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【開催レポート】郷土料理と日本酒のペアリングレッスン

先日、日本酒マリアージュ料理教室の特別編として、郷土料理研究家のがまざわたかこ先生を特別講師としてお招きし、郷土料理を学ぶレッスンを開催いたしました!!

がまざわ先生とは大七の酒粕をテーマにしたイベントで出会い、昨年は福島の酒蔵巡りでもご一緒しました。
郷土料理を研究テーマとされているとのことで、いつか日本酒と絡めて何かご一緒できたらなあとずっと考えていたのです。

そして、5月の料理教室のテーマ「地域を合わせる」に連動して、特別レッスンを開催することにしたのです!!

「同じ地域の日本酒と料理は相性が良い」ということは私も常々言っているのですが、「郷土料理」という形でお伝えするにはまだまだ勉強も経験も不足しているので、その道のプロに教えていただこうと…!!

秋田県横手市で生まれ育ったがまざわ先生。
県外に出て初めて故郷の料理がとっても甘いことを知り(納豆やポテトサラダにもお砂糖を入れるそう…)、衝撃を受けたそうです。
そこから料理の地域性に興味を持たれ、郷土料理の研究を始められたそう。

元々は日本全国、地域に根付いた食文化があったものですが、現在は食のグローバル化や食生活の変化に伴い、今この瞬間にも個性豊かな郷土料理は失われつつあります。
忙しい現代人の暮らしには、手間と時間のかかる郷土料理はなかなか適合しないものかもしれませんが、人知れず消えて言ってしまうのは悲しいことです。

そこで今回は、デモンストレーション形式で料理を教わり、同じ地域の日本酒とともに味わっていただきました。

今回ご紹介したメニューはこちらです!!

【奈良】ごま豆腐 ×    みむろ杉 純米吟醸

ごま豆腐を郷土食とする地域は全国に複数ありますが、葛の一大産地である吉野を有する奈良県は、本場中の本場なのだそう。
特に、ごま豆腐は精進料理に欠かせない存在であるため、奈良県の修行僧の超ソウルフードなのですね!!

今回は、贅沢に本葛粉のみを使用したごま豆腐をご紹介いただきました。
片栗粉でも作れますが、葛だけで作るともっちもちのプルップルです。

そんな上品なごま豆腐には、同じく奈良県の三輪にあるみむろ杉(今西酒造)を。
「万病に効く」と言われる三輪山の伏流水で仕込んだ綺麗な味わいのみむろ杉は、瑞々しいごま豆腐と相性抜群!!ごまの香りが引き立ちます♪

【静岡】静岡おでん ×   喜久酔 特別純米

屋台文化から成り立った静岡おでんは、濃口醤油で真っ黒に味付け、最後にだし粉をかけるのが特徴です。また、静岡名物である黒はんぺん(青魚を主原料にした練り物)は欠かせない具材。
試食していただいたものは2日前に仕込まれたもので、味しみしみでした!!

そんな静岡おでんに合わせたお酒は、藤枝市の喜久酔(青島酒造)。
昔から変わらぬ味を貫き、地元で長く愛されているお酒です。料理の味を引き立ててくれる味わいで、お燗にしても美味しいのが魅力。

ちょっぴり料理の味が勝つ感じでしたが、ほっとする組み合わせでした。

【京都】丹後ばら寿司 ×   白木久 銀シャリ

京都といえば伏見が銘醸地として有名ですが、日本海側の丹後エリアは個性豊かな日本酒が多く、特に甘口で濃醇なものが多い印象です。

そんな丹後の郷土料理である丹後ばら寿司は、「松ぶた」という木箱に入れて頂くちらし寿司。甘辛く煮た鯖そぼろを入れるのが特徴です。
甘じょっぱくてたまらない美味しさ!!

そして、まさしくお寿司の銀シャリをイメージした白木久 銀シャリ(白杉酒造)は、ちょっぴりフルーティーで濃醇なのですが、後味はシャープ。
甘辛い味付けのばら寿司のニュアンスと調和させました。
(蔵人さんも、「ばら寿司には銀シャリ!!」と即答でした。笑)

が、しかし!!意外にも喜久酔とも相性抜群でした。
銀シャリはパンチが強いもの同士が調和するのに対して、喜久酔はばら寿司の甘辛い味を包み込んでくれるような感じです。これは意外な発見。

【秋田】じゅんさい鍋 ×   一白水成 特別純米

そして最後は、ちょうど旬を迎えた三種町のじゅんさいを使ったじゅんさい鍋。
ゼリー状のぬめりに覆われたじゅんさいは、ツルツルっとした食感がなんとも言えない美味しさ。瓶詰めのもの(主に中国産)は通年で手に入りますが、生のじゅんさいは今の時期だけです。

三種町ではじゅんさい摘み体験ができるそう。
いつか挑戦してみたい…!!

三種町には酒蔵が無いのですが、お隣の五城目町には福禄寿酒造さんがあります。
硬水で仕込まれたキリッとした味わいと、洗練された雑味のない味わいの一白水成は、じゅんさいのつるっとした味わいにぴったりです。

昆布と干し椎茸と鶏肉のお出汁がじんわり、体に馴染みます。

郷土料理と日本酒をともに味わうと、日本の食の豊かさに改めて気付かされます。
派手ではないんだけど、ほっと心が落ち着く。

灯台もと暮らしの鳥井さんがブログに書かれていましたが、ナショナリズムならぬパトリオティズム(愛国主義)という言葉がまさにぴったりかもしれません。

そして、「地域を合わせる」とは言えど、日本酒の味わいは多様化している上に、同じ地域でも蔵ごとに味が違い、同じ蔵の中でも様々な味わいのお酒があるので、「地域を合わせる」という定義の難しさを感じました。

さらに言うと、「昔ながらの食文化」と言っても、どの時代を切り取るかによって、食の風景は変わってきます。
時間の軸、空間の軸、そして年齢の軸など、様々な背景を含めて、もっと日本の食の歴史や文化について学ばなければと改めて思わされました。
来週から始まる今月のレッスンも気合い入れていきます!!

ご参加の皆様、がまざわ先生、本当にありがとうございました!!

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