クルシミ

飲んだくれて働かない父が命を絶ったのは
不謹慎ではあるが
ド貧乏の我が家が立ち直るキッカケになった。

私が10歳。小学5年生になったばかりの時だ。

と言っても
3歳年上の姉と私、2人の子どもを養わなければならない母が
その後もとても苦労していたのは目の前で見ていたので

経済的な面と
時間も気持ちも余裕がないために
子ども(私)がやりたいと言ったことをすべて否定し
何かを褒めることもなく
いつも険しい顔をしていたのを

理解せざるを得ない、そんな少女期だった。

母親の顔色を常に伺い
いつも緊張していた。

少しでも羽目を外すことは許されなかった。
容赦なく頬を叩かれた。
髪を掴んで引きずられた。

怒られないように。
逆鱗に触れないように。
我慢して我慢して。

だから

最期の時に
本音をすべてぶつけてやればよかったと
今でも後悔する。

こんなに辛かったんだ、
こんなに悲しかったんだ、
こんなに悔しかったんだ。と。

でも私が言うより先に
泣いて謝られてしまって。

許されて
逝くことができたなら
多少は心も軽くなれたのだろう。

あれから何年も経った。
欲しいものは自分のチカラで手に入るようになれた。

それでも

自己肯定感は
これからもきっと上がることなどないだろうし
自信を持つことなど永遠に無い。


記憶を消したい。
心のシミが消えない。



ありがとうございます。