こんばんは。
今日は#わたしがそれを好きな理由 ということで
わたしの人生においてずっと好きなフランス菓子のお店を
紹介します。
ほんとうはひとり占めしたいくらいだいすきなんですが
ながくながく続いてほしいお店なので今日は熱量たっぷりでまじめにお届けです。

その街並み、たたずまい。憧れと思い出が詰まっている
福岡・浄水通り。

福岡市中央区薬院。天神の賑わいや、博多の活気とは違ったたたずまいのエリア。
木洩れ日がキラキラした並木道。動植物園へと向かう54番のバス。
メルパルクホール、九電記念体育館。
カカオロマンス、フルーツタルトを初めて食べたお店。有名な女子校。
そのすべてがステキな思い出であり、いまでも憧れの街。
そんな素敵な場所にそのお店はあります。

フランス菓子　16区

言わずと知れた名店です。
真っ白な店内。輝いているショーケース。
フルーツをぜいたくに使った色とりどりのケーキたち。ていねいに作られた焼き菓子。
クリームなどの乳製品と加熱されたお砂糖のにおいがする店内。
緊張感のあるガラス張りのキッチンでは職人さんたちがお菓子を作り
それを丁寧につつんでいくお姉さんたち。
ケーキ屋ではなく”フランス菓子”屋。
流行りのお菓子ではなく伝統的なフランス菓子たちが並んでいます。

”ムッシュ”三嶋隆夫氏

16区のキッチンを覗くと
誰よりも体格が良く、背の高い男性がいます。
彼こそが16区のオーナーシェフであり多くの人に”ムッシュ”と慕われている
三嶋隆夫さんです。
もともとラガーマンであり料理好き。
帝国ホテルのペストリーに配属されたのち、ヨーロッパで修業を重ね
パリ16区にある洋菓子店アクトゥールでシェフを務めました。
いまや世界中の菓子好きが知っているフランス菓子”ダックワーズ”は
ムッシュがアクトゥールのシェフ時代に考案したもの。
和菓子の”最中”をフランスでも親しまれるようにした小判型のお菓子。

このダックワーズがきっかけでムッシュは2007年に【現代の名工】
そして2015年に「農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有する方」に授与される【黄綬褒章】を叙勲。
現在は福岡県洋菓子協会の会長や、日本洋菓子協会連合会の副会長を務めており、日本の洋菓子の発展に貢献しています。
作るお菓子だけでなく働く従業員のことを大切にし、わたしたちの手に届くものはとても愛にあふれているのはムッシュの人柄そのものだな。と16区のお菓子を口にするたびに感じます。

16区のお菓子たちとわたし。

~出会い~

16区とわたしの出会いはまだ幼稚園に入る前のこと。
浄水通りを過ぎ、山を越えたところにイトコ家族が住んでおり
近所の公園でブランコから落ちて泣いていたところ
おじが『ケーキ買いに行こう！』と連れて行ってくれたのが16区でした。
もちろん何も覚えていないのですが
真っ白でキラキラしていて、わたしの住む町のケーキ屋とは違う雰囲気だったのは覚えています。
そして外国人の職人さんがいたこと。
たったそれだけの思い出なのに『大きくなったらケーキ屋さんになる！』と
小さいながらに16区で働く夢を描いていました。

~思春期~

時は過ぎ、12歳の冬。
祖母が亡くなりました。割と急だったしまだまだ元気でいられる年齢だったのでみんなが落ち込んでいた中
突然届いたマロンパイ。身内が関わっていたのでムッシュが遅くにわざわざ届けてくださったのです。
翌朝みんなで食べたマロンパイは正直オトナの味だったけど
家族の笑顔が少しだけ戻っていました。
いまでは忘れられない思い出だし、お菓子の持つちからを強く感じた日でもありました。

いつでもわたしに愛を教えてくれるお菓子たち。

16区で知ったお菓子はたくさんあります。
シュトーレン、生チョコ、ショコラオランジュ…
ブルーベリーパイやジュレ。
普段使いはしないけど、
たいせつな日にじぶんで食べるときもあるし
大切な誰かに贈り物をしたいときは16区です。
（間違いなく間違いのないものを贈りたいときに選ぶ必殺のお店）　

マロンパイが食べたいから、
マロンパイの季節に帰省するようにしているし
年に数回、東京で催事があるときは足をのばすようにしています。
2年半くらい福岡市に住む機会があったけど
お店がある薬院に住むことしか考えられなかったし、チャンスがあれば今も住みたいまち。
ずっとずっとだいすきな伝統菓子を作り続ける16区が長く続いていきますように。

さいご

わたし自身も作る側の立場だったり
作り手さんの思いを伝える役割を担っている仕事をしているのですが
改めて、ムッシュのように一緒に働く人に感謝したり
お渡しする方に”想い”もいっしょに届けていきたいと感じています。
見失いがちなんだよね。気をつけよ。

福岡に行った際はぜひすてきなフランス菓子のおみせに足を運んでくださいね。
胸焼けするほどの熱い愛でした。

はるみそ。
今日のは私信です。
届くといいな。
届きますように。