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あゝ、荒野

京阪洛楽で強制的に京橋まで連れてかれてるので、往復とんぼ返りの暇に任せて少し前の読書(と映画)に触れておく

寺山修司の唯一の長編小説「あゝ、荒野」

普通、小説を映画化すると「こんなに濃い内容を一体どうやって2時間くらいに詰め込むのよ?!」という疑問を持つものだが、これは逆だ

映画が前後編合わせて5時間近くあるので、後から小説を読んだというのもあり、小説半分強読み進めた辺りで「紙面半分強をまだ性的不能の社長の話に費やしてるのに一体ぜんたい新宿新次とバリカンの話をどうやってあと半分弱で納めるのよ?!」という妙な心配で読んでるほうがじわじわ焦りを感じてくるのである

寺山修司がジャズ的・即興的に書き綴った小説らしいが、新宿新次とバリカンの決闘もちゃんと最後は納まって、ひどく暴力的でひどく孤独な魂の悲しさを興奮とともにひしひしと感じた

ボクシングにそんなに興味はないが、あしたのジョーを読み進めている時にも同じように感じた暴力と生の交歓

てか!あしたのジョーの主題歌は寺山修司作詞じゃねぇかよぉ

片目のコーチが少年院から出てきた不良をドヤ街でボクサーに仕立てるなんて、、、まんまあしたのジョーやないか
またまた読みたくなってきた…

この小説は昭和の新宿を舞台としているのですが、今では完全にアウトの差別的用語が満載

そして詩人寺山修司らしく、当世のあらゆる詩、短歌などが引用され時代の雰囲気をうまく描き出している
娼館のばあさんが口ずさむ詩がえらく高尚だったり、ルンペンが哲学に傾倒してたり
そういう時代があったとすればなんと味わい深い時代なのだろう

映画の舞台は2021年の近未来の新宿(公開は2017)

小説と映画では時代がかけ離れているにもかかわらず、新宿という街のせいなのか、そこで繰り広げられる雑多で猥雑なストーリーに全く違和感がない

映画はバリカン役のヤン・イクチュンがめちゃくちゃいい役者!もちろん菅田将暉はさすがだった
しかも菅田将暉は劇中ほとんど裸体でやってやってやりまくるのでなんとも眼福笑

新次「そろそろちゃんとしようと思ってよぉ」
女「何をよ?」
新次「………愛とか。」

ラブストーリーとしても結構好きだ

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