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失恋より美しい痛みを知らないから。

 「自己表現を生業にしたいね。エゴかもしれないけれど、それが、あたしの、夢。」
 バイト中、クローズ作業をしながら思わず溢れ落ちた言葉。関係性を諦めた人との会話ばかりスラスラと流線のように移ろってゆく。大切にしたい人ばかり、なんでこんなに不器用になってしまうのだろうか。心がフリーズして、なんか、きもちわるい。

 気づけば光を追いかけて、裸足で碧い森を飛び出してしまった。こころの依存先はあの日眺めた夕やけ。ジオラマのような街だった。世界のすべて、地球のすべて。

 「温水プールで天使が溺れる記憶。halation。
朧げな光だけみつめて、キラキラひかる粒が反芻してるの、追いかけてたら虚構があたしに染み込んでゆく。絶望、波に飲まれながら全てを拒絶し、静かに沈んでゆく。天国かよ。苦しい。」(24/3/17、日記)

 後先考えず今を生きる人の事を心底軽蔑していたはずなのに、いつのまにか1番そうやって生きてるね。12歳のわたし、信じられないよね。

 背伸びをしたって届かない。わたしの特別な宝物は他の人にとっては他愛もないことばかりで。「人のこと信じられないでしょ。すごく生きづらそうだね」ってめんどくさそうに言われることもある。感情の機微に敏感で想像力が豊かでそんな自分のことを愛したくて。それでも認められなくて、自信がなくって。二律背反。もう、波に抗って踠き続けるの疲れちゃったよ。ピアノの音、水の戯れだけぼんやり聴いていたい。

 本質を変えることと、この心のまま削られること。わたしは後者を選びたい。諦念が白神山地を流れる小川のように心の底で静かに流れている。それに気づかぬようにゆれる瞳を信じていたい。

 もうすぐ春がはじまるね。声の震えはきみの純真だよ。祈りを込めて、いつかのきみに届けたくって、あたしは歌をうたっている、何光年も先で。ずっと待ってるよ。いつでもおいで。

 「こころにぽっかり空いた透明にあなたはすっと染み込んでやさしく色を染めてゆくけれど、すでにあなたは極彩色で、何光年も先で眩しく消えてしまうから、わたしの空虚な透明に染まることはないの。永遠を願ってももう叶わないや、それはきっと、恋だったから。A innocence。あの日のハレーション、光だけを追いかけて、非写実的な愛のすべてを、きみに愛されたい。」(24/3/19、日記)





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