違いを「分かる」人から「楽しめる」人へ

教育現場で働くようになり、早1ヵ月半。

教育実習という短期間で触れた学校という場所は、非常に奥が深いもので、授業だけではない、さまざまな仕事が詰まった場所だったのだと身をもって実感した。

朝は、6時頃に起き、帰りは21時を過ぎる。当初は、困惑したこのワークスタイルにも徐々に慣れ、同じように見えて何が起こるか分からない日常を楽しんでいる。

一昨日のこと。

前日に働き始めてから最短となる17時に退勤し、18時に帰宅した。少し仮眠を取るつもりで入った布団で、気づけば深夜2時。疲れも溜まっていたのだろう。

そこから朝まで授業作りを行い、6時頃学校へ向かった。

しかし、朝早く起き過ぎたせいか、眠気に襲われてしまう。

「これはまずい」と自動車税を支払うつもりで寄ったコンビニで、100円のホットコーヒーを買った。おそらく質もそこまで高くないであろうし、大学生の頃にも何度も飲んだものだ。

しかし、これがとてもとても美味しかったのだ。

僕は、休みの日にカフェやコーヒースタンドに行って、美味しい珈琲を飲んで時間を過ごすことが好きだ。

評判も良く、こだわりのあるコーヒーは、なんとも言えず、日々の疲れた身体に、沁みわたる。コンビニの100円珈琲と、丹精込められた一杯の珈琲、どちらが飲みたいかと言われれば、間違いなく後者である。

だが、あのときの僕にとっては、100円の珈琲が1日を救った鍵だった。

無意識で「違い」に優劣をつけていた自分

美味しいものやこだわりの品々、1つ1つの仕事に手間暇をかけ働く人々。そういったものに触れるうち、大量生産されるもの、どこででも手に入れるものと比較し、後者に対して「劣」の感情を無意識に持つ自分がいた。

でも、僕は高校、大学とお金がない時期に、救われていたのも後者である。

「違い」が「分かる」ようになった今、コンビニのコーヒーを飲んで素直に「美味しい」、もちろんこだわりのコーヒーを飲んでも「美味しい」と素直に言える自分でありたいと思った。

どちらも「美味しい」と楽しめる人で良いじゃないかと。

一面的ではなく、多面的にモノを見ていこう

最近、授業で「ちょっと立ち止まって」という説明文を取り扱った。

3枚の「だまし絵」が用いられたこの教材は、一面的なものの見方ではなく、多面的にものを見ていこうという意図が込められた教材である。

僕は、その教材を締める授業として、1つ問いを用意して授業を行った。

「言葉を話すことが出来るのは、当たり前のことでしょうか。」

子どもたちの答えは、「当たり前ではない」というものが多かった。障害や病気といった要因、動物や赤ちゃんは話すことが出来ない、学校に通うことが出来ない国の人々は話すことは出来ないのではないか、さまざまな答えが出た。

一通り答えを聞いたあと、僕は自分の家族の話をした。

いつもやかましいぐらいに元気な生徒たち。そんな彼らの顔は、僕の話が進むにつれて、真剣味を増していった。その後、もう1度同じ問いについて考え、感想を書いてもらった。

普段は、あまり長文を書けない生徒が長く書いていたり、自分もこうしていきたいと今後の行動について書いている生徒がいたり。

遠い話ではなく、身近にいる人のなかにも、障害や病気で話せない人がいる。等身大の言葉は、年齢問わず人の心を動かすのだと感じた時間だった。

違いを「分かる」人から「楽しめる」人へ

授業を通して、言葉を話すことが出来る人々と話すことが出来ない人々の間に存在する「違い」について考えていった。

言葉を持つ者と持たざる者の間に存在する「違い」。僕の家族であれば、それは「自閉症」という「発達障害」が「違い」となる。

でも、僕は年を重ね、彼と過ごして18年が経つうちに、その違いを「分かる」段階から、「楽しめる」ようになっていった。

言葉がなければ、目を見れば良いし、行動から読み取れば良い。これは、長い時間を積み重ねた家族の特権であり、財産とも言えるもの。

僕は、その経験、財産を自分だけの特権として生徒に「還元」し、ともに考えることを「楽しんで」いる。そしてライターとして記事を書くことが出来ることも「楽しんで」いる。

さまざまな立ち位置から「違い」を楽しんでいくこと。これが今後の楽しみである。

違いを楽しむ人々の物語が集まる「soar」

僕は、「soar」というウェブメディアをお手伝いしています。「soar」は、全国の物語を届けるべく取材費を集めるクラウドファンディングを実施中。共にこの活動を広げていっていただけるのであれば、これ以上嬉しいことはありません。

どうぞよろしくお願いします。

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Haru.E

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