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【特集】『アフリカ』vol.29(2019年7月号)

『アフリカ』の29冊目ができました。

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今回は1年3ヶ月も空いてしまったので、前に一度やったことのある、アレから始まる。お待たせしすぎた場合にやる、アレです。

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でも、それは『アフリカ』を実際に手にとって、ひらいて、その時に見て欲しいので、これくらいの紹介にしておきます。

ヒントは、写真と看板、かな。ぜひ、その写真を読んでみてください。

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今回、冒頭を飾っているのは、以前(2010年〜2012年)「ゴゥワの実る庭」を連載していた中村広子の「月と車椅子」という短いエッセイ。中村さんには「ぜひまた書いてほしい」とずっと話していたのだけれど、最後に書いたのが2013年10月の21号だったので、6年ぶりの寄稿になった。

今回、書かれたのは、母親の死について。──メールではいろんな話をしたのだけれど、書かれたのは、悲しみ、というその感覚が、からだの中で、どんなふうになるのか。それをさりげない日常風景の中で描いたもの。

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真と嘘が入り混じった『アフリカ』恒例の目次を挟んで、毎日、ここでも最後にご紹介している「道草の家・ことのは山房」の"日めくりカレンダー"その「二〇一九年上半期ベスト・セレクション」が、どーんと13ページ続く。エッセイには少し手を入れて、モノクロになるけど写真も載せました。

それに続く「おにのこ」は、鬼の研究、そして知的障害のある息子の話に続く中村茜のエッセイで、コタロウという犬の話。

今回、初登場の菅野恵「心を整える──白血病から得たもの」は、タイトル通りの内容で、昨年ぼくが1年間やっていた「オトナのための文章教室」から生まれた作品のひとつ。タイトルが正式に決まっていなかった頃、編集人が提案していたタイトルは「イメージの力」で、項目のタイトルとして残っている。

「死」を覚悟する中で、医者に対して、家族や友人たちに対して、自分自身に対して、どんなことを感じ、考えたか、とっても素直な感想が書かれています。

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次に、犬飼愛生の詩「長い睫毛と千秋楽」。そして、ぼく(下窪俊哉)が書いた「“語りかけ”の声──犬飼愛生詩集『stork mark』」、ぼくと高城青による犬飼さんへのメール・インタビュー「母性の押し売りがしんどかった」が続く。

小特集とは銘打ってないけれど、よく見たら小さく特集してあるというわけ。

昨年の夏に出た犬飼さんの詩集『stork mark』には、この10年、『アフリカ』に書いてきた詩たちが幾つも収録されていて、収録されなかった詩もある。また、『アフリカ』には詩だけでなく散文もたくさん書かれているわけで、その全貌に迫ろう──といえば大げさかな? どんなことを感じ、考えながら、その時々を過ごし、詩を書き、エッセイを書き、詩集をつくって、のりこえてきたか、いろいろ語っているインタビュー。

これまでにも『アフリカ』を読んできた方はバックナンバーも隣に置いて、今回はじめて『アフリカ』を読む人には、想像の中で『アフリカ』のバックナンバーを隣に置いて読んでほしい。想像だけでも、より味わえるかも?

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なんだかすごく久しぶりな気がする高城青のゆる〜い感じ(?)のエッセイ漫画「それだけで世界がまわるなら」、26号に載っているので、そんなに言うほどではないのだけど、最近は年に1冊しか出せない状況が続いていた『アフリカ』なので、とっても久しぶり。

今回は、引っ越した先(そのへんのことについては27号の巻頭エッセイ「もっぺん住む」に書かれている)で、猫を飼い始めた話。この猫がまたすごい… 何がすごいって、中村茜「おにのこ」に出てくる犬にも通じる猫で、もちろんこのふたつの"エッセイ"は別々に書かれていて作者たちはまだお互いの書いたものを読み合っていないのだけれど、ものすごく通じるものを持っている。

このあたりのシンクロニシティが、さらっと起きるのが『アフリカ』という雑誌の面白いところだ。言わばすべて偶然なのだけれど、でも偶然じゃない気がする。必然はいつも最初は偶然の仮面を被ってくる。

ぼくのエッセイ「活字の断食」は、これも「オトナのための文章教室」から生まれたもの。ぼくはいちおう「教室」の企画者で、"案内人"で、参加者からは"先生"と呼ばれていたが、自分も毎週、書いてい持って行っていた。

2011年3月に「活字の断食」をやろうとした、あの地震が起こる前の数日間と、昨年・秋に再び取り組んだ「活字の断食」の報告記。手を入れているうちにいろんな実験やフィクションまで入り込んできて、エッセイ(試み)の名にふさわしいものになった…はずだ。

最後を飾るのは、犬飼愛生のエッセイ「キレイなオバサン、普通のオバサン」。これはもちろん、真ん中あたりで(じつは)小特集している犬飼さんの話も眺めつつ読んでほしい。“涙ぐましい”努力、さて今回は…?

最後の3ページは、いつも通りです。シャレを多く含んだ「執筆者など紹介」→「五里霧中ノート」(今回は思うところあり、前号と同じタイトルにしました)→「編集後記」。

『アフリカ』を毎回、読んでいる人の多くは「編集後記」からまず読む、と言う。とても短い時間で書くのだけれど、それがいいのかもしれない。

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"いま"の、この日々の、地べたに近い、この空気感がいっぱいに詰まった、この1冊を、実際に手にとってご覧ください。

(つづく)

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"、1日めくって、7月9日。 今日は、一年ぶりに飲んだ梅ジュースの話。

※"日めくりカレンダー"は、毎日だいたい朝に更新しています。

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