倒木。フランス支配下のマダガスカル島に移植を皮切りに、南米や西インド諸島にも移植先を広げることで、移植先での生産高が増大し、スパイス戦争は終焉を迎えることになります。

▼参考書籍「スパイス&ハーブの使いこなし事典」から抜粋

以上がヨーロッパにおけるスパイス戦争の一部始終でしたが、日本におけるスパイスの歴史はと言いますと…

さすがは食材王国日本。
ヨーロッパでは喉から手が出るほど…というか戦争が起きるほど欲しがっていたスパイスが昔から容易に手に入ったにも関わらず、食材に恵まれている分、スパイスは定着しなかったのですね。

…というで、料理教室のテーマは「スパイス&ハーブ」であるものの、必ずしもクローブやナツメグなどに限定せず、和のハーブやスパイスも取り入れた内容にいたしました!!

それでは、日本酒とレシピのご紹介です。
今回は料理主体のテーマであるものの、お酒ありきでレシピを組み立てていったので、お酒の紹介→レシピという順番でご紹介していきます。

レシピ①【エビとアボカドの生春巻き〜かんずりソース〜】 × 【おろちの舞 純米酒 生】

<十旭日 おろちの舞 純米酒 生>(写真左から2番目)
原料米:出雲産コシヒカリ
精米歩合:65%
アルコール分:17〜18%
日本酒度:+14
その他:加水、生酒
醸造元:旭日酒造(島根県出雲市)

十旭日さんは個人的にも大好きなお酒。
蔵の娘さんであり、副杜氏として酒造りの中心に立たれている栄里子さんはとても可憐で素敵な女性なのですが、そのイメージに反してどっしりと味わい深く、芯が太いお酒を造られるギャップがまた最高なのです。

そんな十旭日の「おろちの舞 純米酒 生」は、ヤマタノオロチ伝説が伝わる島根県出雲市にて、飯米であるコシヒカリで醸されたお酒です。飯米でお酒を造るとベタッとした味わいになりやすいのですが、こちらは非常に味のバランスが良く、しっかりした旨味とコクがありながら、後味はとても軽やか。爽やかなハーブのようなニュアンスの香味があり、バジルや紫蘇など、シソ科のハーブと相性が良いかと思います。

▼お酒は溝の口の坂戸屋さんで購入できます。
※時期によっては無い可能性があるので、事前にお電話でご確認の上お買い求めいください。

そこで、今回はこんなレシピに合わせてみましょう。

<エビとアボカドの生春巻き〜かんずりソース〜>

【材料】(4人分)
海老(殻付き) …6尾
塩、片栗粉 …適量
アボカド …1/4個
青じそ …8枚
人参 …1/2本
きゅうり …1/2本
にら …5〜6本
生春巻きの皮 …4枚
Aかんずり …小さじ1
A酢 …大さじ1と1/2
A砂糖 …小さじ1
A赤唐辛子(輪切り) …1本分
Aピーナッツ …適量

【作り方】
1.海老は殻を剥き、背わたを取り、塩でもみ洗いする。片栗粉を加えて汚れを吸着させたら水で洗い流し、ペーパーで水気を拭う。鍋に湯を沸かし、小さじ1の塩(分量外)を加え、1分程度茹でたらザルにあける。
2.人参、キュウリは千切り、ニラは7〜8cm幅に切る。海老は厚みを半分に切る。アボカドは4等分に切る。
3.生春巻きの皮をさっと水に濡らし、まな板の上に敷く。手前に青じそをしき、人参、キュウリ、アボカドを乗せる。一巻きしたら、両端を折り込み、海老とニラを乗せる。ニラを軸にして、奥まで巻く。
4.生春巻きを三等分に切り、Aを合わせたタレを添えて頂く。

【ポイント】
・巻く際は、ニラを軸にすることで、巻きやすくなります。
・木製のまな板を使うと、適度に水分を吸ってくれるので巻きやすいです。

和製ハーブとして、青じそとニラを。
そして、和製スパイスとして、新潟のかんずりを使います。

ペアリングのポイントとしては、おろちの舞の爽やかな香味に、青じその爽やかな香味が調和。そして、持ち前のコクと旨味には、ニラのガツンとした香味やアボカドのコクが調和します。

そして、味の決め手はやっぱりかんずり
雪にまいてアクを抜いた唐辛子と、柚子、麹、塩を合わせて発酵させた、新潟県妙高市の発酵調味料です。柚子胡椒のように、鍋物を食べる際に加えたり、ラーメンに加えたり、お刺身に添えたり、焼き鳥につけたり、料理の隠し味にしたりなど、使い道は無限大。

