遥美沙樹のメヲミヒラク#06「 orgasm addict 」
その男は、とある女性の奴隷だと言った。
身体には無数の鞭痕があり、
両乳首にはピアスが施され、局部もまた大きなダイヤを模したピアスが四方から貫通していた。
男は嬉しそうに言った。
「これね、最近開けて頂いたんです」
しかしその男が此処に来たのはピアスを自慢したいためではない。
己のアナルが、いまいち主の役に立っていないのではないか、
もっと主が喜んで遊べるようなアナルでありたいと、
このクリニックの扉を叩いたのだ。
そのクリニックの名は「TABOU」。
禁忌と謳ったその店は、選ばれたものだけに開かれた、
アナル開発専門の店だった。
男は言った。
「山で言うと……6合目から8合目くらいまでの気持ちよさなんです」
女は応えた。
「つまり、もっと上がある……つまりはもっと深く、高く逝けるようになりたいということですね?」
男は諸説明に納得し、その身体をベッドに横たえた。
間もなくして、
男とも、女ともつかない、悩まし気な声が木霊した。
衣擦れの音、荒げた呼吸、そして無為な換気扇の音。
男はそのどれにも属さない音を喉から発した。
そしてそれは、時と共にまるで男女の諍いのような音に変化していった。
「こ、こっ……こわれちゃ……うっっ!!!」
「何が壊れるのですか?」
「ひ、ひと……人じゃ……なくなりそう……あぁっ!!」
「じゃあ何になるのですか?」
「わ、わからな……!!!、もう……っもう!!!」
「まだ仕込みの段階なのですけどねぇ……困った方ですねぇ……」
「くっ、狂っちゃう!!!狂っちゃう!!!たっ……たすけてぇ!!!!!」
「止めてと言ったらすぐに止めますよと説明したじゃないですか」
「や、や、やめ……」
「止めますか?」
「……やめ……ないで……」
「承知しました。では続けますよ?」
「あぁっ!!!こわれっ……!!!」
「……。」
「……!!!……!!!」
程なく男はその勲章だと言った鞭痕だらけの肉の袋を、
ある一定のリズムに乗って震わせていた。
何に震わされているのでもなく、誰かに揺らされているのでもなく、
ぶるぶる、がたがたと肉の袋を震わせていた。
奥で丁寧に手を洗い終えた女が戻ってきたことすら、
その男には、気が付かなかった。
その目は宙を仰ぎ、その口からは白い涎のようなものが垂れ流れ、
自身の世界から現実に戻ってこれないでいた。
女は重い鞄を持ち上げこう言った。
「施術は完了いたしました。きっとあなたのご主人さまがお喜びになることでしょう」
そうして女はその部屋を去った。
が、その男がそれを聞こえていたかどうかは定かではない。
*このお話は事実をちょっとだけ脚色したフィクションです。
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