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私はママさんじゃないのですよと言って上の方に怒られる話

いつもの通りに朝、詩人と犬の散歩に出ると、掃除のおばさんが少し暗い顔をして、マンションのごみ取集所のところにおられる。
(我々は平日、敷地のとても狭い、縦に細長い都心のマンションに住んでいる。おばさんは、その限られた公共スペースと、約27戸から出されるゴミとリサイクリングの処理をしてくださっている。犬をとてもかわいがってくれて、「ウチのコになりなよ」といつも言ってくれる。)

「こんなのを出す人がいるのよね、おばさんが自分でそのお金を払うんだよ」

と粗大ごみに相当する、プラスチックのチェストを指さしておられる。
「え?おばさんが払うことないよ。私、払うよ!」と言うと、不思議そうな顔をされるので、慌てて
「もちろん私たちが出したんじゃないよ、でもおばさんが払う必要は、もっとないじゃん」と説明する。すると、これだけじゃないのよ、と裏口の扉の向こうを指さされる。そこには、20個はあろうか。ありとあらゆるサイズのプラスチックチェストがある。

粗大ごみの捨て方というのは、国内全部一緒なのだろうか。
少なくともこの辺では、区役所に電話をして、1個400円だかの粗大ごみステッカーを買って、廃棄物に貼るというシステムが取られている。

おばさんが指し示した方向と、その数を見て自分は、
「おばさん、雇い主に言った方がいいよ!自腹なんか切ることないよ!今コロナで出ていく人が多いから、きっともっとあるよ!」とたちまちに自分の申し出を変える。
おばさんは、

「おばさん、長年雇われているから、強いこと言えなくて、ずっと払ってきたんだよ」と仰る。「でもここ以外にね、4つぐらいマンション回っているから、本当に強いこと言えないんだよね。仕事もらえるだけでありがたいよね」

(だからいつも赤坂教会の脇の道を登って来られるのか)と思いながら
「会社に言いなよね!絶対おかしいからね!もし困ったら相談してね!弁護士の先生何人か知ってるからね!」と自分はつい、声を大きくしてしまう。

「おばさんね、時給1,050円だから自腹を切ったら足が出るんだ。ママさんのようなこと言ってくれる人いないよ!ありがとう」

と言ってくださった。
一瞬マンションの管理事務所にメールを出そうかとも思うけれど、おばさんが馘になるようなことがあっては、かえっていけない…。それで上の方と通信する。

神様、どうか自腹を切るべきではないおばさんの当然の要求が、管理会社に聞かれますように…。

と祈って歩き始めて、あれ?↑ママさんって?と思うに至る。

土地柄、旦那(外人)を抱えるママと思われているな自分、と気付く…。

前にもあった。良く大阪の米国領事館で仕事をするので、そこから近いANAクラウンプラザホテルで泊まることがある。コロナ前は2か月に一度は泊まっていた。ANAクラウンプラザホテルはホストやホステスクラブが多い北新地の中心にある。そこで朝6時半にフィットネスセンターを使っていたら、熟年の男性から

お店はこのお近くですか?

と聞かれたことがある。この時も、その意味が分かるまで1日かかった。それで教会の姉妹のような清楚なふるまいのない自分だからそうなのですか?と上に聞いたのだが、単なる土地柄だとお返事をいただいたような気がした。(ヨハネによる福音書8:2-11)

それよりも、土地柄だろうが何だろうが、ママさんと同じ地位あるいはそれより低い地位に自分を置くべきなのだ、とは思っている。
でも言いたい。弁護士の先生をいっぱい知っているのは、ママさんだからではなく、訴訟サービスに従事しているからなのですよ、と。(泣)

昼:サラダと冷ややっこと玄米ご飯
夜:豚のこま切れと茄子とキャベツの生姜焼き、玄米ご飯

犬は自分と目が合うと、すごく瞼が重くなって寝る。

* 今日はvoice_watanabeさんの作品をお借りしました。