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チェックリストの功罪

チェックリストは便利です。しかし、チェックリスト運用には課題も多いものです。ビジネスの現場でチェックリストが果たす役割と問題点、それの改善策を書きます。

チェックリストのメリット

これは、実際にGoogleビジネスプロフィールの改善で使っているチェックリストです。チェック項目・概要・補足・重要度をわかるようにしています。上から順にチェックを入れ、問題があれば「これを改善したい」とメモしていきます。

こうしたチェックリストを使うメリットです。

1.抜け漏れを防げる。

頭の中だけでチェックを管理していると、どのチェックが完了して、どのチェックが未完了なのかが分からなくなり、漏れが発生してしまうことがあります。チェックリストがあれば、完了状況を可視化できるので、漏れを防ぐことができます。

普段チェックする機会が少ない項目は、リストで内容を思い出すことにもつながります。

さすがに当たり前やろと、手を抜いたときに限って、「そうはならんやろ」という問題が起こるものです。
チェックリスト形式にしておくと、手を抜かないで済みます(あるいは未確認というステータスを持たせられる)。

2.タスクを優先順位ごとに積める。

確認箇所は、「やるべき」ことでもあります。しかし、そのなかで、当然、ビジネスインパクトやリスクインパクトの軽重はあります。組織によって、やれる人がいるかどうか、リソースがあるかどうかは変わります。

先ほどのチェックリストでは、A〜Cまで優先度をつけて、「絶対にやったほうがいい」「やれる(やれる人)がいるならやったほうがいい」と付けています。

3.問題を可視化しておける。

取り組み期間が長くなったり、ステークホルダーが多くなると、問題の所在や大きさが曖昧になります。リストという叩き台があることで、問題を可視化して、それを俎上に議論できるようになります。

4.チェックスキルを横展開できるようになる

何をチェックするべきかをインストールできると、初心者でも確実に作業できるようになります。同じチェックを何件もやる場合や手分けしてやる場合にも、属人化の幅を小さくできます。

5.「問題ない」も可視化できる。

「気がついていないから何もしていない」と、「チェックして問題がないから何もしていない」のは、同じように見えます。できていることの把握はできていないことの把握と同じくらい重要です。

チェックリストの生み出す罪

一方で、チェックリストにはいくつかの問題点(罪)もあります。

1.チェックリストを過信してバイアスがかかる。

書いていないものを見落としやすくなります。創造性や臨機応変さが失われる恐れがあります。

2.定期的なアップデートが必要になる。

古くなったチェックリストは、むしろ害悪です。誤ったチェックや抜け漏れを増やしてしまいます。

3.チェックリストのためのチェックリストになるリスク。

チェックリストは、作成者と利用者の距離が遠くなるほど、形骸化します。「なぜそれをチェックすべきか?なぜチェックリストを使うか?」が、失われていきます。

古いリスクや精度の低いリストの場合、問題はいっそう大きくなります。

一見役立ちそうに見えるが実用性が低く見せかけのチェックリストになれ果てたリストは少なくありません。

4.工数が増えるリスク。

これは抜け漏れを減らそうと、長大なリストになった場合に起こります。チェックリストは大体、アップデートのたびに長くなっていきます。

チェックリストが多ければ、その分チェックする工数も増えます。リストが長くなると、1件あたりのチェックも浅くなることも多く、問題の発見につながりません。形骸化したリストだったら、デメリットはより悪化します。

罪に、抗う

これらの課題を小さくする策を最後に紹介します。

1.定期的な見直し・メンテナンス、利用者の意見を反映させるプロセス。

どれくらいの更新がどのタイミングで必要になるかは、チェックリストの性質によって変わります。更新を頻繁にできない場合は、「タイムスタンプ(更新日時・更新内容)」だけでも明記しておきましょう。古いものかどうかを利用者が判断できます。

利用者が感じた疑問や誤りを制作者にフィードバックし改善するプロセスがあると、自然とチェックリストが新鮮で実用的なものであり続けます。

2.チェックリストに頼りすぎない。チェックリストは支援ツールとして

チェックリストはそもそも何のために必要か。

それは、問題を発見する、あるいは、問題がないことを発見するためです。チェックリストを使う目的を忘れないようにしたいものです。

ただ、「チェックリストを考えながら埋める」のは、なかなか難しい行為になるので、チェックリストを埋める時間と考える時間とは分けておく方が無難です。

3.チェック項目の根拠となるデータや説明を補足しておく。

チェック項目には、項目に入れた根拠や説明の補足を入れておきましょう。

例えば、「口コミは10件以上」というチェック項目があったとします。それが「なぜ10件を良しとするのか→10件以上だとコメントが表示される」と補足を記載しておくと、アップデートの際にも役立ちますし、チェック項目が間違っていた際に、指摘しやすくなります。

分かりにくい項目や誤解を招きやすい項目は、その定義や詳細説明を書いておくと、誤用されにくくなります。

4.この項目の必要性とアクションを書いておく

これはチェックリストのためのチェックリストを防ぐのに有効です。リストによって問題があった際に、「では、どうする?」に意識が向かいやすくなります。問題へのアクションがなかったり、実用性の高いアクションがなくなってしまった問題はリストから外すことも検討しましょう。

5.項目数が多いこと自体に価値を置かない。

もしかしたら、これが最も重要かもしれません。「項目が多いこと自体に価値を置かない」のは、リスト利用者・制作者の両方が気をつけないといけないポイントです。

リスト制作者のやりようによって、リスト項目はいくらでも増やせてしまいます。

しかし、ニンゲンは項目の多いリストの方に有益性を感じます。

例えば、「SEOの15のチェックリスト」よりも、「SEOの52のチェックリスト」の方が、品質の高いリストに見えます。

項目が多くなれば、チェック工数も増えます。重要な問題に気が付きにくくなるし、優先順位づけも難しくなります。

仮に、長いリストと短いリストとが同じ効果を生み出すとしたら、実は「短いリストの方が有益」です。リストのアップデートの際には「削る」のも勇気を出して選択していきたいものです。


コンテンツマーケティングや広告では、コンテンツやプロモーションの手法の一つとして、チェックリストの展開が多いです。利用者・制作者の両面で、こうしたチェックリストの功罪に気をつけて活用していきたいところです。

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