彼岸花と夕暮れ時の公園で

探検ごっこの最中に、
子どもたちがどこからか彼岸花を見つけて
プレゼントしてくれた。

彼岸花は見ていると、ぼーっと
どこか不思議な世界へ引き込まれていきそうになる
その不思議な世界が彼岸、なのかもしれない。

最近、妙にメランコリーな気分になる。
日暮れが早くなってきたからか、
暑い暑いと言いながら、少しずつ空気がひんやりとしてきたからなのか。

彼岸花を見ていたらなんだか泣きそうになった。

惜しみつつ、月曜日にはまた会える友達と別れ、
あっという間に夜が来る。

思う存分に遊んで子どもたちはいつもよりもストンと
眠りに落ちていく。

一人一人の髪を撫でる。
時折ピクッと動く手足。
規則正しい寝息。

こうしてまた一日、彼らとの日々が終わる。

いつかは終わるという当たり前のことを
改めて自覚すると、

砂遊びで大きなトンネルが開通した時の笑顔や

木の枝片手にクモの巣退治だって
走り回る背中

ひとつひとつのなんでもない日々の出来事が
狂おしいくらい愛おしくなる。

子どもたちはこのなんでもないことを積み重ねて

私が大人になったように
みんな大人になって
いつか巣立っていくのだ。

そして、そんな彼らの背中に自分の子どもの頃を思い出して

私は当時の自分の両親を思い出す。

その度に当時は分からなかったり、
許せなかったり、もやもやとした出来事に
今更ながらにはっとしたり、感謝したり、許せたり。

子どもたちとの今を生きながら
私も自分の子ども時代をなぞり、
当時の両親に思いを馳せる。

拾い損ねたあの日の母の想い。
父の眼差し。

今子どもたちの背中を通してなら分かる気がする。

全てはいつか例外なく終わっていくけれど、
最後には全部これで良かったって
きっと思えると思う。

そして、その満足したまぁるい気持ちはきっと
天国まで持っていける宝物。

そして、

くらくらするほど鮮やかな紅の彼岸花を見ていたら
そんなことを感じてる今の私を
彼岸にいる大切な人たちが
優しく見守ってくれている気がした。

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