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故郷の味と鹿児島ラーメンの話

最近は毎年1度しかない帰省のたのしみは、何といっても、食べることだ。

その多くは、店で食べるものというより、家庭で食べるものだが、たとえば、キビナゴの刺身がそうだ。

食べたいと言ったら母がスーパーの鮮魚コーナーで買ってきてくれて、指ですらすらすらとさばいて、写真のように盛り付け、酢味噌をつけて食べる。醤油で食べる場合もあるが、大抵は酢味噌である。

これは、父が田舎で採ってきたツワの煮物。これも家庭の味である。嬉しい。

今回の帰省、初日の夜に、母が鶏飯をつくってくれた。

これは店で食べることもあるが、奄美の家庭料理である。ぼくの故郷からは遠い。ただ、近所に"大島紬の里"があり、鶏飯はこどもの頃から食べていたので、やはり懐かしい。

母の味、ということを言えば、もっといろいろあるが、今回はこのあと、鹿児島ラーメンの話につなげる。

店で食べたいのは、何といってもラーメンだ。鹿児島ラーメンのようなラーメンは、他の場所ではほとんど食べられないはずだ。

鹿児島ラーメンの店では、テーブルに大根の漬物が置いてあり、自由にとって食べられる。これを口にすると、あぁ、帰ってきているんだなぁ、としみじみする。

さて、ラーメンにまつわるうんちくを少々。

たとえば東京では、九州のラーメンといえば博多ラーメンで、ぼくのいい加減な知識によると、博多ラーメンと言いつつ久留米を発祥とする豚骨ラーメンである。

東京で"博多豚骨ラーメン"といえば、スープは"こってり"していて、麺は細く、"替え玉"が特徴、というところかもしれないが、ぼくの知っている昔ながらの博多ラーメンは東京で食べる博多ラーメンほど"こってり"はしていなくて、細い麺ではあるけれど必ずしも"替え玉"があるわけではなくて、たいへん澄み切った塩味のものである。

以前、大阪に住んでいた頃、帰省にかこつけて鈍行旅行をして、博多で一泊しつつ中洲の屋台でラーメンを食べ、翌日の昼頃、熊本について熊本ラーメンを食べ、鹿児島に着いて帰省中に鹿児島ラーメンを食べる、という旅(?)をしたことがある。

博多ラーメンは「澄み切っている」と言っても白濁した豚骨スープで、食べている途中に千切りにした生姜や辛子高菜を入れて食べたりしても平気で、むしろ美味しい。

熊本のラーメン店にも、生姜や高菜を置いてある店があったが(もう長く行ってないのだが)、スープはどちらかというと鹿児島ラーメンに近く、それらを入れると味がボヤけるような気がした。麺は博多ラーメンのような細麺で、マー油をかけてあったりする。

あとあと考えると、何となく、九州の北側のラーメンと、南側のラーメンの、間の子と言った感じもするのだった。

さて、その南側の、鹿児島ラーメン。

昔ながらの鹿児島ラーメンの味は、ぼくの乏しい知識を使って説明すると、豚骨スープと鶏ガラスープの合わせ味で、店によってはそれに野菜を合わせ、鹿児島の醤油を使っていたりもする。これが、博多ラーメンの比でないくらい"澄み切った味"である。

麺は、博多ラーメンや熊本ラーメンに比べると、ぐっと太い。ただし讃岐うどんのように麺のコシで勝負するといった風でもなく、むしろ大阪うどんに近い。

主張が少ない、と言えば悪く言っているようだが、繊細である、と言えばどうだろうか。

大阪のうどんとか、広島の牡蠣とか、そういうものを思い出すのだけれど、地のものはその土地で食べるのが一番美味しい。外へ持ち出すと、味は変わる。

鹿児島ラーメンにも、実家で母が出してくれるものにも、同じことを感じている。

ところで、鹿児島ラーメンには、味噌ラーメンもある。いつも帰省中にラーメンを2食にできなくて食べる機会がないが、いつかまた食べてみたい気がしている。

(つづく)

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