岸田政権の発足と評価

1. 岸田政権発足1:党役員と内閣組成

ー岸田内閣発足
・10.4. 岸田文雄氏は、衆参両院の使命を受け、第100代首相に就任。同夜組閣、岸田内閣が発足。
・10.4.記者会見のポイント:
 -CV対策法整備と危機管理司令塔機能強化:
 -成長の果実が分配される経済ー「新しい資本主義実現会議」で展望構想
 -経済安全保障:戦略技術や物資を確保、技術流出を防止

ー勢い:総選挙日程1週間前倒し
・「衆院選は31日投開票に。新政権の熱があるうちに選挙を」4日午前公明党山口代表に電話。
・衆院選日程はこれまで「10.26公示、11.7.投開票」と想定。岸田氏はこれに不安。
・盛り上がりは月内。人出増加で感染再増加の可能性も。感染が低いうちに選挙決行を。9.3.夜、木原誠二(官房副長官)嶋田隆(元経産次官)と相談。31日投開票を、9.4.内閣発足当日に発表。19日公示なら4日発表ギリギリ。
・31日投開票:30~31イタリアG20は無理だが、バイデン氏との面会時間限定ならオンライン
・慎重居士岸田としては思い切った凄み!安倍氏「強い指導権発揮だが、吉と凶は?運は自分で」

ー組閣の岸田色
・党役員:麻生太郎81党副総裁、甘利明72幹事長、福田達夫54総務会長、高市早苗60政調会長
・初入閣13人、人事に甘利氏の影響強く、安倍氏不快感も「人事は一人でやるべし」と言いながら、岸田氏が甘利氏らに相談したのが不快?子供じみた嫉妬?
・若手(当選3回)3人組:小林鷹之(経済安全保障相)、牧島かれん(デジタル担当相)、堀内詔子(ワクチン相)
・重要閣僚、派閥重視:松野博一(官房長官、細田)、鈴木俊一(財務相、麻生)、茂木敏充(外相、竹下)、荻生田光一(経産相、細田)
・河野太郎、小泉純一郎、石破茂外し。貴重な人材を用いないのは残念。
 石破氏の河野支持は旧体制転換?岸田氏は3Aが支えたとしても登用の知恵はなかったか?
 3Aの支えは岸田政権誕生に貢献したが、それと岸田政治の本質は別と思う。

ー官邸主導を軌道修正
・安倍・菅内閣時代、官邸主導強まり、党側は追認のみ。岸田政権では党と政府の密な連携めざす。その要は甘利幹事長。甘利人脈が閣内要所に。
・安倍・菅時代の杉田和博官房副長官、和泉洋人首相補佐官退任。筆頭首相秘書官は嶋田隆氏。

2. 岸田内閣発足2:政策課題と方針

ー新しい資本主義
・「日本型資本主義」を掲げ、新自由主義からの転換めざす。所得再分配政策を強化。
・ 中間層の所得を底上げする「令和版所得倍増」をめざす。
・有識者による「新しい資本主義実現会議」設置。山際大志郎経済財政再成相担当。
  テーマ:科学技術、デジタル、地方政策、社会保障、税制、雇用、中小企業対策など。  

ー成長と分配の好循環
・”1億円の壁”、金融所得課税は一律20%。所得に占める金融所得が多い富裕層ほど実効税率低くなる傾向。ただ、富裕層課税高めると投資意欲冷やす批判も。安倍・菅は富裕層課税引き上げに慎重だった。
・首相:分配戦略として、1. 勤労者や下請け企業に成長の果実が分配されるような環境整備。2.中間層の拡大、少子化政策、3.医師、看護師、介護士、保育士らの給与に関わる公的な価格の抜本的見直し、4.科学技術や重要インフラ整備などの財政単年度主義の弊害是正、提起。

ー数十兆規模の経済対策
・当面の景気刺激策として数十兆円規模の経済対策の編成を指示。内容はまだ不明。
・鈴木俊一財務・金融相、10.5.会見。裏付けとなる補正予算案は各省と調整。「量ありき」の予算編成に慎重。金融所得課税の見直しは、高額所得者軽負担論と投資抑制論の両論承知。与党の税制改正議論を注視する。

ーコロナ対策
・CV対策担当閣僚は初入閣組3人。安倍・菅内閣ですら厚労省を管理できずに後手の批判。未経験者組で対応できるか不安も。厚生労働相は後藤茂之、医療や公衆衛生全般担当、経済財政再生相(緊急事態関連法を所管)は山際大志郎、ワクチン担当は河野氏に替えて堀内詔子(衆院3回)3回目の接種など担当。

・首相は「対応策の全体像を早急に国民に示すよう指示した」というが大丈夫か?「何がボトルネックか検証。人流抑制、病床確保の法整備、司令塔機能など抜本強化」強調。厚労省は旧来の法制・しくみとの整合性理由に抜本改革に慎重。安倍・菅も試みた官邸主導めざす。首相秘書官も厚労省は排除。感染対応準備には時間かかる。衆院選中も予算は法改正進める必要。・首相は、省庁横断で強い司令塔機能を発揮する「健康危機管理庁」設置を提唱。だが、実際に推進するには膨大な法改正必要。当面は、連携の強化と円滑化で乗り切るか。

Ⅲ. 岸田政権発足3:政策と評価

ーエネルギー戦略と原発
・脱炭素に向けて原子力発電を積極的に活用方針。再生可能エネルギー推進派の河野太郎氏、小泉進次郎氏を外し、再生エネと既存原発のバランスで排出減らす路線。
・経産相荻生田氏は原発推進派安倍氏の側近。環境相山口壮一氏は再エネと原発バランス派。
・原発建て替えが課題。甘利氏は原発建て替え議連の顧問。政調会長高市早苗氏は原発推進派。

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島田晴雄が世界情勢を語る「しまはる塾」でお伝えしている様々な事象を、さらに詳しくペーパーで解説します。次から次へと”玉手箱”を開いて参りま…

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