岸田政権のバラマキ体質

1. バラマキ競争の総選挙で良いのか?:与野党こぞってバラマキ競争

ー総選挙はバラマキ競争一色
・岸田自民党:非正規社員や学生に経済的支援、地域・業種を指定しない給付
 公明党:0~18歳に一律10万円給付。マイナカード登録者に数万円のポイント。
・立憲民主党:時限的に消費税率5%。年収1000万円ていどまで所得税免除
 共産党:消費税率を5%に。減収した人向けに基本10万円給付。
・国民民主党:時限的な消費減税。一律10万円の給付、低所得者には10万円上乗せ。
・日本維新の会:消費税は3年間ゼロ。
・矢野財務省次官の警鐘:矢野康治氏の『文藝春秋』寄稿。財政債務累積なのに、バラマキ競争で良いのか?の趣旨。

ーバラマキ競争の起爆剤は岸田氏の分配論
・岸田氏、総裁選から分配重視論。成長と分配のバランスが大切。分配あってこそ次の成長あり
・新自由主義批判:規制緩和で競争促進→経済成長達成。1980sのサッチャー、レーガンなど 
 これまでの新自由主義の経済政策は、競争促進の結果、格差拡大を生んだ。
 岸田氏はアベノミクスも新自由主義の系譜とみなす。
・新資本主義の提唱:成長と分配のバランス。分配重視で格差縮小めざす。分配は次の成長の糧

・野党は飛びつき:
  総選挙の争点さがしていた野党は、岸田氏の分配重視論に飛びついた。
  格差縮小=底辺引き上げ=分配重視こそ野党の主張⇒総選挙の争点でなく合唱へ
・分配合唱とバラマキ競争の総選挙。経済運営の基本:財源論、成長論、財政規律論など聞こえず。

ー分配強調の着想は?
・新自由主義:規制改革、競争強化が格差を生んだ?岸田氏のその着想はどこから?
・アメリカの格差:
  DXの進展で格差拡大:DXで世界が見える。低賃金国でつくり、高賃金の米国に売る。
  トランプの悪乗り:中国と日本が雇用を奪った?
  CVの生んだ深刻な格差:黒人、少数派など弱者、貧困層が被害。巨大格差。
  トランプの米国分断:トランプ支持層をも給付でつなぎとめ。分断米国の政治力学
  アメリカ救済計画:21.3. 1.9兆ドル(200兆円)CV
  雇用計画はインフラ、家族計画は人材養成
・英国のEU離脱の背後にも格差問題:単一市場、シェンゲン協定、外国人労働者による雇用被害
・中国の急発展の背後にITと不動産格差:大都市急発展と農村の構造的遅れ。不動産投資による巨大格差(都市部内でも、例、恒大G経営危機)、習近平政権の難問

ー日本に分配強調の根拠はあるか?
・日本の格差は少ない、米、英、中国のような問題はない。
・CV被害者には補償。持続化給付金、協力金。小規模店舗は利益増。
・CV抑制策で経済被害。成長低下。財政赤字累積。規制緩和→活動自由化→経済回復↑
・停滞経済活性化=成長戦略こそ→雇用創出→格差縮小への道

2. バラマキ競争の総選挙で良いのか?:バラマキの危険な帰結:

ーバラマキ財政の危険な帰結
・日本の累積債務比率:GDPの240%を超える。敗戦後をはるかに上回る。
・日銀支える国債価値:借金返済困難な国債価格↓、日銀買支えの官製相場。低金利。投資欠如
・財政破綻の危険:15年後には総累積財政債務>国民総準貯蓄。国債新規発行困難。外国依存
 国債価格↓、高金利、予算編成、企業の資金調達困難。
 為替レート↓、災害、政変、戦争などトリガーで財政破綻、経済破綻のリスク・国債価格低落による国力の低下:破綻回避しても国債価値↓生活水準、国力低下

ーアベノミクスの検証
・3本の矢の評価:
 1. 金融緩和で株価上昇:一部に資産効果、経済成長につながらず。8年間で成長率1%強。超金融緩和でベースマネー500兆円以上。GDP100%超。正常化に何年?出口なし。
 2. 積極財政で財政債務膨張:毎年大型予算、補正予算。8年間で財政債務400兆円↑
 3. 成長戦略:10種類ほど。企業統治改革ROE↑、1億総活躍、労働参加↑、
    働き方改革、農業改革など成果なし。

・アベノミクスは長期低落の平成の失敗を回復できず。

ー平成の失敗の原因は?
・生産性の低迷:生産性の持続的低落、40年前は生産性優位、製造業主体の経済構造
サービス化の進展で生産性低下、ホワイトカラー、イノベーションと効率性、DXの遅れ。

ープラザ合意とバブル崩壊の後遺症
 ・日本産業競争力つぶし、円高誘導、日米半導体協定(非市場的強制)、日本株式会社攻撃
 ・国家経済戦略の喪失:国家主導で経済・産業発展戦略への批判、自己否定、戦略喪失
 ・企業の自信喪失と超守旧主義:バランスシート不況で萎縮した日本企業、超守旧、非挑戦
 ・キャッチアップ国家と教育の終焉:キャッチアップ時代:集団的平均値引き上げ教育が効果
最前線に立った1980s以降は、創造的革新的能力を養う教育が必要。旧型教育で劣後

3. バラマキ競争の総選挙で良いのか?:岸田政権の歴史的使命

ー日本の課題
・日本の課題は分配より成長、成長より経済構造立て直し、アベノミクスの未完の課題
・平成=失敗の30年:1980s半ば、日本産業世界を席巻:自動車、半導体、金融、今見る影なし
・日本の復活には何が必要か:日本の資源(人材、技術、文化)を生かした経済戦略  
・岸田政権の歴史的使命は何か:日本経済を復活させることが第一義。

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島田晴雄が世界情勢を語る「しまはる塾」でお伝えしている様々な事象を、さらに詳しくペーパーで解説します。次から次へと”玉手箱”を開いて参りま…

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