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【食】日本茶を身近にすること

食品バイヤー在職中に、仲良くしていただいた京都の日本茶メーカーさんと、どうやったら日本茶を、もっと気軽に飲んでもらう提案ができるんだろう、と一緒に考えていました。

ペットボトルが普及してから、家で急須でお茶を淹れるという人が急激に減り、私自身も身の回りに、祖母くらいしか急須でお茶を淹れるということをしている人が見当たりません。

お茶屋さんも、カジュアルに飲んでもらう提案として、
①ティーパック入りでの販売
②フレーバーティー
③粉末ラテ
④持ち運びボトルでの提案

など、様々なアイデアで商品化をしています。

カジュアルで便利なお茶の飲みかたももちろんいいのだけど、
本来のお茶のおいしさを伝える淹れ方、飲みかたを知らないのももったいないなと思いました。

コーヒーが、サードウェーブとかいって、
あれだけしっかりハンドドリップで淹れる店も流行っていて、
家でコーヒーを淹れる人も多くて、
なんで日本茶は丁寧に淹れる、という文化が流行らないのだろう?
むしろ、海外ではジャパニーズティーが流行っているのに。

今年はほうじ茶ブームや、台湾茶ブームがきそう、と言われているので、
日本茶業界にとってもチャンス。

お茶を淹れるハードルって何?
・めんどくさい
・ルールが堅苦しいイメージ
・急須が家にない
・コーヒーは朝食、など決められたシーンがない

私の場合はこうでした。
ティーパックをポンとボトルに入れて、お湯を入れるだけで、
日常のお茶は毎日飲むけれど、急須で淹れる習慣もないし、
煎茶など高級品だと思って自分で買ったことがない。
そういう人が多いのかな、と思っています。


まずは、気軽な日本茶の淹れ方を教えてもらいました。

①沸かしたお湯を、湯冷ましで80度くらいまで下げる(煎茶の場合)
②急須に小さじ2杯ほどのお茶を入れる(湯呑3杯分くらいの場合)
③急須にお湯を注いで蓋して60秒ほど待つ
④湯呑に順番に少しずつ注ぐ
⑤最後の1滴まで、残さず注ぐ ←これポイント

難しそうに思ってたけど、めっちゃ簡単でした。
お湯の温度と、注ぎ方、タイミングだけ。
コーヒーより時間もかからない。

とにかく、旨みが溶けだした、最後の一滴まで、残さず出すこと
(絞ってはいけない)
教えていただいたときは、中国茶のように、急須を振って
最後の1滴まで出していました。

一番驚いたのは、茶葉をそんなに使わないということ。
正直、コーヒーよりコスパがいい。
よく見る細長い和紙っぽい袋に入っている煎茶が、だいたい100gのものが多いのだけど、1杯で3g~5gくらいしか使用しないので、30杯は飲める。

1000円かあ、と思っていたけど、コーヒー200gで15杯くらいなので、
いいお茶は安いコーヒーと同じくらい飲めますね。

さらに、2回目もOKとのことで、
2回目は葉が開いている状態からお湯を注ぐので、
蒸らすのは1回目よりも短い時間で大丈夫だそうです。


さて、問題は急須がない場合です。
急須をわざわざ買う、というハードルをクリアしたい。
お友達で急須を持ってない子にも、いいお茶をプレゼントしたい。

そういうときに、急須がなくてもできる方法を考えました。
・ティーポットで代用する
・茶こしを使う

上のティーポットは、茶こし部分がついているものなので、
そのまま紅茶のように普通にいれるだけでOKでした。
最後の抽出の部分だけ、振り回すと、飛び散りやすいという難点はありましたが、加減の問題です。

ティーポットは、蓋つきのものであれば大丈夫
蒸らす工程が必要なので、蓋なしのコーヒーサーバーなどだと難しいみたい。

(ただ、やっぱりやってみて思ったのは、
急須のプロダクトデザインは考えられているものだということ。
最終的には急須ほしいね、となりました。)


簡単に淹れることができるのは分かったので、残りはシーン提案です。
お茶を飲んでみて思ったのは、甘い和菓子が食べたくなること。
単純ですが、本当に「あんこ食いてぇー」みたいな気持ちになるんです。

ティータイムとはよく言ったもので、
お茶を飲むということは、やっぱり時間とともに楽しむもので、
休憩や区切りのような、忙しい日常に休むきっかけを与えてくれるものです。
忙しい現代人にとって、小休憩をいれる、ということが
意図してタイミングを作らないとなかなかできない。

ちょうどおなかのすく間食時、お茶を淹れて休憩をする、という習慣も含めて、日本茶の文化を見直すのはいいのではないでしょうか。
なんでも便利な時代で、コンビニでペットボトルで手に入るけど、
喉を潤すことだけが目的じゃなく、
時間を楽しむことを気づかせてくれるかもしれません。

教えて頂いたのは、京都の
上辻園さんです。


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