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保険会社にまつわる勘違い(付加保険料編)

こんにちは!はせたくです!

前回は保険会社が所有する不動産に関する解説をしました。

この記事は「保険会社は不動産を買って無駄遣いしている訳ではないんですよ」ということを伝えるために保有不動産額や賃貸料の額を取り上げてみました。

Twitterに上げたところそこそこの反響をいただき驚きましたので良かったらご笑覧ください。


前置きが長くなりましたが、今回は前回に続き保険会社にまつわる勘違いとして「付加保険料」を取り上げたいと思います。

付加保険料にまつわる保険会社批判について、「付加保険料は保険会社の利益」とか「保険は(付加保険料があるため)ATMに1万円預けたら手数料が引かれて6,000円しか返ってこないようなもの」だというものを僕は目にしたことがあります。

今回は「付加保険料が保険会社の利益なのか」を解説していきます。


早速答えですが、付加保険料は保険会社の利益ではありません。


付加保険料とは?

契約者が保険会社に対して支払う保険料のうち、保険会社の運営経費等に充てる部分のことを指します。

人件費や広告宣伝費、実店舗を出している場合にはその運営費用などがかかります。

保険会社は、契約締結や保険料収納、契約の維持管理など事業を運営していくうえで必要な経費をあらかじめ見込んで保険料の中に組み入れて回収しています。この割合のことを予定事業費率といいます。

付加保険料はこの予定事業費率を基礎として計算します。

一般的にこの付加保険料がいくらかというのは明かされていませんが、ライフネット生命が公表をしていますので参考まで。

▼ライフネット生命 保険料内訳表(代表例)


保険種類にもよりますが30%ほどの付加保険料がかかっているケースが多いようですね。

これだけ経費がかかっていると、保険契約者としてはちゃんと自分たちに保険金が支払えるだけの準備ができているのか心配になる気持ちはわかります。

ですがご心配なく。

保険用語に「収支相等の原則」というものがあり、「契約者が支払う保険料(収入)の合計」と、」保険会社が支払う保険金(支出)の合計」とが等しくなるように保険料を設定しなくてはいけない事になっています。

保険料は付加保険料の他に純保険料というものとで構成されていて、その純保険料は予定死亡率と予定利率という計算基礎を用いて設定されています。

予定死亡率

生命表を用いることによって年齢・性別ごとの死亡率をもとに将来の保険金の支払いにあてるために必要な保険料の計算をします。

予定利率

保険会社は契約者から受け取った保険料を将来の保険金の支払いに充てるために運用します。(これは前回の記事で取り上げました。)

運用によって得られる運用益の見込みを予定利率を用いて計算します。

つまり、たしかに経費はかかるもののその分将来に約束通りの保険金の支払いをするための準備をしっかり計画的にしているんだとご理解いただけたらと思います。

ちなみにこちらは、第一生命の経常利益の明細なのですが、2020年度の保険料等収入が2,285,471百万円で保険金等支払金が1,987,585百万円であり収支が概ね一致していることが読み取れます。(一致と言うにはちょっと無理があるかも。)


ここまで、付加保険料は経費であることや収支相等の原則についてお伝えしてきました。

では保険会社はどのように利益を上げているかですが、

どれだけ予定死亡率予定利率予定事業比率を用いて計算しても、想定していたより人が亡くならず保険金の支払いが少なかったり、運用がうまくいったり、経費がかからなかったり、上の表の通り想定していた収支との乖離が発生します。

これらの発生する差益のことを死差(危険差)益、利差益、費差益といい、その合計を基礎利益(三利源)と呼びます。

基礎利益は公開されていますが、内訳まで公開している会社、していない会社とがあります。

▼明治安田生命が公開していましたのでご参考まで。

保険会社はこのような差益を中心に利益を上げています。

決して保険料の◯%を粗利と見込むような利益の上げ方はしていません。


まとめ

今回の記事では付加保険料が保険会社の利益ではない事を中心にそれにまつわるお話しを共有させていただきました。

ご紹介したような仕組みで保険(相互扶助)の仕組みは運営されていますので、ご安心していただけたらと思います。

正直なところこのような仕組みを知らないで保険に対して疑心暗鬼になっている方は少なくないと思います。大切なお金を支払う訳ですし。

ですが、知らないからと言って在りもしない風説を思い込みで流してしまったり、知らずに意図的に自己の利益に誘導しようとしている人に加担してしまっている方も少なくないと思います。

このような思い込みや誤解はとても勿体ないですし、こうならないように本来リテラシーは必要なのだと思います。

どれだけの方の目にこのnoteが触れるか分かりませんが、ご覧いただいた方のお役に立ったら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます!

はせたく

P.S.
僕は元保険会社勤務ではありますが、バックオフィスの経験はないためこれ以上の詳しい情報は求められても出てこない可能性が大です。

あくまで公開されている情報で付加保険料=保険会社の利益ではない事の解説をした記事であるとご理解ください。(ガード文言)

【参考】
・第一生命 2020年度の決算について


・明治安田生命 2020年度決算(案)の概況


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