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サバイバーからの伝言

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虐待被害に合い、生き辛さを感じてもがき苦しむ人たちへ。 私があなた達に伝えたいことは、2つだけ。 『あなたは、悪くない』『生きて』
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#虐待

【大人が“きれいごと”を諦めたら終わりだ】

【大人が“きれいごと”を諦めたら終わりだ】

昨日、withnewsさんで全5話の連載コラム第1話が公開となりました。連載は毎日更新を予定しており、本日すでに第2話が公開となっております。

コラム冒頭に、以下のような前置きを書きました。

私は、世間一般でいわれるところの「虐待サバイバー」です。そのうえで、ここに綴る内容はすべて私個人の体験・主観であることを明記しておきます。汎用性のある情報ではなく、一個人の記録に過ぎません。ただ、その一例

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【“それくらいで”なんて、そんな言葉で他者の痛みを片づけていいわけがなかった】

【“それくらいで”なんて、そんな言葉で他者の痛みを片づけていいわけがなかった】

自分以外の人間の痛みに、ひどく鈍感だった。

誰かの痛みに躊躇いなく「No」を突きつける。過去、私はそういう人間だった。他者の悲鳴を耳にするたび、「これくらいで」と思っていた。10代の終わり頃、私は自分の痛みを武器に、無意識で人を殴っていた。



虐待サバイバーである私は、過酷な原体験ゆえに心身に数多くの支障を抱えている。主にメンタル面がうまくコントロールできず、時々欠ける記憶にも振り回され、

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【“いつか”じゃなくて“今”、助けてほしいんだよ】

【“いつか”じゃなくて“今”、助けてほしいんだよ】

頭のなかに溢れる思考を書いて表に出す。私にとってそれは一種の儀式であり、書くことによってバラバラだったそれらが整理されていく場合も往々にしてある。

疲れたときほど、苦しいときほど、私の両手は止まらない。時間を忘れて書き続け、ふと気づくと日を跨いでいる。そんな夜は特に珍しくもなく、あぁそろそろ寝ないとなぁ…とぼんやり思いながらも、最終ピリオドを打つまで私の手は止まらない。

Twitterの140

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【余力があるときだけでいい。どうか、一緒に考えてほしい】

【余力があるときだけでいい。どうか、一緒に考えてほしい】

波の音を聴きながら、ひたすらに沖の水平線を眺めていた。逆巻く感情の嵐が過ぎさるのをじっと待つには、それが一番いい。

昨年11月に精神科の医師から障害年金の申請を勧められた。必要な診断書類を各病院から掻き集め、ようやくそれらが揃ったのは先月の終わりだった。自身で書く申立書が最難関だった。何せ、20年ぶんの既往や生活状況を記さねばならない。しかも申請を通すために、辛かったこと、苦しかったことにフォー

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【書いて、生きる】

【書いて、生きる】

 一人きりで書いていた頃には悩まなかったことで、定期的に頭を抱えている。私は日頃、虐待抑止に繋がってほしいとの想いから、被虐待児であった原体験をnoteに綴っている。故に、どうしてもテーマが重い。過去の体験を書く際、その重さの割合にいつも頭を悩ませている。公開を前提とした文章を書く。それには他者からのあらゆる評価が飛んでくる現実を受けとめる覚悟が要る。

「他人の不幸話なんて聞きたくない」
「不幸

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【それでも私は、この文章をこのまま公開する】

【それでも私は、この文章をこのまま公開する】

 医師との間に信頼関係が築けていたとしても、病院に向かう足取りはいつだって重い。言葉にして話すことで、それが現実に起きたのだと再認識する過程は、とても苦しい。悪い夢であってくれたらよかったのに。そう思いながらも、これが紛れもない現実であると誰よりも知っていた。

「退院後の生活はどうでしたか?」
「何とかやっていました。ただ、酷く疲れていて。記憶が混乱しています。自分以外の誰かが生活している場面を

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「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「そのことがずっと不安で、怖かったんですよね?」

返事をしようと思ったのに、うまく声が出なかった。そのぶん、何度も何度も頷いた。
マスクのなかに流れ込む滴を止めることができなかった。そんな私に、白衣を着たその人はそっとティッシュを差し出しながら、私が一番聞きたかった言葉をくれた。

