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舞台『熱帯樹』鬼レポ第1幕※ネタバレ含

★Attentionこのレポには下記要素が含まれます
・ハイテンションかつ鬼のように長い「鬼レポ」
・生で見る林遣都に動揺を隠しきれない
・舞台の演出、ストーリーのネタバレ
・個人的な考察
大丈夫な方はどうぞ時間の許すまで、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

2019年3月13日(水)13:00開演(マチネ)
会場:兵庫県立芸術文化センター 中ホール

お久しぶりです!田中トークショー以来の鬼レポです!
今回も長くなることが予想されます、お時間ある方よろしくお願いします。
じゃあ早速だが、ここからは私の感じたありのままを話すぜ・・・!

三島由紀夫「熱帯樹」の舞台と聞いて、そりゃあもうどんだけ愛憎渦巻くね?もうドロドロのね?悲劇なのかと。
三島が書く台詞ってめちゃんこ耽美だけどハチャメチャに難解に感じるとこもあるし、ちゃんと私の偏差値でも理解できんのかな?って。
はっ!!これ、予習しておいたらいいんじゃね?!って。原作本を買いに書店へ繰り出したけど…

全全全然置いてない・・・・!!!

調べたらZeppanでした!!そりゃ置いてないわ。君の値は?!!
よっしゃ!諦めた!!予習なしで行ったる!
やってやんよ!!
ということで「前知識ゼロ」で挑むことになりました。F★U★A★N!

熱帯樹の登場人物を紹介するぜ!
財産にしか興味がない父親・恵三郎(鶴見晋吾)、その父に寵愛され遺産を狙っている母・律子(中嶋朋子)、病床に臥せ死期を悟る妹・郁子(岡本玲)、郁子にただならぬ感情を抱き家族に翻弄される兄・勇(林遣都)、ふと屋敷に現れる風変わりな叔母・信子(栗田桃子)

見んでもわかる!重いやつやん!!?
いやしかし、私には勝手に感じている使命がある・・・
「林遣都をこの目に焼き付ける」という使命が・・・!!
以前から舞台をいろいろ見てきた身としては三島原作の舞台っていうのが
まず見たくて堪らなかったし、ほかのキャストの生演技を見れるまたとない機会だってことは、じゅ~~~~~~~ぶん分かったうえで、趣味丸出しを承知で言います!

林遣都の生演技、めっちゃ見たい。

あの、林遣都って実在するの?ってなる時ないですか。
私が今見ている映像はCGかな?って思うときない?
顔がよすぎるのもあるけど、毎回びっくりするぐらい役が憑依してて。
監督が思い描く登場人物をCGにしてるんだよね?だってこの役、生きてるもんトトロいたもん!てならないですか?
あと、この人こんなに演技に没頭して(るように見える)大丈夫なのか?!って
林君、ちゃんとご飯食べてる?飴ちゃんいる?って親戚のおばちゃん並みに心配になったり。・・・しない?しないか・・・
とにかく林遣都が目の前でどんな演技するのかっていうことに興味津々なのだ!!🐹ヘケッ
はい前置き長い~~!!ここからやっとこ舞台レポしていこうと思います。

今回2階席だったんですけど、入ってまず8割の人が思うこと言いますね

「舞台装置シンプルだな?!」

山のようにそびえる黒く鋭利な壁、ポツンと真ん中に置かれた一床のベッド
聞いてはいたけど、広い舞台上でこのセットだけでどんな世界が広がるんだろう?

オラわくわくすっぞ!!

もう、演技と演出の力で!演者たちの体ひとつで!
このシンプルな舞台をサバイヴサバイヴ・・・じゃない作り上げていこうっていう雰囲気がひしひしと感じられる空間。

開演前も「今回の舞台は照明が暗く、静かな舞台です。携帯の電源はお切りください」のアナウンスが。静かじゃなくても映画館・舞台・ライブ中は~かんならっず電源OFF!そして目と耳は全力でON!!<〇><〇>カッ

幕開きは静かに。神経質なまでに繊細なBGMの音と共に暗くなっていく照明で熱帯樹の世界へ!
いよいよかという期待とピンと細い糸のように張り詰めた空気。
暗闇に照らし出されたベッドには、天井に手を伸ばして寝ている郁子の姿が浮かぶ。

