コント

M-1グランプリ決勝に進出した友人から学んだ3つのこと

友人が2019年のM-1グランプリの決勝に出た。
オズワルドの畠中悠だ。

芸人の友人は芸人、または芸能関係である場合が多いが、私は都内で働く普通の会社員だ。ただ友人と言っても、仲が良かったのは7年以上前の話になる。わたしは彼に出会い、自分がいかに普通な人間であるかを知り、会社員になったのだ。

一般人からすれば、芸人と言えば「さぞ面白い人なんだろう」とか「さぞ変わった人なんだろう」と思うが、確かに悠くんはめちゃくちゃ変わった人だった。面白かったかは正直覚えていない。

ただその奇人っぷりが、M-1グランプリ決勝に進出できた才能の片鱗だったのかなと、7年たった今は思う。
「普通」の私から見た彼のすごさを紹介したいと思う。

オズワルドは、M-1グランプリ決勝で6位という成績に終わったものの、松本人志から「これからもっと出ると思う、だから今年はこの点数にした」と90点をもらい、新・東京漫才というジャンルを確立した若手コンビだ。
細稲垣選手のギャグを記憶している人は多いだろう。
3月30日(月)にはルミネ単独ライブの開催を予定しており、今や飛ぶ鳥落とす勢いの人気若手芸人である。

悠くんとの出会いは8年前に遡る。悠くんとは、当時働いていたアルバイト先の居酒屋で出会った。時給が高く割のいい職場であったため、そこには、夜に手っ取り早く稼ぎたい舞台俳優やバンドマン、吉本芸人等、いわゆる夢追い人が多くいた。

その中で異彩を放っていたのが、今やパラデル漫画家として活躍中の本多修と、オズワルトの畠中悠だ。

当時、わたしは22歳のフリーターだった。
夢追い人ばかりの東京で、何者でもない私には、東京がとても辛かったのを覚えている。真っ当な人生を送っている友人たちが大学を卒業し、院に進学したり、大手企業に就職したり着々と人生の駒を進めている中、なんの肩書きもないわたしには、肩身の狭い生活だった。そんな時に出会ったのが、NSCに入学したばかりの悠くんだった。

第一印象は田舎の人。それ以上もそれ以下もなかった。ただ、就職し6年勤めた会社を辞め、貯金0円で東京に出てきたという「変な人」だった。そして芸人として大成するというとても大きな夢を持ち、それを堂々と口にできる、目的意識の強いかっこいい人だった。
何者にもなれないわたしにとって、まるで異次元の人間だった。
わたしは彼の実直さにとても救われた。

彼から学んだことはたくさんあるが、特に印象的だったのは以下の3つだ。

①目先のことを悲観しない

巣鴨のボロアパートで当時の相方とルームシェアしていた悠くん。
借金100万、もちろん貯金も0。何より安定がほしかった私には、信じられないくらい過酷な状況だった。
でも毎日めちゃくちゃ楽しそうにしていた。
貧乏に慣れているのかと思ったが、実家は昆布漁で儲かっているらしくそういうわけでもない。どれだけやばいか現状がわからない、ただのバカだと思っていた。実際バカだったのかもしれないが、絶対に悲観しない底抜けのポジティブさがあった。
お金がない、肩書もない、そんな現状は彼にとって悩みでもなんでもなかった。
悲観しないことの最大のメリットは、現状を打破する力を持てることだ。
その7年後、彼はMから飛び出して、無名芸人の枠を打破したのだ。

②生きてるだけで自分を褒めてあげる

彼は自己肯定感がとても強かった。
芸人としての仕事もなく、ただのバイトしかしてない1日でも「今日もよく頑張ったな」と言いながら一日を終える。私から見たら大して頑張ってはいなかった。どこからその言葉が出てくるんだろうと思っていた。
ただ、自分で自分を褒めることができる人がどれほどいるだろうか。それだけはすごい。
自己肯定感が強い人は、最後まで自分を信じ、継続することができるのだ。
結果、彼はM-1決勝進出という1つの大舞台を掴み取った。

③目標を持つ

彼は「芸人として大成するまで実家には帰らない」と言う目標を持っていた。いや、親も高齢なんだしたまには帰れよと思っていたが、実際に帰省しているのは見たことがなかった。ただ実家がある北海道まで帰省するお金がなかっただけの可能性もあるが、目標を持ち、自分にペナルティを課す。地味だけど追い込んでいた。そして帰省する暇もないくらい、クリスマスもお正月も、ネタ合わせや主にアルバイトに明け暮れていた。
目標を持てば、逆算して今やるべきことが見える。やるべきことに優先度をつけることができる。
目標に向けた最短距離を進むことができるのだ。
芸歴の浅い彼らがコンビ結成5年というキャリアでM-1決勝の舞台を掴み取れたのは、迷うことなく最短距離を突き進んできたからだろう。

そりゃ目標を持って前向きに継続できれば誰でも最強だよ!と思う人もいるかもしれない。
でも、各々の項目はすべて「誰でもできる」ことである。

まず、悲観せずに1日を楽しんでみよう。

1日前向きに過ごせたら、声に出して「今日もよく頑張ったな」と、自分で自分を褒めてあげよう。

どんな些細なものでもいいから、自分のなりたい姿を想像して声にだしてみよう。あわよくばそれを「目標」と呼び、できることから一歩踏み出してみよう。

これができれば、確実に人生は好転する。

今日できれば毎日繰り返せばいい。
失敗したらまた明日頑張ればいい。
どうせするなら楽しんだほうがいい。

そう思わせる強さと優しさが彼にはあった。

どんな些細だと思われることでも、積み重ねることができれば、誰かを笑わせたり、感動させたり、こうやってブログを書く原動力を与えたりできる何者かになれるのかもしれない。

1ファンとして、彼らの活躍を心から応援している。


尚、本文は本人の許可をもらって掲載しています

一生忘れません。