さて、ここで特筆したいのが、今回のような生春巻きのソースには一般的に豆板醤が使われることが多いのですが、それを日本の発酵調味料であるかんずりに置き換えるだけで、驚くほど日本酒との相性が高まることです。

たとえアジア料理だとしても、何か一つでも日本の調味料に置き換えるだけで、日本酒との相性がグッと高まるのが面白いですよね。
この考え方は、アジア料理に限らず、イタリアン、フレンチ、中華など、様々な国の料理に応用できますので、お試しあれ。

レシピ② 【水菜とパクチーのグレープフルーツサラダ】 × 【花巴 山廃純米大吟醸Splash】

<花巴 山廃純米大吟醸Splash>(写真右から二番目)
原料米:吟のさと(奈良県産)
精米歩合:50%
アルコール分:16%
日本酒度:不明
その他:活性にごり生原酒、酵母無添加
醸造元:美吉野酒造(奈良県吉野郡)

酵母無添加、酸を表現した酒造りが特徴の花巴。
生米を乳酸発酵させて酒母を造る水酛のお酒や、木桶仕込みのお酒など、個性豊かなお酒が多い中、夏限定の発泡酒「Splash」は、山廃でありながら非常に爽やかな味わい。瓶内二次発酵で酵母が生きているため、飲むタイミングによって味わいが変わっていくのも面白さの一つです。

きめ細かい発泡感が心地よく、グレープフルーツなどの柑橘やブドウを思わせる複雑な果実味があるため、果物を使った料理を合わせたくなります。
そして、花巴特有のふんわり独特な香りも多少あるため、パクチーなど香りが強いハーブとも相性が良いかと思います。かつ、にごり酒のため、チーズなどコクのある食材を加えると更に相性が良くなりますね(白×白の色合わせ)

そして、上記のイメージをそのまま体現したのが、こちらのお料理です。

<水菜とパクチーのグレープフルーツサラダ>

【材料】(4人分)
水菜 …2束
パクチー …1束
グレープフルーツ(ホワイト) …1/2個
紫玉ねぎ …1/4個
モッツァレラチーズ …50g
ピンクペッパー …適量
Aナンプラー …大さじ1と1/2
Aココナッツオイル …大さじ1と1/2

【作り方】
1.水菜、パクチーはざく切りに、紫玉ねぎは繊維に沿って薄切りにする。グレープフルーツは身を取り出し(果汁も残しておく)、手で食べやすい大きさに割く。モッツァレラチーズは一口大にちぎる。
2.グレープフルーツ、モッツァレラチーズをAの調味料と合わせ、さっと混ぜる。
3.皿にパクチー、水菜、アーリーレッドを盛り、2の具材を散らし、汁気をまわしかける。仕上げにピンクペッパーを散らす。

【ポイント】
グレープフルーツとモッツァレラチーズは、調味料でマリネすることで、味が馴染んでお酒との相性が良くなります。

こちらのレシピの主役は、やっぱりパクチー!!
パクチーと花巴って、すごく合うんですよね…。
しかし、パクチーのみだとクセが強すぎるので、水菜をミックスすることでパクチーのクセを和らげ、かつ瑞々しく仕上げます。

調味料は、シンプルにナンプラーとココナッツオイルのみ。(花巴は異国感が強いので、十旭日と異なり、あえて日本の発酵調味料を使用していません)
また、本当はここにレモン汁やビネガーを入れたくなるところですが、ここで登場するのがグレープフルーツ。具材であると同時に、酸味のある果汁が調味料の役割を果たします。

ちなみに、ココナッツオイルを使うのも大きなポイント。
通常、ココナッツオイルは香りが強いので、一般的な日本酒には合わせにくい(香りが支配されてしまうため)のですが、花巴のような酵母無添加による独特な香りを持つお酒には、やけに調和するのです。
クセが強いな〜と思ったお酒には、同じようにクセの強い調味料を使ってみるのがオススメです。

日本酒と料理を本気で合わせる際は、食材はもちろんのこと、調味料選びにも気を使いたいところですね!!
ここをオリーブオイルにしてしまったら、相性がガラッと変わってしまいます。
(もちろん、あまり神経質になりすぎるのも良くないので、楽しんで研究するのが一番です^^;)

そして、生徒様の反応で印象的だったのが、パクチーが苦手な方が「このペアリングなら美味しく食べられる!!」と、パクチー嫌いを克服してくれたことです。
料理と合わせることで日本酒が飲みやすくなるどころか、日本酒と合わせることで苦手な食材を克服できるポテンシャルがあるなんて…と感動したのを覚えています。

なお、皆様の反応としては、総じて…

・お酒の酸味とグレープフルーツの酸味が合う!!
・お酒の香りとココナッツオイルの香りが相まって心地よい♪
・お酒と料理の一体感がすごい!!

