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“カムバックサーモン〟高嶺朋樹が紡いだ道は未来への灯火になる

サケは川で生まれ、海に出る。
そして、再び生まれた川に帰って来る
のだという。

成長期をより餌の多い海で過ごし、
そこで得たエネルギーを
産卵に回す為の生存習性だ。

そんな帰還がサッカー界でも増えている。

大学を経由し元来所属していたクラブに戻ってくる

俗に“鮭”や“カムバックサーモン”とも呼ばれる。

今年度のJリーグで見ると
サケの代表格は
川崎フロンターレの三笘薫
FC東京の安部柊斗

彼らの名前が浮かぶ。

遡上前の立ち位置は千差万別だ。

安部は本人のトップ昇格希望とは裏腹に
東京U-18からの昇格を見送られ、大学進学を選択した。

その強烈な危機感が成長心をかき立て、
明治大学で大きな成長を見せ、
大学タイトルを総なめにした
2019年の明治大学で中心選手として活躍し、
今年からFC東京へカムバック。

三笘のケースは少々、
稀な例かもしれない。

親元のフロンターレは
プロ契約を望んだものの、
本人が高校卒業時点では、
「プロで活躍できる力がない」
という判断を下し、自ら進学を選んだ。

しかし、

「筑波大学への進学を選んだのは
フロンターレに戻って活躍する為。
選択肢は1つだった。フロンターレしかない。
小学生の頃からお世話になっているので、
必然的にチームを好きになりますよね。」
「自分のドリブルなんかでファンの皆さんを魅了したい。
これから徐々に恩返ししていきたいですね」

大きな成長を遂げて、帰還した
二人の存在はJリーグで上位戦線につける
チームにおいて、もはや不可欠な役割を担っている。

北のカムバックサーモン高嶺朋樹

そして、我が地元・北海道にも
魅力的なサケが帰って来てくれた。

北海道コンサドーレ札幌の高嶺朋樹である。

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ここまでボランチと左CBを中心に
リーグ戦17試合に出場。

・高次元な左足の展開力
・鋭いアプローチからの稀有なボールハント力
・瞬間で相手DFを剥がせるターンと機動力

捌いて、奪って、運べる

闘犬は今年のフルコートマンツーマンを
仕掛けるコンサドーレにおいて
なくてはならない存在になっている。

そして、
・笑顔で物腰柔らかく腰が低いオフザピッチ
・狙った獲物を仕留めに掛かる闘志漲るオンザピッチ

表情が一変するのも魅力の一つで、
高嶺推しの勢力は、にわかに広がっている。

しかし今でこそ、ピッチで闘える選手として、
誰もが認める存在だが、
以前はそうでなかったと
ある人物は語る。

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「小学生の頃から見ているが、小さい頃から
左足のキックは素晴らしいものがあった。
ただ、少しひ弱なところがあって、
まだ闘えないな?プロになる気は本当にあるの?
と思う所も正直あった。
ただ、筑波さんに進学し自分が何が足りないのか?
しっかりと向き合って、本当に成長してくれた。

あそこまで守備ができるようになるとは‥正直思わなかった。
大学さんには本当に感謝しています。

ミシャさんも獲得当時、前への推進力を課題に挙げながら
左足の展開力・対人の面が素晴らしいと評価した。

ファールは少し怖いが、、、
あそこまで行けるのは素晴らしい。
左足の大きい展開・鋭い縦パスと
本当に特徴を出してプロでも頑張ってくれている」

放牧によって大きく力をつけて帰還した高嶺。

長年、下部組織で育った選手にとって
ホームタウンはやはり
特別な存在になるケースが多いようだ。

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「9年間 コンサドーレの下部組織でプレーさせてもらった後に
大学を経験してJ1で戦える自信がついた。
その中でコンサドーレからオファーをもらえて
断る理由が全くなかった。
ホームなので、、、
応援してくれる人もいっぱいいるので恩返ししたいですね」

