「〇〇（私の名前）のアナザースカイは？」

これは、とある企業の面接で問われた質問である。絶賛就職活動中の私、5月のこの時期になっても様々な企業にエントリーシートを提出しなければならず、この面接の日も、朝まで他社のエントリーシート提出に追われ、非常に寝不足だった。したがって、冒頭の質問にもよくわからない返答をしてしまった。（どうかちゃんとした答えを返していますように、、、！）

それはともかく、落ち着いて考えてみると、私のアナザースカイは、どう考えても鎌倉・材木座だ、と思う。

家庭環境がやや複雑な私。（不幸自慢は嫌いなので詳細は省きます）大学1年生の12月のころ、いろんなことが重なって、精神的に参ってしまったことがあった。私がどう行動したって変えられないことで、考えれば考えるほどにしんどくなってしまう、突き詰めて考えるのはやめよう、と思った。

でも、そうやっていろんなことを考えないようにして知らないふりをしていくことは、私の価値観を穏やかに崩壊させた。

すべてのことがどうでもよくなって、私が大好きなものも、あらゆるものがどうでもよくなってしまった。

これはやばいぞ、と感じた私は、1泊分の荷造りをして、家を出た。行き先は、鎌倉・材木座。なぜこの場所かというと、私が大好きなものがたくさん詰まった場所だったからだ。以前からどうしても行きたい、と思っていたゲストハウスに、ひとりで泊まってみたかった。自分が大好きな場所に身をおくことで、自分を取り戻せるのではないか、と思った。

東京在住大学1年生女子、初めてのひとりたび。（鎌倉と近場ではあるけれど。）

1日目は、鎌倉をのんびり散策。カフェに行ったり、ぼんやりと海を眺めたり。ふつうに楽しかった。

そして、ゲストハウスに到着。「Good morning 材木座」という、海の目の前のグッドロケーションで、部屋からは海が一望できるゲストハウスだ。私は超童顔、大学1年の当時の私なんて高校生だと思われていたと思う。しかし、そんなことはもろとも感じさせられないくらい、暖かく迎え入れてくれた。カウンター席で夜ご飯を食べながら、たくさんの話をした。

翌朝、5時に起きた私。目的は、そう、日の出を見ることだ。パパッと身支度をして、ゲストハウスの目の前、砂浜に出る。だんだんと空が白んでいき、まるで人の手で染めたような美しいグラデーションが浮かび上がる。それは刻々と色を変えていく。紫、薄いピンク、オレンジ。まるで魔法を見ているようだった。

太陽がのぼりきり、真っ青な空が完成した時、私の心は完全に満たされていた。ああ、好きなものは好きでいいんだ、綺麗なものは私が、私の周りがどんなに変わっていったとしても、変わらずに綺麗なんだ、ということを感じていた。

鎌倉・材木座の空に、救われた。

そのあと、ゲストハウスに揚々と戻ると、宿の方が私のために朝ごはんを用意してくれていた。

ザ・和定食。身にも、そして心にもしみる美味しさだった。

（ちなみにこちらのゲストハウスには看板犬くんがいる。人懐こくて、ちょーかわいい。）

このように、私の心は大好きなもの、大好きな場所によって救われた。これから先、どんなに苦しいことがあっても、大好きが詰まったこの場所にくればきっと大丈夫、と確信することができた。

というわけで、私のアナザースカイは鎌倉・材木座だ。そして、今、本当にもう一度この場所に行きたい。

就職活動が辛すぎる。

祈られたから自信を無くす、とかそういうことは全く無くて、自分には合わなかったのだろう、と割り切っている。そうではなくて、先が見通せない不安とか、安定が保証されない恐ろしさとか（まあ何をしたって安定なんて保証されないだろうけれど）。

私は文章を書くこと、そして読むことが大好きなので、それを生かすことができるような会社に、手当たり次第応募している。手当たり次第すぎて、本当は何がしたいのか、何が幸せなのか、よくわからなくなってくる。

きっと、私のコンプレックスは、今まで社会が思うような優等生人生を歩んできたこと、だ。そして、それに喜びを感じるわけではなく、いついかなる時でも、今の生活に不満を持っている。あの時ああしていれば今こんな思いをしていなかった、と思っている。

そして、これから就職すれば、また社会のレールに乗ってしまった、と思うのかもしれない、と思うとゾッとする。いっそのこと、すべての会社に祈られて、ちょっと社会から外れたところで考え直してみることもありなのかもしれない、と思う。でも、何が正解かなんて全くわからない。新卒で成功しなくても、後々振り返って見たあとに何かをつかめていればそれでいいのかもしれないけれど、それは推測でしかなくて、わからない。

まさに価値観崩壊寸前である。今、材木座に行ったら私の中の何かが変わるだろうか。