それ、本当に無料ですか?(モーニングCROSSオピニオン)

「春名風花さんの絵本が販売停止に イラストレーターがネット上の写真を無断利用」https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1906/04/news128.html

以前モーニングCROSSで紹介して頂いた絵本「いじめているきみへ」が、今年6月に販売停止となりました。理由は、お願いしていたイラストレーターさんの挿絵が、ネット上の写真を模写したものであることが分かったからです。

https://note.mu/harukazechan/n/nc40b109ba98f

ご本人ともお話したのですが、特に悪気があったとかではなく、そもそも「ネットで見られる写真に対しての著作権意識がなかった」と言うことのようでした。つまり、「ネットでタダで見られる写真だから、模写しても大丈夫」と思っていたということになります。

少し前にも、漫画村という違法アップロードサイトが閉鎖したあと、「無料で漫画が読めなくなって困る」と文句を言っている人がいて驚きましたし、 (昨日?一昨日?に逮捕されていましたね)https://www.excite.co.jp/news/article/Careerconnection_8353/

ミュージシャンの方に対して「違法音楽アプリに曲が入っていないから、無料で聴けない」とクレームを送る若者がいたりhttps://news.livedoor.com/article/detail/14487802/

ツイッターでも毎日のように他人のツイートや写真が盗まれて投稿されていたり、

プロの絵師さんに「無料でアイコンを描いて」という図々しいメッセージも後を絶ちません。https://rocketnews24.com/2018/09/28/1120694/

どうも最近は芸術の価値が下がって、「芸術にお金をかける」ということが出来なくなってきているように感じます。たとえインターネットで無料で作品を公開していても、その作品をつくるためにかかった費用や、オリジナルのアイディアには価値がある…そんな当たり前のことが、わからない世の中になっているのではないでしょうか。娯楽や芸術は無償で楽しむものであるという意識が世の中に蔓延している。私はこれを、「文化の衰退につながる」と、とても危なく感じています。

私は小劇場の舞台に良く出ていて、公演の度にお芝居のチケットを売っています。小劇場のチケット予約は、商業演劇とは違い「当日清算」という形をとることが多いです。これは当日の窓口で予約の名前を告げてチケット代を支払うシステムで、急病や交通機関の遅れなど、やむを得ない事情でキャンセルする場合にもお金を払わなくて済みますし、予約する側にとっては予約時に決済など面倒な手続きが要らないし、手数料等もかからないので、めちゃくちゃ便利です。

しかし、誰でも無料で簡単に予約ができるせいで、当日来られるかどうか分からないのに「一応キープしておこう」と大量に予約を入れては直前にキャンセルしたり、ひとりで何百枚もの架空予約を入れてチケットを完売させ、当日は観劇にいかず、劇場をガラガラにするという嫌がらせも増えました。

http://seisakuplus.com/news/?p=33796

https://note.mu/feblabo/n/n11e3b5cf85cd

https://togetter.com/li/866421


私がこの前出演していた「偏執狂短編集」は大人気の公演で、チケットがものすごく早く完売してしまって、チケットを買いたくても買えない人がたくさんいたのですが、それでも当日蓋をあけてみると私の名前で予約してくれたお客様450人のうち50人が当日キャンセル、そのうち7枚は「多分、いたずらの予約なのかな」と思われるものでした。

幸い大人気の公演だったので、ダメもとで僅かな当日券を求めて並んでくれていたお客様も大勢いらっしゃって、当日キャンセルした人の代わりに当日券でお並びのお客様に入ってもらうことが出来たし、結果的には満員御礼だったのですが、これを仮に「前売りが完売しているので、当日券はありません。」と言ってしまっていたら、前売りが完売しているにもかかわらず客席がスカスカになって、大赤字が出ていたかも知れません。もっと小さな劇団や普通の公演だったら当日券に長蛇の列が出来る事もないし、こんな事をされたら簡単に潰れてしまいます。来るつもりのない人がチケットを買い占めてしまい、チケットを買いたくても買えない人が出るようなことがあってはならないのです。

私たちが便利だなあと思っているサービスのほとんどは、多くの人の善意の上に成り立っています。それを、無料だからといっていい加減に使ったり、無断で盗んだり、悪用したりする人が増えれば、その便利なサービスはなくなってしまうでしょう。

いずれ小劇場のチケットも、全て事前に銀行振り込みになるかもしれないし、web上で芸術作品を公開する人もいなくなるかもしれないし、街で音楽も流れなくなるかもしれない。

あなたのまわりの「無料のもの」は、本当に無料ですか?



2019年7月12日時 モーニングCROSSオピニオンより

春名風花




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春名風花

18歳になりました(*´˘`*)

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コメント1件

お疲れ様です。
モーニングクロス見ました。
私も業界は違ってもものを作る身。
生産者、制作側の意図や苦労も理解しているつもりです。
それでいつも敬意を払いながら劇場に足を運び観劇し、
心に残るものをいただけたときは、差し入れなどで気持ちを表しています。

人によっては、試し読みサンプルなどを見ないと対価がわからないという人がいます。

私は、試し読みやサンプルはいらないと思っています。
興味を示すから手にとる、そして意見や感想いう権利を買うそして、
そして、よりいいものを作ってほしいから色んな意見を伝える。

ただ見ほど次に繋がらないものはないと感じています。
それっきりだから。

私は、これからも敬意をもって
色んなものに感謝しながらきちんと対価を支払ってふれたいと思います。

予約もすべて責任をもって行動していきます。

これからも応援しています。
お疲れ様でした。

今日もかわいかったですよ!!


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