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【本】何事も無駄なことはないー人間をお休みしてヤギになってみた結果

村井理子さんのTwitterをフォローしていて、ハリー(飼い犬の黒ラブ)の様子をチェックしているのだけど、そういえば、村井さんの翻訳本を読んだことなかった、と思って読みました。

イグノーベル賞のときに話題になっていたのは知っていたけど、実際どういうことをやってるのか知らなくて、単に「ヤギのものまね」した人だと思っていた。
とんでもない!

壮大な研究と冒険の記録だった。

人間として悩むことから開放されるために、動物になりたい、という発想はまだわかる。
だけど、その動物になりきるために、脳の言語野を刺激を与えて言葉を喋れなくさせる(失敗)とか、草を消化するための胃を作る(失敗)とか、四足歩行でギャロップするための義足の研究(骨折の危険性あり)とか、、、、
生態学から筋肉構造、そもそもの人間と動物の関わりにおける歴史やシャーマニズムまで、きっかけはバカバカしいけどれっきとした研究なのだ。

ヤギの悩みがあるかの章で、ヤギが現在の状況からストレスを受けたりはするけれど、過去や未来にとらわれることがない。人間との違いは、過去や未来に対して不安を感じるからだ、というような話をしていて、
最近流行りのマインドフルネスのことだと思った。ヤギになるより、マインドフルネスやったほうがいんじゃない?もしかして。

悟りや修行も同じようなことで、彼がやろうとしたことは、「ヤギ」という身を借りた精神修行だったのかも。

シャーマンが言っていた、昔の部族は、動物により近付こうとして、動物の毛皮をかぶった踊りや祭りがあったり、動物に対して畏怖の念を持っていた。そういう感覚で動物を狩り、食べるという行為が、動物に対しての供養だった。
最近読んでいた世界屠畜紀行や、この間のなかほら牧場の講演もあって、動物と人間の関係をいろいろ考える。
なんでも人間の思い通りに、世界を支配しているような、そういう心持ちで生きてはいないか。

バカバカしい研究かもしれないけど、もっとバカなのは、何も考えないで生きていることかもしれない。

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