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『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』から徹底される、エロゲ業界の生々しさ(第1話感想)


◆若木民喜先生

16bitセンセーション ANOTHER LAYER』というアニメの第1話を視聴した。

https://www.nicovideo.jp/watch/so42843594

元々視聴する予定はなかった(というか今期アニメを全然下調べしていなかった)のだが、美少女ゲーム、つまるところエロゲが題材と訊いて断然興味が湧いてきた。察しの通り、ぼくはエロゲが好きである。
というか、「そういや同名の漫画があったなあ」「えっ!?これ「エロゲカウントダウン」管理人の若木民喜先生じゃん!!」というわけで、なぜスルーしていたのか自分を小一時間問い詰めたくなった。

若木民喜先生は、2010年にアニメ化もされた『神のみぞ知るセカイ』をかつてサンデーで連載していた方と言えばピンとくる方は多いのではないかと思われる。いやもう10年前の漫画にピンとくるのはむつかし10ねんまえ!?うせやろ!?

最近は実写ドラマ化され完結したばかりの『結婚するって、本当ですか』(スピリッツ連載)のほうが有名かもしれないが、個人的には初連載作品である『聖結晶アルバトロス』が一番思い入れがある。ヒロインがかわいくて大好きだったんだよ!打ち切られたけど!打ち切られても仕方ないくらい後半グダってたけど!第1話はワクワクしたんだよ!少年漫画のワクワク感とかわいい女の子の悪魔合体が好きだったんだよ!

………で、そんな若木先生は『聖結晶アルバトロス連載前は「エロゲカウントダウン」というエロゲレビューサイトを運営していたらしい。主に汁ゲーを趣向としていた。らしい。汁ゲーとはたぶん抜きゲーなのだろう。

らしいらしいって、そんな全く根拠がない話をされるのはスゴイシツレイではないかということは自覚している。当時のぼくはまだ心が穢れていなかったので、なんのことだかよく分かっていなかった。というかエロゲのHPを閲覧してはいけない18歳未満のキッズだったし。ふくしの…大学?に通っているとか誤魔化すのは無理がある体躯だったし。

ただ、それが発覚したアルバトロス連載時代(2005年末あたり)から2chのスレではエロゲカウントダウン管理人だと分かっていながらも別人扱いされていた記憶がある。要はまあ、深く触れてはいけない暗黙の了解ってわけだな。大場つぐみ=ガモウひろし、工藤新一=江戸川コナン、種崎敦美=桐谷華くらい重要である。

で、本作。
美少女ゲームが題材というわけで「まさか…」としか思えなかったのだが、以下の対談を見てみると…

やっぱりエロゲカウントダウン管理人なの隠す気ないじゃん。
ガモウ先生がデスノート描いたのわざとバラしたみたいじゃん。

◆2023年⇒1992年

素敵なサムシングカモーン

第1話の感想としては、話はまだ面白いとは感じられない導入回なのだが、興味深さが爆発的に凄まじかった。きっとインターネット老人会のみなさんも当時のことを懐古しているに違いない。とても楽しそうだ。かくいうぼくもインターネット老人会に片足突っ込んでいるのをそろそろ自覚すべきな気がするが。心は永遠の十七歳です。
2023年から1992年へタイムスリップしてしまったというよくある話だが、若木先生は相当のエロゲーマーだから当時の様子はきっと詳しいに違いない。その点興味深く視聴していきたい。

90年代のエロゲについては全然詳しくない。
というか、その時代からエロゲなんてあったの!?と軽く衝撃を受けていた。
この第1話で登場した『同級生』という、エルフが手掛けたエロゲ自体はどこかで名前だけ聞いたことがある程度だったのだが、それが本作の舞台となる1992年に誕生。早い。『高校鉄拳伝タフ』の一年前に誕生なんて…刺激的でファンタスティックだろう?

フロッピーディスク9枚組ってまじかよ…インストールにどんだけ時間かかったんだろうか。

因みに軽く自己紹介しておくと、ぼくはエロゲ好きと上述しつつも、年4,5本くらいしか買っていないし、全然詳しくない。にわかの類だ。流石にフルプラ1本1万なので、そうホイホイ買えるわけがない。あとぼくは抜けないエロゲは笑えないギャグ作品ばりにきびしいので、匠の眼を使って見抜いている。…まあ絵柄が好みとかにもよるのだが。
初めて買ったエロゲはminoriの『夏空のペルセウス』です。あれはもうドチャクソシコすぎるおっぱいゲームで、猿のようにシコっていた。11年前のエロゲだが、今でもシコっているくらいシコリティは半端なく高い。最高のズリゲー。minoriが解散しちゃったのは本当に残念だった。
好きなメーカーはま~まれぇど、CRYSTALiA、Qruppoです。いちゃらぶゲーが好きです。エロゲである唯一性を全力で活かしたものが好きです。別にCS移植前提でも構わないんだけどさ。