「大丈夫ですよ。だってあなたは、こんなにもお子さんを大切に想われているじゃないですか」



お日様がぎらぎらと

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もう誰にも、こんな思いはしてほしくない。

もう誰にも、こんな思いはしてほしくない。

梅雨が明けた途端、一気に猛暑が襲ってきた。熱中症警戒アラートが鳴るなか、それでも何かとやらねばならないことは尽きなくて、一日中家の中で過ごすわけにもいかない。外に出た途端に熱気が喉を塞ぐ。むせ返るような暑さが、じりじりと内臓を焦がす。

子どもたちのことだけで充電がゼロになる日々が続いている。予備のバッテリーが搭載されていないこの身体は、燃料が切れた途端に上手く動かなくなる。

時間軸が大幅にずれ

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“生かすため”の議論を。

“生かすため”の議論を。

一人暮らしをしながら介護の仕事をしていたとき、無資格で中卒だった私の手取りは、10万円前後だった。そこからアパート代、光熱費、携帯代、保険代、駐車場代含む車の維持費を支払って手元に残った額が、私の食費だった。

擦り切れた下着を履き続け、靴下の穴は小学生の時から使い続けている裁縫セットで縫った。同年代の友人たちが大学へ通い、バイト代で海外旅行の計画を立てている。羨ましいを通り越し、もはや別次元の世

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公平である、ということ。

公平である、ということ。

こちらの記事には虐待、犯罪などのセンシティブな内容が含まれております。読み進めるかどうかのご判断は、各自でお願い致します。

何かしらの犯罪が起きたとき、いつの世も人々は思い思いに声を上げる。その声は、立ち位置によって違う。両極にある考えの人もいれば、似ているけれどすべて同じとは言えない人まで、その様相は様々だ。

プロフィールにもある通り、私は虐待サバイバーだ。傷付けられる側の生活を、長年強いら

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書き続ける私を、好きでいたい。

書き続ける私を、好きでいたい。

本日の記事内には”虐待”に関する記述があります。生々しい表現は避けてありますが、読まれるかどうかのご判断は各自でお願いいたします。

自分という人間が嫌いだった。過去も現在も含めて、自分の存在を肯定することができなかった。

私は、両親から虐待を受けて育った。母も父も、それなりに重い暴力と暴言を私に与えた。父親に至っては、性的虐待も加えてきた。それによる痛みと憎しみは、私という人間の深部をことごと

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棘の森と手を繋ぐ

棘の森と手を繋ぐ

心は、柔い。
どんなに鉄壁の防御で守っていても、その深層部にあるのは驚くほど繊細で柔らかで、不確かなものだ。普段なら有効に活用されるはずの防御壁も、何かしらの要因が重なると案外呆気なくひび割れたり崩れたりする。それはときに悲しみであったり、怒りであったり、憎しみであったり、はたまた愛情であったりする。

防御壁が崩れているときに、さらなる追い打ちをかけるかのように新たに誰かの悪意ある言葉や何の気な

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文章は、人を刺すためにあるんじゃない。

文章は、人を刺すためにあるんじゃない。

近頃、Twitterのタイムラインに少し疲れてしまっている。誤解のないようにはじめに言っておきたいのだけど、私をフォローしてくれている方も、フォローさせて頂いている方も、とても優しい方が多い。まれに出会い目的や攻撃性の高い投稿、ⅮⅯをしてくる人もいるけど、それは本当に”まれ”だ。そしてそういう人を私はすぐにブロックするので、その人たちの投稿そのものがタイムラインに流れてくることはない。よって、フォ

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血は水よりも濃いだなんて、今だけはそんなこと聞きたくもない

血は水よりも濃いだなんて、今だけはそんなこと聞きたくもない

母が家に来ている。もうすぐ4日目。

詳しい理由は今は話せない。ただ、ひたすらに毎日何かを削り取られていく。それは私のなかで削られたくないものなのに、否応なしにがしがしと削られていく。

私はもう幼い子どもじゃない。言い返すこともできるし、言うことを聞く必要もない。そして実際にそうしている。言われても共感できないものにはNOを伝える。私はそうは思わない、とはっきり伝える。そして、母に従わずに真逆の

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