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色気のある靴が好きだ。

全身で女を感じるような靴が好きだ。
女らしいという用語が禁句だと言われても、私は靴底が赤いルブタンのハイヒールを履いてコツコツ歩いている姿が大好きだ。そんな女が語るヒール靴。

ハイブランドのパンプス

高級な靴には、独特な色気がある。ピンヒールのシルエット、革の艶、なにより自分が良い靴を履いているという自信。嫌味な女だろうか。「こんな靴を履いているのよ、ふふん」という気分ではない。どこに行っても卑屈な気分にならない靴だからこそ、最強のアイテムだと感じるのだ。

靴で卑屈になるなんて、という気持ちもある一方で、人は結構靴を見ている。私はよく人の靴をみてしまう。アメリカVOGUEの鬼編集長のアナ・ウィンターは、靴から見る。

スタッフはアナの前に立つと、「あの目線」を受けるーー素早く、しかしあからさまに(しかも毎日)他人の服装を評価する目だ。「アナは自動的にそうする。誰かがオフィスに入ってくると、まず靴を見て、それから視線をだんだん上げていく」と語るのはマギー・バックリーで、それを知っているがゆえに、アナのお気に入りの<マノロ・ブラニク>のハイヒールを履いて過ごすようになった。

エイミー・オデル 佐藤絵里(訳)『ANNA アナ・ウィンター評伝』河出書房、206頁
愛用しているJIMMY CHOOとGUCCI

普通のOLが10万円以上の靴を履くなんて、どうかしている。と思っていた。今も思っている。色気に負けた。もうそれ以外に表現しようがない。

私だって、躊躇する気持ちはあった。SNSやブログで「普通のOLがハイブランドの靴を購入した」記事を探した。後悔する? お手入れは? 履き心地は? もうさ「気持ちがアガりましたー!」とか、そんなテンションはどうでもいいから靴そのものを知りたいと探したものだった(と思っていたのに、テンションがブチ上げ★と書いている自分がいる。こわい)。

迷うのだったら買った方がいい。
自信をつけるハイブランドの靴は、新たな世界に連れていってくれる。ブランドで自信をつけたっていいじゃない。ゲームだって装備するじゃない。格好良い靴で、ドキドキする新たなフィールドを歩くのよ。

ただし、ハイブランドだからといって履き心地はよくない。私はよくなかった。意外と普通だな、と思った。購入したら、もう「長く履くぞ!」の決意のままに即座にソールを替えて小まめにメンテに出している。金もかかる。が、後悔はしていない。新しい感覚に出会えた。

TOD'Sの無骨なパンプス。JIMMY CHOOのキュッと引き締まったハイヒール。Christian Louboutinの色気あふれる真っ赤なソール。MANOLO BLAHNIKのきらめき。その靴にしかない顔がある。

普段おすすめのパンプス

ここまで書いたが、そんなハイブランドの美しい靴を毎日履く余裕はない。
私は普通のOLだ。書いていて悲しい。出来れば私だって、職場にルブタンのハイヒールを履いて、映画『プラダを着た悪魔』の主人公アン・ハサウェイのように颯爽と歩いたり、走ったりしたい!!! いや、いつか実現するのだ!!

OLは、そう夢を見ながら妥協する。職場でハイヒールはすぐに傷だらけになる。「どこで、そんなに削られてしまったん?」と聞きたくなるほどに、あっという間に靴はボロボロになる。不憫。もう靴が不憫。

OLの味方、それはダイアナ、プールサイド、銀座かねまつ、卑弥呼。
パンプスが2万円前後。十分綺麗。アウトレットモールもあったりして、OLの強い味方。「なんだ、DIANAね」と思わないでほしい。もっと冒険しよう、一緒に。だって、2万円の靴は高くない? 高いよ! ヒールのゴムをメンテは3ヶ月に1回2千円。ちゃんとラバーも替えたりしている。なのに半年で結構「私、疲れちゃったわ」感を出してくるのよ。靴が。やるせないよ、私が。

皆さんも見た覚えがあると思う。ときどき居酒屋の座敷で見かける「ちょっと疲れちゃったわヒール靴」。悔しい、ちゃんと出資して、メンテナンスもしているのに、悔しい。もちろんローテーションで使っているから、仕事靴が最低3足。6万円が半年で「疲れちゃったわ」感が出るのは解せない、いや許せない。

そこで【GUのマシュマロパンプス 2,990円】。
血迷ったか。2,990円の靴は見た瞬間に安っぽさが見えるぞ。そう思っていた。そりゃ少し安っぽさは出る。よく見て1万円、いや7千円程度の靴だと思う。でもでも3千円の靴ぞ? 普段のゴムの張り替え2千円ぞ? もう3ヶ月に1回買い換えれば良いじゃないか。

分かっている、地球には優しくないのは分かっている。でも3千円のパンプスだと、いつも綺麗で、疲れちゃったわ感を一切出さずに一生清潔な女でいられるのよ。もうそれでよくないか。

大好きな靴ブログのコマツさんも、GUマシュマロパンプスを勧めている。
ハイブランドの靴か、それ以外か。なら、それ以外はGUの新品を履くのだ。そう決意してから2年。結構快適に生きてます。おすすめ

でも、いい靴を履きたい

なんだかGUの押し売りみたいになってしまったけど、
私の夢は「ルブタンのハイヒールをコツコツ鳴らしながら仕事をする女」だ。しかも日常で。諦めてない。

いい靴って、いいのよ。身も蓋もないけれど

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