そして、大学での成長に大きな手応えを感じつつ、
プロの舞台でも、更なる成長の実感を感じている

「展開力とボールキープ力が自分のストロング。
その特徴を出しながら、プロでは、ボールがない所でのポジショニング
次の展開の予測能力はミシャさんとやる中で大きく成長を感じている。
高校・大学と守備を重視したチームにいたこともあり、
ミシャさんの下で自分に足りなかった所を
トレーニングできていると思います!」

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過去にもコンサドーレのトップチームに、
帰ってきてくれたサケたちはいた。
松本怜大(東洋大学)
工藤光輝(阪南大学)
上原拓郎(北海道教育大学岩見沢)‥

しかし、J1の舞台で、
年齢が近い高嶺朋樹が活躍する様子は
今後、控える新たな候補者たちにとっても
大きな活力となる事は間違いないだろう。

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ミシャさんの元でやりたいと言ってくれる
選手・指導者が本当に増えている。
「札幌です」と挨拶すると、
ミシャさんに育てて欲しいと言ってくれる
指導者・親御さんが本当に多い。
以前とは反応が全然違う。ありがたい限りです。
理想は、道内で育てたアカデミーの選手をどんどん上げていくこと。
そこはこれから、同時にやっていきたいですよね。

そんな未来の札幌を支えるかもしれない
新たなサケ候補者は各地で奮闘している。

中でも関東大学サッカー1部リーグで
既にレギュラー格として活躍する
3年生トリオには大きな期待が高まる

注目の佐藤・井川・櫻庭

佐藤大樹(現・法政大学3年)

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札幌育成組織出身としては待望のフィニッシャー。
恵まれたフィジカル能力・クロスからのフィニッシュ能力に
長けるレフティストライカー

井川空(現・筑波大学3年)

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足下の技術・視野の広さに長けて、
冷静沈着にゲームをコントロールするコンダクター。
CBも対応可能でミシャ式で起用されるとしたら
後ろでの抜擢可能性もあるだろう。

櫻庭立樹(現・筑波大学3年)

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シュートストップに大きな強みを持つ192センチの大型GK
札幌U18時代も早い段階から、正GKを務めるなど
世代屈指の守護神。

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現チームでは藤村怜と同期に当たる、
彼らの未来には特に注目が集まる。

強化に携わる人物も彼らに大きな期待を寄せる

「やっぱり特に彼らは注目して、同行を追っています。
特に@なんかは早い段階でチーム練習に
呼びたいなとは思っているんですけどね」

同期がいる環境というのは
成長に大きな影響があるのだろう。

今シーズン、コンサドーレには
高嶺朋樹・金子拓郎・田中駿汰
三人の大卒選手が新加入したが、
3選手共にレギュラー格としてチームの競争に絡んでいる。

「同期三人がいるのも大きなプラス。ライバル意識も強くあるし、
誰かが活躍したら、俺もという気持ちはみんな持っていると思うので。
切磋琢磨できていると思う」

ライバルたちと切磋琢磨しながら、
日々成長を遂げる中で、
定める目標も大きくなっているようだ

「昨年までは中々、厳しいかなと思っていたが
東京五輪も今年から意識するようになった。
コンサドーレで試合に出れば、チャンスはあると思うので
目標にするべき場所だなと思っています」

今後、下部組織出身の選手が
大学を経由して戻ってくるという
ケースは増えてくると予想される。

そういった意味でも、大学経由でカムバックし、
トップカテゴリーにおいても
その実力を示し続ける高嶺朋樹の奮闘は、
今後のチーム形成においても非常に大きいだろう


カムバック大歓迎だ

そして、改めて、北海道に色々な思いと経緯で来てくれた
一人一人の選手に感謝したい。

道内出身の選手と道外出身外の選手が
共に切磋琢磨し、コンサドーレを一層
成長させてくれる未来を願っている

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