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溢れ出てくる思い出〜眉村卓さんの訃報を受けて

昼頃、眉村卓さんの訃報が流れて、飛び込んできた。文字通り、ぼくの目を通してからだの中に飛び込んできたと思った。

写真を見ると、歳をとられて(当たり前だ)、随分痩せておられる。最後にお会いしたのはたぶん、14年くらい前だ。

大阪芸術大学の、学生として、というよりもぼくは、卒業後に数年、居残って研究室で丁稚奉公のような仕事をさせてもらった頃、毎週のように顔を合わせていた、その頃の思い出がたくさん蘇ってきた。

冗談の好きな、気さくな方で、眉村先生(ここでは先生と呼ばせてください)の描く"卓ちゃん人形"の偽物をぼくが研究室で(冗談で)描いていたら笑ってみてくださったりした。

ある日、卒業生を集めて雑誌をつくるんです、と話したら、「短編小説を書いてもいいですか」とおっしゃって、びっくりしたが、その頃、住んでいたぼくの部屋に生原稿が届いたのにはさらに驚いた。会うことがあるのだから手渡しでもよさそうだが、郵便(速達)で送られてきたことに、ぼくはとても励まされた。歳をとったパーマン、といった話だった。

病床の奥さんを読者に、毎日1編、書いていた、その"最終回"から、ちょうど1年後くらいのことだった。

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個人的に思い出すエピソードが山ほどある。どれも自分が20代の前半だった頃の、若気の至りのような経験と共にある。いまは、たくさんのことを一気に思い出して、溢れたようになっている。

思い出すことは、ぼくには、励ましになる。そして、話しかけると、ちゃんと答えてくれる。なぜあの時、もっと聞かなかったのか、と思うが、聞けなかったのだ。しかし、いま、心の中で聞いて、答えてもらえるということは、何かは、しっかり受け取ってきたのだということなのだろう。

だから、心の中で伝えよう。ありがとうございました、と。この話のつづきは、また、どこかで。

(つづく)

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