見出し画像

pha(ファ)さんの「夜のこと」を読み終わりました

こんばんは。最近、また心身の調子が悪いので、できるだけ人の少ない場所や音の聞こえない場所で勉強をしています。早く日照時間が長くなるといいですね。

今週は勉強の合間の休憩時間に読書をしていました。

先月、作家さんが集まって結成したバンド「エリーツ」さんのファーストライブの撮影をさせていただいたとき、物販にて、メンバーのphaさんから著書を購入いたしました。「夜のこと」ですね。

※エリーツさんのファーストライブの撮影に伺ったときの話はここに書いていました。

今週は、勉強の休憩時間に、ひたすら「夜のこと」を読みふけっていました。実話をもとにしたphaさんの恋愛短編集(私小説)です。

こういう、エッセイ調の作品が私は大好きです。Twitterがまだなかったころのインターネットでは、エッセイ調の文章書いている人たくさんいらっしゃったのですが、今はあまり見なくなってしまいましたね。即買いでした。

この本、印刷のインクが特徴的なんですよね。なんといえばいいのか。インクたっぷり使っている感じがします。ページも色のついた青いページばかり(青地に、白い文字)。とても綺麗で、とても美しい本です。

全体に漂う、けだるい感じが、とても心地よかったです。作品内に頻繁に、性行為の話が出てくるのですが、性行為の話を除けば、私の日常とあまり変わらないような雰囲気で、ほっとする感じがしました。

あ、でもこの作品は、どのエピソードも、性行為がとても大事な要素になっている感じがしたので、それを除けば~、という前提をおいてしまったら、全く別の作品になってしまいますね。素敵なエピソードの数々、あっという間に読み終わってしまいました。

そういえば、昔、「人のセックスを笑うな」っていうタイトルの映画があった気がするけれども(映画自体を見たことはないのですが)、この本を読み終わったときに、ふと、このタイトルが頭に浮かんだんですよね。それだけ、丁寧に、かつ、重くならないように描かれていた、数々の性行為のエピソードが、なんだか、おもしろかったし、とてもかわいくて、興味深かったです。

私は、猫をかぶっているとか、そういうことではなくて、本当に、性行為のない日常をずっと送っているので(まず、心身の病気があるからっていうのがありますね。病気になる前は、極端に性嫌悪があったのが原因だと思います、なにか性的に嫌なことをされたことがあるわけではないのですが)、こういう「作品」を読むのは、素直に、とても興味深くて、ワクワクして、楽しいです。対人だと性嫌悪が出るのですが、こういう、本とか、作品を見る分には全く問題はなく、むしろ、興味深く、積極的に読んでいます。おもしろいです。

それ以外で印象に残ったことは、著者の、価値観とか、考え方、人生観を、あちこちで感じる描写がたくさんあったことです。作品を通じて漂っている、厭世的な雰囲気や、けだるい雰囲気の中に、確かな足取りと筆致で、まっすぐ一本の線(著者の価値観)が、力強く書かれているような、そんな印象を受けました。

私は、人様の、そういう、思考とか、考え方とか、性格みたいなものを知ることができる文章や話やエピソードがとても好きです。たとえ、それが、自分の価値観とは全く違うものや、反対の立場のものであっても、です。

誰であっても、その人自身の考え方を知ることができることが、うれしいし、興味深いです。あまりそういうところまで知る機会って、普段ないですからね。そこまでゆっくり人と話す時間もなくなってしまいましたし、そこまで仲良くなる人も少なくなってしまいましたし、今の時代は丁寧にブログを書いている人も少なくなってしまいました。

著者の、固定される人間関係(家族とか、恋人とか、会社とか)にしばられたくない、という価値観とか、性に奔放(っていったら語弊があるか、、、)な、なんと言ったらいいんだろう、村上春樹の小説の主人公とまではいかないけれど(あれは本当に病的に性依存症というか、遊びすぎだよなあ)も、それだけ日常生活で、女の子に困っていない男の人の生き方というか、、、そういう感じは、自分の価値観や生き方とは全く逆の、正反対のものでした(衝撃でした、でも、なぜか、素敵だった)。

一方で、共感するところもいろいろありました(自由に生きていたいなあと思う思考とか、四十歳近くなるのに自分はふらふらしてなにやってるんだろうな、と思ってしまうところとか、全く自分と同じで、あるあるだな、と思いました)。世界が布団をずっとかぶっている夜の世界だったら(もしそうだったら、自分もまともに生きていけるのに、みたいな話)も、普段よく自分が脳内で妄想するかのように考えていたことで、「ああ!!」って声出しそうになりました笑。

そういう、自分と違うところとか、自分と同じところとか、読み進めて、たくさん見つけていく中で、改めて、「自分は、これまでどういう考え方をして生きている人間なのかな」とか振りかえったりもして、とても有意義な時間だったなと思います。実は自分は、自分が思うよりも、かたくて真面目な生き方をしていたのかもしれません、どうだろう。そんなことを思いました。

phaさんの別の作品も読んでみたくなりました。素敵な作品をありがとうございました。(了)

↓出版社のサイト内の作品紹介のページ貼っておきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?