オトナのための文章教室⑪

ひとまずは4月まで、と2月に始めた「オトナのための文章教室」、11回目。今回は、「私の原風景」です。参加者4人、じっくり話すのにはいい人数です。

先週はこんなふうに言いました。

最も古い記憶、風景、人、出来事など、記憶の靄(もや)の中を彷徨って、見えてくる光景、聞こえてくる音、etc. 書いてみてください。

人の記憶っていうのは、なんとなくいい加減で、おぼえていると思っていることもなんとなく忘れてる、わすれたと思っていることでもなんとなくおぼえていたりして、書こうとしたら、たぶん、「さぐる」ことが要るんじゃないか、と私は思います。

「さぐる」感じが、「書く」ことには要るんじゃないか。「書き続ける」には。

3月に「人間以外の生き物になって書いてみよう!」という回がありましたが、今回、書こうとして、幼少期に出合った「野生動物」が出てきた方がいます。まずは、その展開が、とても面白い。季節はいつだったんだろう。家の近くだろうけど、どこだったんだろう。自分は「動物」と出合って何をしたんだろう。具体的なその出来事が書かれて、読んでいるのは、なんというか、幸福な体験です。

実際には見たはずのない、太古の動物が出てくる「原風景」には、驚きました。美しい光景。それは「つくられた風景」なんだろうけど、だとしても、その「風景」にゴチャゴチャ口を挟みたくないような気になります。作者から私に、「もっとすっきりわかりやすく書くにはどうすればいい?」と質問がありました。私もいろいろ話、参加者からも意見は出ましたが、すっきりわかりやすく書いたら、失われるものもある(たとえば、こういうこと)ということも話しました。では、どうする? ああ書いてみたりこう書いてみたり、試してみてください。

自分はベビーカー離れが遅かった、と、ベビーカーから見た「風景」、そしてそのベビーカーが壊れた日のことを書いてきた方もいました。子供時代には、こんなことを見ていたな、とか、思っていることをあまり口にも顔にも出さなかった(出せなかった)な、とか、各々の記憶を交えつつ、話します。

「原風景」はあるけど、それがどこの風景なのかわからない。ということを書いた文章もあります。なんだかしみじみしちゃう。じゃあ、「いつ」なんだろう? と彼は書き進めます。書き進めるのに、「対話」のスタイルをとっています。このまま「対話」を進めるとどうなってゆくだろう? なんてことを話しました。

記憶に新しい2011年の3月11日の地震による津波で、幼い頃過ごした町が「壊滅したぞー」と始まる文章もありました。どんな文章にも、私は「先生面」をしてあーだこーだと言わず、言わなければいけないとしてもすぐには言わず、しばらく味わっていたいのですが、震災の現実を受け止めようとするその文章を前にして、いつも以上にそんな気になります。町は消えても、「記憶」はある、「死んではいない」と言います。私は頷くしかありません。そこでは、書き手は、ことばによる「再現」を願うという話を少ししました。

明るい、明るい、絵に描いたような「原風景」を書いた原稿もありました。しかし、明るい、明るい「風景」を眺めていると、どこに「闇」があるか、という見方にもなるようです。

今回、私の書いた「原風景」は、何となく「うす暗い」風景です。幼少の頃には、なんとなしの不安を抱えていたような気がする。そうなると逆に、そこには「光」を見てしまう。

でも書き手としての私が何を考えるかというと、幼少の頃に自分が過ごしたその町を、空間を、ことばによって丸ごと描いてしまいたい、ということです。その時にしかなかったその時間、空間を、蘇らせたいということです。そう願って、ああ書いたりこう書いたりしてみます。

さて次回(4/27)は、第1期の最終回、「自分にとって「書く」とは何か?」です。

まず、これまでに自分が書いたものを読み返してみましょう(最終回に初参加の方は、以前書いたものが何か見当たれば読み返してみてください)。何か書きたいことがあって書いたこともあり、書けていること、書けていないこともあると思います。書いているうちに、思いもよらないことが書けたりもしているかもしれない。なぜ書くんだろう。自分にとって「書く」とは何だろう。自由にペンを動かして(キーを叩いて)書いて、ご持参ください。

以下はいつもの文言ですが…

まとまった文章でなくても、断片(文章の切れ端)で構いません。パソコンで書いてプリントアウトしたものでも手書きのものでも何でもOK。なお、何も書いてなくても参加はできます。ご興味ある方はこの1回だけでもお気軽に!

あと、先週も書きましたが…

その4/27の「教室」のあと、小一時間程度の「打ち上げ」をやろうと思います。参加費500円で、軽く飲んだり(アルコールもノンアルコールもあり)食べたりしながら、いろいろお聞きしつつ、次へつなげる話をしたいと思っています。

これまで参加してくださった方で、都合が悪くて19時からの「教室」には参加できないけど21時からの小一時間だけ行こうかな? と思われる方がいたらそれも遠慮なく。

では、また次回! 初めての方もどうぞ遠慮なく。

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アフリカン・スクラップ・ブック

あのアフリカとはあまり関係がない個人的出版レーベル「アフリカキカク」の雑記帳。
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