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働かないおじさん問題 #センセイを捨ててみる。

世をにぎわしている問題のひとつに、「働かないおじさん問題」というのがあります。ここでいう「働かないおじさん」とは、長い間、同じ組織で働いているため、「給与は高いわりに、業績・成果が出ず、市場価値が低いので、組織の外に出ることができない中高年」のことを指します。

こうした「働かないおじさん」が生まれる原因も、「越境の経験の少なさ」も一因であると僕は見ています。外の世界を知らない状況で、組織の中で粛々と仕事をこなし、長時間労働で自分を見つめ直す時間もなく、長い時間を過ごす。そのなれの果てが「働かないおじさん問題」です。

中原淳『働く大人のための「学び」の教科書』

あ、これ、私のことです。
「働かないおじさん」の定義が、ほとんど一致していますね。

以前、「俺から教師の資格をとったら、何が残るんだろう・・・?」と考えたことがありましたが、案の定、何も残りませんでした。危険です。

でも、正直に言えば「越境経験」してる暇、ありませんでした。

必死で教材研究しなければ生徒の信頼を得られなかったし、
運動部経験がなくても主顧問を持たされるのは当たり前だったし、
学級崩壊の直前までいった時は本当に苦しかったし、
プライベートで変調があればダイレクトに仕事に響いてたし、
モラルハラスメントもどきのプレッシャーに”不登校”も考えた。

その中で、生徒と向き合ってきたんですから。


古い調査になりますが、OECD(経済協力開発機構)の「世界価値観調査(2005)」という調査があります。人がどの程度、社会に接点を持っているか、いないかを調査したものです。

その結果によると、日本人は家庭と会社の往復しかしていなくて、会社や家族以外の人たちとのつながりが希薄なのだそうです。このことを「社会的疎外(Social Isolation)」と呼びます。

自分の慣れ親しんだ場所しか知らず、他をまったく見ない状況というのは、自ら学び直す必要性を感じたり、振り返りの機会が大きく疎外される傾向があります。

たとえば、「会社と家庭にしか居場所がなくて、考え方や価値観が狭い人」をイメージしてみてください。知らず知らずのうちに会社化されたその頭からは、ステレオタイプのアイディアしか出てこなくなっていきます。アイディアの乏しさは、こうしたところから生まれます。

また、職場と家の往復しかする余裕のない人は、自分とは違う考え方に触れて葛藤したり、「なんだか俺、世の中からずれているかも」と気づいて修正する機会が得られていないため、そもそも「自分の異質さ」にも気がつかない状態を生み出します。

同書

多くの日本人サラリーマンは、上記にあるような生活を送っているのかもしれません。

同書では、「社会的疎外」の背景にある理由のひとつに、日本独自の労働慣行である「長時間労働」を挙げています。毎日、勤務時間を超えて残業をして、往復の通勤時間に1時間以上かけて、帰宅してもやり残した仕事を続ける。これでは「疎外」されるのも無理はないでしょう。

私は教師として、社会的に疎外されることに脅威を感じています。

仕事の本質が見えなくなったり、
保守的な考えしか思い浮かばなくなったり、
チャレンジする気持ちを失ってしまったり、
職場内におけるポジションの優越を感じ始めたり、
指示に明け暮れて対話するゆとりを失ってしまったり。

もし、自分がそういう方向へ傾きだしたら、この仕事は続けられません。


幸い、45歳の頃、自己を見つめ直す機会を得ることができました。

何の信仰も持たない私が精神的支柱と言える考え方を学び、
学校の外にある世界の価値観に触れ、
自身の世界観を発信し、
10年が経ちました。

私なりの「越境経験」です。

学びには、それなりのコストを払いました。時間も、お金もです。

考え方も、できるだけシンプルにすることを心掛けました。
本質的なことだけを考え、些末なことは捨てる。
譲れることは、とにかく譲る。

この10年間、ほぼフルに年休を使い、毎日17:00に定時退勤しています。

残る必要のある時は、残ります。
仕事が終われば、定時に帰ります。
天気が良ければ、早上がりです。

長時間労働を見直せば、越境経験を積める。
越境しなければ、社会的に疎外される。


やるべきことは、わかっているはずです。


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心理学修士(学校心理学)
 
NPO法人日本交渉協会認定「交渉アナリスト」1級

 
一般社団法人7つの習慣アカデミー協会主催
「7つの習慣®実践会ファシリテーター養成講座」修了
 





思いつきと勢いだけで書いている私ですが、 あなたが読んでくれて、とっても嬉しいです!