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第1話 時間との戦いの朝に、食パンの幸せを

ピピピピ…ピピピピ…ピピピピピピピピ

布団にくるまったまま、起きろ と言ってくるスマホに手を伸ばす。あぁ…もう朝か…。どうやら今は7:00のようだ。よし。あと5分だけ眠ろう。

そう思っていたはずだった。なのに、気がつけばスマホには 7:15 という数字が。やばい!!!
ベッドから飛び降りて、ドタバタと準備を始める。

「さと子、朝ごはんは食パンね〜」
おばあちゃんが話しかけてきた。
「時間ないから学校で食べる!」
まだ慌ただしく準備をする私をみて、おばあちゃんがアルミホイルで食パンを包んで渡してくれた。
「ありがとう!行ってきます!」
「行ってらっしゃい〜」

その声を聞きながら、私はドアを開ける。
いつもいつも早起きをしようとは思うのだけど、今日も起きて15分で出かけることになった。それでも、乗りたかった電車には乗ることができて、人がいっぱいの電車の中で、ガタゴトン。手にしているアルミホイルが目に入ったから、「おばあちゃん ありがとう。」と、小さく呟いた。

おばあちゃんとは、物心ついた時から今まで、ずっと2人で暮らしてきた。父と母は仕事で海外を飛び回っているらしく、会うのは年に数回である。

だからだろうか、私はかなりのおばあちゃんっ子だ。おばあちゃんの作るパンが大好きで、朝ごはんはおばあちゃんの手作りパンだし、おやつにも作ってくれたパンを食べる。

パンは最高だよ!美味しいだけじゃなく見た目も可愛いしね!あぁ、パンに埋もれたい……❤︎

なんてことを考えていたら、学校に着いていた。また、妄想しながら歩いてたのか…。席について、授業が始まるまでの5分間で食パンを食べる。

はぁ…。なんて美しいんだろう。
絶妙なクリーム色とブラウンに魅了されながら、一口。
その瞬間、ぶわっと優しい何かに包まれた。これは、上新粉の味だ。 何もつけていないのに、粉の味が引き立っていて、それだけで十分美味しい。こんなに美味しい食パンを作れるなんて、私のおばあちゃんは天才なんだな。
食パンをぺろっとたいらげ、私は幸せな気持ちに。

今日も1日頑張れそうだとノートを開く。

今日は、どんな日になるだろうか。



つづく

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パンをこよなく愛する高校2年生のさと子さん。パンを作るのが趣味なおばあちゃんと二人暮らし。それが、ある日、パン屋さんをやることに…?!気まぐれ更新中🍞

望月遥菜が書く初の小説です。

「さと子のパン屋さん」一覧はこちら

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