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「ぼくは今不安を感じていて、それですぐに作業が止まってしまう」

昨日からとても苦しくて、自分の中にあった毒がドッと出たようになり、苦しくて、もがくような気持ちだった。だったと過去形で書いたのは──いま、ある文章を読んで、声に出して、家の、この道草の家の2階の自室の椅子に座って、目を上げるとタイサンボクと、その上に、その向こうにおおきな空がある、その窓の前の椅子に座って、自分の声に出して、『アルテリ』という雑誌の最新号に載っている「目の前にあるもののことをしばらく見ていると、」という、坂口恭平さんが書いた10ページほどの文章を、読んだところだ。

心に思っていたり、頭で考えていることから離れて、声を出してみよう。

そうやって読み始めたのだが、書き出しから2ページ目の最後のあたりで、涙がポロポロ止まらなくなり、しばらく泣きながら読んだ。

それがどのあたりだったのか… 自分があとでこれを見た時に、見ないかもしれないが見るかもしれない、その時にわかるように、この文章のタイトルにその付近から一行引き出して書いておいた。

吃音の人の中には、ひとりで朗読する時にはどもらない、という人もいるみたいだが、ぼくはひとりでもどもる。詰まったり、息継ぎをしたり、同じ部分をなんども繰り返したり、たいへんに時間がかかる。しかしさいごまで読んだ。

突然涙が止まらなくなったことにどんな意味があるとか、いまぼくは考えたくない。そんなことより、また、始めよう。

(つづく)

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"、1日めくって、6月11日。今日は、曇りガラスにはアレ、な話。

※"日めくりカレンダー"は、毎日だいたい朝に更新しています。

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