とのことで、このペアリングは本当に大好評でした…!!

レシピ③【八角風味の豚角煮】×【睡龍 生酛のどぶ】

<睡龍 生酛のどぶ>(写真一番左)
原料米:不明
精米歩合:65%
アルコール分:15%
日本酒度:+12
その他:火入れ、にごり酒
醸造元:久保本家酒造(奈良県宇陀市)

にごり酒には珍しい、ガツンと辛口な味わいが特徴。
ビールやソーダで割っても良し、ロックで飲んでも良しなのですが、私がガツンと熱燗にして飲むのが好きです。温めると炊きたてのご飯のようなホクホクとした味わいになり、多幸感に包まれます。

このように「ご飯のような味わい」を持つ日本酒は、そのまま「ご飯に合うような料理」には全般的に合いますね。
また、生酛のどぶは辛口ながらしっかりとした味のため、肉料理にも負けず、油ものとも相性抜群。特に、日本酒には合わせづらい豚バラ肉のようなこってりした脂もしっかり受け止めます(こちらも白×白の色合わせの別パターンですね)。
ちょっぴりハイレベルな食中酒です。

なお、都内では人形町の佐々木酒店さんでは常時お取り扱いがございます。

さて、そんな生酛のどぶは、強めのスパイスにも負けません。
豚バラでもスパイスでもなんでも来いの、パワー系日本酒ですね。
そこで合わせたのは、こちらのお料理です。

<八角風味の豚角煮>

【材料】(4人分)
豚バラ肉(塊肉)…300g
炭酸水 …500ml
生姜(薄切り) …1かけ分
玉ねぎ …1/2個
A醤油 …50ml
A酒 …50ml
Aみりん …50ml
Aきび砂糖 …大さじ1
A水 …150g
A八角 …2個
糸唐辛子 …適量

【作り方】
1.豚バラ肉は、食べやすい大きさに切り、適量の油(分量外)を敷いたフライパンで、強めの中火で両面こんがり焼く。
2.鍋に1、生姜、炭酸水を入れて火にかけ、沸騰したら蓋をして、弱火で30分煮る。
3.豚肉、生姜を取り出し、炭酸水を捨てた鍋に戻し入れ、Aの調味料を加えて火にかける。煮立ったら落し蓋をして、弱火で30分煮る。
4.器に盛り付け、糸唐辛子を飾る。

【ポイント】
・炭酸水で煮ることで、お肉が早く柔らかくなります。
・玉ねぎを入れることで、少ない砂糖でも甘みが出ます。

こちらは圧力鍋をお持ちでない方のために、炭酸水を使って時短で作れるレシピになっています。圧力鍋をお持ちの方でしたら、普通のお水で作れます。

八角は、星のような形をしているため「スターアニス」とも呼ばれ、中国料理には無くてはならないスパイス。独特の強い甘い香りが特徴で、入れすぎないように注意が必要。豚肉や鴨肉などの料理に使われることが多く、杏仁豆腐などのデザートに用いられることも多いそうです。

豚角煮に加えると、豚肉臭さを消してくれ、八角の独特の香りがなんともたまりません。豚角煮にマンネリを感じている方は、是非お試しいただきたいです。

なお、このペアリングで重要なポイントは、お酒の温度帯。
豚脂の融点は33〜46℃だそうで、それよりも低い温度だと固まってしまいます。そのため、冷酒と合わせると、脂が口の中で固まってギトついてしまいます。

そのため、豚バラ肉のような脂の多い部位を使った料理とお酒を合わせる際は、熱燗にするのがオススメです。
生酛のどぶの場合は、ガツンと60℃くらいに温めてホクホクにしてから豚角煮と合わせると、豚脂がじゅわ〜っと口の中でとろけて、旨味が口いっぱいに広がります。背中がじんわりと緩みます。
そして、そこに八角の風味が加われば、絶妙なハーモニーが生まれるのです。

このペアリング、是非お試しいただきたいです…!!

