見出し画像

代打出場(hotシュシュ成増大会)

hotシュシュ成増大会~夏色~の会場へ。
観客数は少なかったけれど、最も面白い大会だった。

謎の選手『X』が、メインイベントでジェーク・ブラドックの相方として登場する。プロレスファンは『X』という言葉にめっぽう弱い。「思いがけない大物が登場するのでは」「海外の選手だろうか」未知との遭遇を描いて心が揺らめく。『年齢、身長体重、国籍、性別問わずオールジェンダー、スポーツ経験不問』を唄うhotシュシュ。どんな選手が現れるのか想像もつかない。

また、今回はバナナ頭の芭奈子さんのデビュー戦が組まれていた。デビュー戦は会場の緊張感、温かさが通常の試合とは変わってくる。とても楽しみだ。

『X』&デビュー戦で期待が高まる中、残念ながら桐生健豊さんの欠場が発表された。代わりにLilyさんという新人が緊急デビューすることに。まったく情報がない選手。何者だろう。思いがけずデビュー戦が2つに。

さらにさらに、大会開始の挨拶で急遽ゆづきさんの欠場が発表された。いきなりもう一人選手が出られれなくなる事態。千春代表とスーパーバイザーが前に出て頭をさげる。お詫びに重ねて、千春代表が毅然と声を上げた。

「代打に『X』が出場します!」

え、ということは、つまり ―
Xが2人、デビュー戦が2人!健豊さんもゆづきさんも見たかったけれども、むしろ興奮。こんなに玉手箱が何個も詰まっていることある?

第1試合から衝撃的だった。佐藤洋平さんが開始3分でギブアップ。あまりに短い結末に静まる会場。怒った田村様がセコンドのchou・chouをリングに上げて再戦を行う。思いがけず彼女の試合を見ることができた。躍動する姿が嬉しい。

第2試合、デビュー戦の芭奈子さん。会場丸ごと芭奈子ワールドにご招待。パステルカラーの空間に取り込まれて、観客も相手選手も幸せな気持ちに染まっていた。楽しい。

第3試合、デビュー2戦目の皇耀さんが気持ちを見せた。今成さんのマイクに会場が沸く。皇耀さん、男子部のエースになれる資質ある。

第4試合、謎のLilyさんがベールを脱いだ。稀有な動きで相手を翻弄。一歩も引かない攻防に高まりっぱなしのボルテージ。なんというデビュー戦。

そして懸案の第5試合、緊急出場することになった『X』は、まさかのスーパーバイザー、タニ―マウスさんだった。このときの会場の爆上がり感といったら。自分も半口。

そしてもう一人の『X』はミス・モンゴル。誰?と思ってしまったけれど知らない選手と巡り合うのも『X』の面白いところ。

タニ―さんの情動あふれるファイトに拍手が連なる。試合には敗れたものの、お客さんを喜ばせるための「一時復帰」という行動に胸を打たれた。何があっても盛り上げる。そんな団体の覚悟と自信のあらわれ。

この「ヤケクソのエネルギー」こそ、今大会を象徴する言葉だろう。既定路線ではありえない、人と人の信頼関係と、勢い、団体の理念があってこそ生まれた魂の行動力。

今成さんの5月の代打出場を、わしは現地ガンプロの会場で目撃していた。本来YuuRiさん(現アイスリボン王者)が競泳水着姿で春日さんと試合をする予定だったのだけど、当日に体調不良で参戦不可に。代わりに誰が水着を?固唾を飲んで登場を見守る中、水着姿で現れたのが今成さんだった。

(着られるんだ)という驚きと(YuuRiさん見たかった)という残念な思いが拭えない。しかし何の照れもなくarena水着を着こなして、真剣にプロレスをしている姿に、いつしか惹き込まれて見入っていた。自らケツを拭くヤケクソエネルギーの凄みよ。

いい大会だった。アイスリボンの選手や、みなみ飛香さん、ひなたさんも会場で楽しんでいた。ピンチを超えて、選手の層を増したhotシュシュ。楽しみが続く。また行こう。