私は「病床に臥せっている妹」って、弱弱しく外の景色を見つめる・・・みたいなイメージだったんですね。郁子ちゃん、可哀想・・・ってなると思ってたんです。

しかーし!最初こそ「私は病気・・・もう余命幾ばくも無いわ」と陰りを見せていた郁子ちゃん、かと思えば小鳥さんへ死の安らかさを説くようにまくしたてる。この手で小さな命を終わらせることができるんだと、まだその力が自分にあるんだと恍惚とした表情で説くんですよ。息をつかせないほどの長台詞、感情の起伏がすごい。

この華奢な体の中にどんな感情が蠢いてるんだよ・・・!?ってびっくりドンキーしてしまいました。(サラダ増量で)
でもその激情はもしかしたら、両親の性格を色濃く映したものだったのかと今になって思います。
儚げに見えていた郁子ちゃんが鬼気迫る雰囲気を帯び始めたところに

チリンチリーン♪と遠くでベルを鳴らす音
(のちに私の心をざわめかせる合図になる音)

郁子ちゃんの雰囲気が一気に少女のそれに変わり、「お兄様だわ!」の一言
お、お、おおおお兄様なの?!お兄様もう出てくるの?!と動揺。
思わず襟を正して座りなおしちゃう。
するとベッドの向こうの扉が開いて、光を背に受けた青年が立っている…

「郁子!!!」

お兄様キタ――(;∀;)――!!

え、あ、ちょちょ・・・郁子ちゃんの迫力に飲み込まれててすっかり忘れてたけどお兄様、麗しい!!!私もしかして萩尾望都の漫画の世界に迷い込んだのかな?って錯覚するくらいには麗しい。純文学小説の1頁、1文字1小節で生み出されたみたいな。

ちょっとここから初めての林遣都について私の動揺をつづります・・・

「はじめての林遣都」はるまき 

 今日はじめて生で林遣都を観ました。私が日頃「きっと妖精に違いない」と言い続けていた彼です。滋賀が生んだエルフこと彼です。
実は2階席一番後ろの席だったのではっきりとした表情を拝むことは叶いませんでしたが、遠目に見ても整った目鼻立ちは確認できました。

勇は白シャツ、グレーのスラックスに裸足という出で立ちで現れましたが
なんと言っても特筆したいその裸足。
とにかく白い・・・!ビスクドールのように白いんじゃあ!!
くるぶしと足首にながれる曲線がもういっそ彫刻芸術。
しばらく目で追ってしまいました。
Oh My裸足の女神よ・・・!!
しかもなにあの声…声というより、もはや楽器の響きをもった「音」という感じ。低音でハッキリと、ささやく声まで直接鼓膜を、心臓を揺すぶられているような…もう、なに?!大混乱スマッシュブラザーズ!!(支離滅裂)

はい、ということでね。出てきた一瞬でこれだけ衝撃を受けてるもんですから、しばらく動揺しておりました。
それではここからは私が登場人物たちに感じたこと、個人的な考察を交えてレポっていきます!尚、場面の順序や台詞の細かい部分は正確ではないと思います。ご了承くださいまし・・・

