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【アンケート作りました】日本というフィールドにおけるアイルランド伝統音楽について

☘️はじめに

みなさん、年末年始いかがお過ごしですか? 私はアイルランドで一人過ごす年越しです。日本の友達と連絡を取り合うのがささやかな楽しみではありますが、もともと、一人の時間が全然平気なタイプなので、論文を読んだり、録音の整理をしたり、作曲にチャレンジしてみたり、……実は結構充実しています。

そんな充実時間(笑)に、「日本におけるアイルランド伝統音楽の現場について」というアンケートを作りました☺️

アンケートの冒頭文にも書いたのですが、私がアイルランドの音楽を始めるきっかけになった出来事、人物はほとんど日本にあったんですよね。

今更ですが、個人的にはこれに気づいたことが結構衝撃的で。

私には偉大な「アイルランド様」がいて、ずっと追いかけてきました。アイルランド伝統音楽を始めるきっかけが日本なら、モチベーションはアイルランドって感じで。追いかけるうちに、ありがたくも音楽仲間や機会に恵まれ、日本でたくさん演奏させてもらいました。伝統音楽への思いが形になるみたいで楽しくて、もっと知りたくて、でも調べれば調べるほどわからなくなって……。今年8月、大学院進学のためアイルランドにきたときは、これから始まるぞって感じですごくわくわくしました。

が、始まってみると、案の定ますますわからなくなりました(笑)。

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図書館に籠って、日が暮れるまで勉強する日もありました


☘️あなたにとって伝統音楽とは?って質問した

大学院という環境がそうさせるのかもしれませんが、伝統を勉強するって、なんかへんな感じ。別に、勉強しなくたって、上手い人は上手いんです。いえ、上手くなくても何か特別なものを感じる人もいます。その逆もあります。

それゆえに、私は何を目指せばいいんだろう? 外国人が伝統について理解するのって、すごく難しいこと? 伝統ってそもそも何? と悩み、その日大学に講師として来ていたCatherine McEvoy氏に、もしかしたら重い質問かもしれないけど……と前置きして、あなたにとって伝統音楽とは?(What does traditional music mean to you?)と勇気を出して聞いてみました。

There's, if I'm playing a tune that I learned from the play somebody playing or tunes of that person, that person might be dead and gone now. Absolutely, I think of them.  (例えば、私が誰かの演奏から学んだ曲やその人の作った曲を演奏しているとしたら、その人は今はもう亡くなっているかもしれないけど、私は確かにその人のことを思っています)

これも一つの答えですよね。もちろん、他の人に聞けば、また別の答えが返ってくるかもしれません。しかし、大学院という場所で、Catherineに会って話を聞けたことは、私にとって非常に価値のあることでした。

実は、Catherineは左手を何針も縫う事故を経験していました。痛々しい跡が残る手の甲を撫でながら静かに教えてくれた言葉からは、彼女の人生が伺えました。

It was only when this thing happened with my hand and like I was faced with not being able to play I realised it what an important part of my life. (手に異変が起きて、演奏ができなくなったときに初めて、伝統音楽が自分の人生の重要な部分であることに気づいた。)

自分の人生の重要な部分って、今の私だったら何だろう?と思うと、やっぱりアイルランドの伝統音楽でした。

そこで、アイルランドの伝統音楽に至るまでの「きっかけ」を思い返すと、あのとき、あの人たち、あの演奏。良かったな素敵だったなと出てくる思い出。

私の場合、それは日本にありました。

みなさんはどうですか? 人の数だけきっかけがあって、そんな思いが今日まで繋がっていると思います。

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サークル同期で結成した、BB Ceili Band。この写真はなんと2016年!(左から4番目が私)


☘️大事なのは「繋がり」

私がアイルランドの伝統音楽で大切だと感じるのは「繋がり」です。最たるものは音楽を通して出会った、今も顔が思い浮かぶたくさんの友人たちですが、年齢も、立場も、アイルランド伝統音楽演奏歴も、まるでバラバラです。でも、それでいいのです。
私は、小さいアイルランドがあるみたい、と思いました。
楽器を持って集まればセッションが始まり、終われば飲み物片手に語り合う、誰も何もジャッジしない時間が幸せですが、それはある日突然始まったのではなく、今よりちょっと前の、私より先にアイルランド伝統音楽に出会った先輩たちが作ってくださった時間と場所が、今まで地続きになっているからです。それも、アイルランドから遠い遠い、日本で! 大学のサークルでアイルランド音楽、という選択肢ができたのも、そんな先輩方の影響によるものだと思っています。

私も例に漏れず大学のサークルきっかけでアイルランド伝統音楽にたどり着き、素敵な先輩、同期、後輩と出会えました。はーみーさんの演奏が好き、と言ってくれるかわいい後輩もでき、大学のサークルという構図は、「ずっと同じ場所にはいられない」刹那的なものだからこそちょっと特別ですが、極端な話、別にアイルランドに行って現地のプレイヤーに習ったり、現地のセッションに参加することが最重要事項ではないですよね。もちろん、アイルランドへの憧れはみな、それぞれで目には見えない形で持っていると思います。

あの先輩の演奏が好きで、真似して、それが次の後輩に繋がって……となるその繋がり、エネルギーが、私はすごく素敵だと思いますし、そのエネルギーが結果的に「アイルランドに行きたい!」と思い至るのなら、それもまた素敵だと思います。

そもそも、この「あの先輩(あの人)の演奏が好きだから真似したい」というエネルギーは、サークルだけのものではなく、東北、関東、中部、近畿、九州、四国など、日本の各地域で、ずっと前からさまざまな広がりを見せているように感じています。

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アイルランド、リムリック シャノン川から

☘️だから、私は

日本というフィールドにおけるアイルランド伝統音楽は、既に「受け継ぎ、受け継いでいく」そのさまがあるのか、もしあるとしたらしっかり確かめたいな、と思いました。

これからアイルランド伝統音楽に出会う、未来の友人たちにも繋げていきたいです。どうぞよろしくお願いします。


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