ちなみに、こちらで使用した醤油は秋田県の石孫本店さんの「百寿」、みりんは角谷文治郎商店さんの「三州三河みりん」です。

レシピ④【鮎魚醤で作るガイヤーン】 × 【伊根満開】

<伊根満開 赤米酒> (写真一番右)
原料米:五百万石(京都県産米)、赤米(伊根町産、特別栽培米)
精米歩合:60%
アルコール分:14〜15%
日本酒度:-18
酸度:+6
その他:火入れ
醸造元:向井酒造(京都府与謝郡)

京都の丹後エリアである伊根の酒蔵、向井酒造さん。
昨年訪問したのですが、本当に風光明媚な場所にある酒蔵さんです。

そんな向井酒造さんは「京の春」という銘柄を主力とされていますが、一際目立つこちらの「伊根満開」は、赤米を使用した甘酸っぱいお酒。
杜氏の向井久仁子さんが、東京農業大学を卒業して蔵に戻られた際に、新しいお酒を造ろうとチャレンジして造られたそうです。

ピンク色の見た目のイメージ通り、どことなくベリー系のニュアンスの香りがあり、フワンボワーズソースのイメージで料理と合わせても面白いです。
そして、意外にも肉とも相性が良く、甘みのあるスイートチリソースとは好相性。
(ピンク×ピンクの色合わせ要素もアリ。)

そこで合わせたのは、こちらのお料理。

<鮎魚醤で作るガイヤーン>

【材料】(4人分)
鶏もも肉 …1枚(300g)
A魚醤(鮎推奨) …大さじ1と1/2
Aクミン(パウダー) …小さじ1/2
A砂糖 …小さじ1
Aみりん …小さじ1
Aにんにく(すりおろし) …1かけ分
オリーブオイル …大さじ1/2
Bスイートチリソース …大さじ2
B酒 …大さじ1
好みの添え野菜 …適量

【作り方】
1.鳥もも肉は、余分な脂や軟骨を取り除き、厚みのある部分は切り込みをいれて、厚さを均一にする。袋に入れて、Aの調味料を加えて揉み込み、一晩以上おく。
2.フライパンにオリーブオイルを敷いて火にかけ、弱めの中火で1を皮目からじっくり焼く。適宜、出てきた脂を拭き取る。こんがり焼き色がつくまで7〜8分焼き、上下を返して3〜4分焼く。
3.Bの調味料を加え、中火で上下を返しながら焼き、照りが出たら火を止める。
4.食べやすい大きさに切り、好みの野菜を添えて頂く。

【ポイント】
鶏肉は、漬け込み過ぎるとしっとり感がなくなるため、長くても1日以内がオススメです。

ガイヤーンはタイの焼鳥のような料理で、鶏肉をナンプラーなどの魚醤やスパイスでマリネしてから焼き上げます。
しかし、伊根満開とナンプラーがどうも合わなかったため、クセの少ない原治郎左衛門さんの鮎醤を使用しました。淡水魚の魚醤は世界的にも例が少ないそうで、ここまで上品で臭みの無い魚醤は本当に珍しいです。
この鮎醤で鶏肉を漬け込むと、驚くほど肉が柔らかくなります。

スパイスの要素としては、クミンとスイートチリソースを使いました。
今回の発見としては、スイートチリソースと伊根満開が驚くほど合うこと
スイートチリソースとは、唐辛子・酢・砂糖・にんにく・塩などで作られた東南アジアの調味料なのですが、この甘酸っぱい感じが、伊根満開とばっちり調和するのです。
ここが接点となり、そこにクミンの独特の香味や鮎醤の旨味が加わり、絶妙なマリアージュが生まれます。

今回のメニューも全てそうですが、私の考えるペアリングは、まずはベースとして、調和する要素で接点を作った上で、対照的な要素でメリハリをつけたり、プラスの要素で味を足していくというのが基本になります。

もちろん、ペアリングって考えれば考えるほど難しいし、答えは無数にあります。その難しさが面白みの一つだったりもしますが、悩みすぎて挫折してしまっては本末転倒。
そこで、このような答えが無い世界で、少しでも肩肘張らずに自由にペアリングを楽しむことができる手段は無いかな〜??と模索した結果、とにかくシンプルイズベストだ!!という結論に至ったのです。

この基本的な考えを基にして、さらに深掘りすることができる。
どこまで深掘りするかは皆さん次第です!!

…と、このような形で、日本酒マリアージュ通信では各月のテーマを解説し、4種類の日本酒と料理のレシピをご紹介していきます!!

今回はスパイス&ハーブがテーマだったので、これに関する説明はそこそこでしたが、例えば今年2月に行った「酒母特集」などは、酒母に関する解説がみっちり入っていきますのでお楽しみに。

気に入ってくださいましたら、是非ご興味のあるテーマだけでもお読みいただけましたら嬉しいです♪
どうぞよろしくお願いいたします!!

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