「母殺しを兄に命ずる郁子の真意」

いきなり激重なタイトル!!冒頭の病床で、兄が見てきた外の様子をせがむように聞く郁子。お兄様は私の足、私の目、私の耳なの!と嬉しそうに聞いていた郁子とその様子を笑顔で見守る勇。
一見仲睦まじい兄妹のやり取りに見えたけど、郁子が口に出す「あの約束」を聞くと勇の顔は硬直して「わかってるよ」と視線は床に落ちていく。
それは母・律子を殺すという約束。
郁子いわく「この家をおかしくしているのはあの女のせい」だから。「お兄様に包丁を差し向けて父を殺させようと企んでいた」から。
その諸悪の根源を殺して、自分は勇と結ばれるんだと。
確かにその後登場した母・律子は歳不相応なけばけばしい真っ赤な着物を着ていて、父子に尽くしていると言いながらも自由奔放な様子だった。
でも、そこまで憎む要素ってどこなんだろう?と。殺意に至るほどの憎しみがあるのかと。私は違和感だったんですね。
これは考察になっちゃうんですが、郁子は自分の死期を悟りながら、死ぬことなんてこれっぽちも怖くないと言いながら、実は誰よりも生きることに執着していたんじゃないかと。
自分が病じゃなければ、普通の年頃の娘と同じように着飾っておでかけして普通に恋に落ちたんだろうか…そんな憧憬を胸の内に秘めていたのかもしれない。
母の律子は、その生への執着心を引きずり出す。
誰の目にも触れないように隠している醜い執着心を、一瞬で白日のもとに晒される。無神経に、おかいまいなしに・・・
あの女は私が行けない遠いところへ行ける。私が知らない男の愛も知っている。私にはないものを持っているんじゃない、私が本来持っているべきたっだモノすべて奪い取っていったのだ。
見たくない、忘れたい執着心。私が小鳥のように綺麗に死んでいくのを邪魔しないでって思ったんじゃないか。
だから、もう私の生きているこの世界に母はいらない。
その結論に行きついてしまうのが父・恵三郎の独裁主義な性格と嫌にマッチしていて、一種の被害妄想は母・律子のヒステリックな部分も持ち合わせている。
勇は時折それを敏感に察知して、愛しい妹に両親の影を感じてしまってあんなに恐れていたのかもしれない。
どこかで聞いた、人間を一番奮い立たせる感情は怒りと憎しみだという話。私は、郁子のなかで勇への愛よりも母への憎しみが勝っているように見えました。
死を待つだけの消えそうな郁子の命をつないでいるのは、皮肉にも憎くて仕方のない母親の存在だったのかなぁ。

「父・恵三郎のエゴイズム」

恵三郎の部屋。薄暗い中で律子の真っ赤な着物だけが鮮明に浮かぶ。
恵三郎は律子を母でも妻でもなく自分の人形のように振舞うように強いている。お前はいつまでも若い時のままでいるんだって。この屋敷のなかで、俺の周りでキラキラと飛ぶ艶やかな蝶でいなさいと。
もう、恵三郎の俺の律子可愛いねのターン。ずっと俺の律子のターン!!
見てるこっちが、当の律子ですら若干たじろぐほど。
お前の好きなようにしたらいいんだと言いながら決して自分の手中からは出してやらないぞという圧がすごい。
YESしか許さない。お前は俺のもの、お前のものも俺のもの。
その独占欲が切りたつ黒い壁を物語っているようで恐かった。
広い屋敷の中で、律子が窮屈な思いをしているんだと感じた場面でした。

この場面、暗い部屋の扉は少し開いて光が差し込んでるんやけど、2人がイチャイチャしている間に人影が映るんです。
壁に移ったその人影は、ハッと足をとめる。遠ざかったり近づいたり、足を踏み入れるかと思いきや引っ込んで、でも聞き耳はたてている。

お兄様ですよね?!!!!

なにこれ?!影だけでそこに居るってう演出もさることながら、影だけで演技する林遣都もすごい。
観客だけが見ている三角関係、こちらも髪の毛一本動かしてはならぬという謎の緊張感があった。屋敷の壁の一部になったような緊張感。
見たことない超絶演出に思わず拍手しそうになったわ・・・
あのお兄様の影、切り絵にして壁に飾ろうかな?っていうくらいには感動しました。
恵三郎はのちに従妹である信子との会話で、自分がこうして周りに微笑を強要する理由とか家族へ対する気持ちも語るんだけど、そこで初めて「あぁ、この人きっとワガママなだけなんだな」と気づくんです。
きっと今までいくつも裏切りを受けたり、陰口たたかれているのを聞いたりしたんだと思う。
だったらもう、人様を信じるなんて面倒なことはやめてしまおうって諦めたんじゃないかな。俺は俺自身を可哀想だなんて思わない、相手に気持ちは求めない。俺が疑わないように、微笑を見せるくらいはしてくれと。
彼は独裁者じゃなくてエゴイスト(我儘)だったんだろうな。
従妹の信子もなんとなくそれを昔からわかっていたんじゃないでしょうか。

休憩15分

はい、休憩!!!
すみません、予想以上に長くなりました。
ここで第1幕をいったん閉めます!!
次の第2幕で私のレポは終わりですが、
めちゃくちゃ長いと思うので覚悟してください…!!

ここまで読んで頂いてありがとうございます!!

第2幕はこちら

https://note.mu/harumaki_5656/n/n49a1cc574ba0

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