◆生々しさがあるエロゲ会社

本作が生々しいマジ感をまず煽らせてくれたのは、『催眠人妻サロン』という4,500円のミドルプライスなエロゲ。明らかに抜きゲー。凌辱と純愛のあいだを揺らいでいるのだろう。催眠させちまうけど純愛には走る、でもこれでいいのか的な罪悪感がありそうだ。

めっちゃわれわれの世界にもありそうなマジ感が凄まじかった。人妻催眠モノでミドルプライスってどこかで見たことあるわ。まじあるあるだわ。回想10枠は最低用意されているのが想像できる。「ブルーベル」というエロゲブランド名も架空でありながら絶妙にありそうだった。というか、似たような名前をどこかで聞いたことがあるような…

ミドルプライスとは、これが正しいとは言い切れないがだいたい4,000~7,000円代のエロゲー。フルプライスは8,000~10,000円代。値段から分かる通り、ミドルプライスは「フルプラほどボリュームはないし攻略ヒロインも2~3名に絞っているが、フルプラに負けない出来」といった印象。ちなみにあの『ママとの甘い性活Ⅱ』がソレに該当する。

絵は重要ですよね

やはりこの世界でもエロゲが全然売れていない冬の時代。
この会社の雰囲気はあまりよろしいとは言い難く、作中でも「廉価版ゲーム一直線」「零細美少女ゲーム会社」「絵柄が古い」と述べられていた。ギリギリ生き残っている老舗のエロゲメーカーなのだろうか。正直自分の中でどこなのか特定できてしまった…
いちおう19時定時で普通に退社してもいいみたいなので、そこまでブラックではないようだ。メイン絵師は普通に残業していたのは、まあ…

しかしコノハちゃんは「フルプライスの大作を作りたい」と理想を語っていたが、この抜きゲー特化な会社にしか就職できなかったのだろうか?ゆずやサガプロのような大手はやはりきびしかったのだろうか?まあ、ある程度キャリアを築いてから他社参戦する手もアリだろう。たとえ今の会社がカテエラとしても、だ。
とあるエロゲ原画家が昔は外注塗りが貧弱なロープラ抜きゲーばかり手掛けていたのだが、今では大手にして老舗のいちゃらぶゲーの原画を担当し、良い塗りに当てられたケースがあるからな。そういうめでたい出世例がある。

◆100円エロゲ

100円ライターは関係ないだろ!いい加減にしろ!
そんなことを言っても恐らく通じる人は500億人中一人しかいないだろうな。いやぼくもそんなに分かっていないんですけどね。

現在はヘブバンが大ヒットのKeyの処女作『Kanon』が100円。
今年ニンスイ版が出たばかりなんだぞ!?と言いたいのはぼくもやまやまなのだが、なにせオリジナル版が1999年発売だからもう24年前である。うぐぅ。
しかし今では健全な泣きゲーの印象が強い『Kanon』にソフ倫ステッカーが貼られていると変な気持ちになれるな。『CLANNAD』がエロゲだと勘違いされていたのもとうの昔の話。あと便座カバー。

『同級生』や『こみっくパーティー』等、如何にもな20世紀のオーラをまとわせる作品に混ざる『未来ノスタルジア』のパッケージ。これも100円だとかちょっと待てよ!!
だってコノハちゃんが今年5月に発売されたパープルソフトウェア最新作『ハピメア REGRET END』を購入した後にこれなんだよ!すごい仕打ちだよ!パープルソフトウェアはよくそんなの許可したな!!「うちのゲームは中古だと100円にされています」と言い切ったようなもんだよ!『未来ノスタルジア』もズリキチにはたまらないゲームだろ!100円以上の価値はあるだろ!

だが『未来ノスタルジア』は2011年のエロゲだし、『ハピメア』はオリジナル版が2013年と10年以上前なので、あながちそうなってもおかしくない。そういうのも生々しい話である。えっ、『ハピメア』ってそんな前だったの…????

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すごい数の協賛が集まってきている

ぼくは「当時はこんなんでした」という歴史的資料の側面を兼ねた作品は興味深くて大好きなので、ぶっちゃけそっちをメインのおたのしみとして視聴してしまうかもしれない。現に今後の方向性がまだ釈然としていないのもあるのだが、まあ一緒にゲームを作りつつ元の時代に戻る手段を探すのだろう。この手のタイムスリップ系ではおやくそくだが、スマホどころか携帯電話もない、ある意味人生縛りゲーなのも興味深い。

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