イケマのことを書いてみようと思った
池間史規。
夫です。
2008年に出逢いました。
それ以前に、お互いに存在だけは知っていたものの、ちゃんと向き合ったのは2008年の9月でした。
彼が2019年12月に肺炎で、向こうの世界に旅に出るまでの11年間の思い出なんかを書き綴ってみようかなと思います。
時系列で思い出すのは無理かと思われますので(笑)、思い出すまま、思いつくまま、気が向いたら、順不同でという感じです。
まずは、やはり出逢いから、ですか。
池間史規という音楽家の存在を知ったのは、三軒茶屋のライブハウスに貼ってあったポスターでした。
「シアワセノカケラ」という楽曲を岩崎宏美さんに提供した本人が歌うというようなポスターだったような、ちょっと違ったような。ちゃんと覚えてない。笑
その時、だいたい「イケマフミキ」と読めなかったね。「イケマ・・・シキ・・・なわけないよな・・・フミノリ?」その程度ですわ、あはは。
何をする人かも知らなかった。あはは。
シンガーソングライターで、作曲家で、ベーシストで、
それから、プロデュースもアレンジもなんでもできる人なんだと知ったのは、もうちょっと後のこと。
当時、青山にあった音楽室というライブハウスにしばしば遊びに行っていて、そこで歌わせてもらうこともあったり、たくさんのミュージシャンの方々と知り合いになったり、
そんな時に、イケマが音楽室でライブをした、それを聴きに行ったのが始まり。それもイケマ目当てではなく、その頃兄のような存在だったシンガーソングライターの人目当てで。
初めてイケマの歌を聴いた。
優しい歌を歌う人なんだな。それが第一印象・・・、じゃなかった!
第一印象はもっと前だ!
それはまた別の機会に書くとして。
歌の第一印象は「優しい歌を歌う人」。
その時は挨拶をした程度で、特にお話もしなかったし。
だけど、後で聞いたのだけど、イケマのその時の私に対する印象。ひどいわよ、笑。
「ステージから客席にいるあなたを見た時、“この人絶対スピ系だ”と思った。それから、帰る時に前を歩くあなたの後ろ姿を見て“オシリの大きい人だな”と・・・」だから、好みのタイプじゃないなと思ったんだとー。
おー、私もじゃー。・・・悔しいかな、間違ってはいないけど。
そう、ちっとも好みのタイプじゃなかったのよね。だから、たいして気にとめてもいなかったんです。
そして、2008年9月。
岸田敏志さんのコンサートで、大好きなギタリスト丸山ももたろうさんが弾くというので、出かけました。コンサートを堪能した後打ち上げにイケマがいました。どうやら文化放送の岸田さんの番組の担当をしていたことがあるらしく(ミュージシャンになる前のイケマは、文化放送に勤めていました)。
打ち上げの二次会の席でたまたま隣どうしになりました。10人前後で一つのテーブルを囲んでいたので、あまりたくさん話した記憶もないのですが、その時になぜか「この人ともっとちゃんとお話ししたい」と思ったんです。
そこで、「池間さん、今度飲みに行きませんか」と。
なんて返事が返ってきたと思いますか。
「僕、お酒飲めないんですよ〜」
・・・これ、普通、断りのセリフですよ・・・
おやおや、と思った私は、さらに、
「じゃあ、ご飯食べに行きましょう!」
・・・私、ツワモノだよっ!めげてない!笑
「あ、はい」
・・・別に断るつもりではなかったらしいです・・・付き合っていくうちにわかったことですが、これがイケマなんです。計算とかないんです。お酒が飲めないから飲めないと言っただけなんです。そんな人でしたね〜、全てにおいて。
どうして私、もっと話したい、二人で話したいって思ったんだろう、今でもどうして誘ったのかはわかりません。
多分こういうことって、理由はないんだよね、と思います。
散会して、駅でそれぞれのホームに向かう時、
「あの人、何線で帰るのかな?同じ線じゃないよな」とイケマも思ったそうです。
ン?お互い「あの人、何だろう?」と気にしてたってことか?
当時はMIXIというSNSが主流で、連絡先を交換し、家に帰ってからメッセージのやり取りをしました。
「いつ、ごはん行きましょうか」
「台風が来そうだから、早速明日とか明後日とかどうですか」
「明後日なら大丈夫です」
早いね、やることが。
渋谷のビックカメラのところの交差点で待ち合わせをして、
「何を食べに行きましょうか」
「あ、僕、お肉がダメなんです」
・・・酒がダメで、肉がダメ。まさか大戸屋でデートじゃないだろう・・・。
「普通の居酒屋さんとかでも大丈夫ですか?」
というわけで、行ったのが普通に居酒屋。
半個室みたいな席だったので、落ち着いて話すことができるお店でした。
今はもう違うお店になっています。
そのお店にあったのが、静岡おでん。
「あ!静岡おでんがある!黒はんぺんって知ってますか?僕、静岡出身なんです」
そこに静岡おでんがあることも、イケマが静岡出身であることも知らなかった。
これ、スピ系的に言うなら運命ってやつなのか?
黒はんぺんを食べながら、私はビールから焼酎ロック。イケマはお茶からアイスコーヒー。時々私の焼酎を一口飲んだりする。
「お酒、飲めないんですけど、味は好きなんですよ〜」と私の頼んだ焼酎を一口だけ飲んで、「あ〜、美味しい!」と。
おつまみの追加で、牛肉の乗ったサラダが食べたくなった私。
「これ、お肉乗ってるからダメですね〜」
「あ、このくらいなら大丈夫です」
・・・別に、ベジタリアンと言うわけでもないらしい・・・。
これも後でわかったことですが、韓国系の焼肉が苦手、ということだったようです。笑。ハンバーグとか餃子は大好きだったもんねえ。
そこで何を話したのか、具体的なことは覚えていないけど、見ている方向が同じなんだとわかったことは憶えています。多分ね、お互いそこまで分かり合える人間に初めて出会ったのかもしれないと、今は思います。
終電近くまで初めてのデートで盛り上がって、渋谷駅に向かう坂道を歩きながら、
「お手手つなぎましょう」って。
それはイケマの、その時の精一杯の好意の表れだったのだと思います。
後々までずっと言っていたのは、
「俺の方がナンパされた!」ってこと。
うん、まあ、いっか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?