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全131サイトの雑誌媒体Webメディアの2018年度PV推移データと成長メディアを紹介します

日本ABC協会という団体が、雑誌媒体社のメディアのPVの調査を行い、四半期ごとに発表しています。ただ、そのデータは、推移が分かるものではありません。そこで今回、過去発表された4四半期分のデータを整形・統合して、1年間通してのPV推移が分かるデータを作りました。

※2019年9月29日追記:2019年度4月~6月データを追加して更新

メディアや広告を運用されている方のご参考になれば幸いです。

そして今回このnoteでは、その131の媒体の中から、
1.自社PVが成長しているメディア
2.外部PVが成長しているメディア
3.自社PVが縮小しているメディア

の3つでいくつかのメディアをピックアップ!そして、そこから何となく見えたTIPSを紹介していきます。※あくまでも個人的な一意見としてご査収ください。

日本ABC協会データについて

今回もとにしたデータを発表している「日本ABC協会」は、新聞、雑誌、フリーペーパー等の発行社からの部数報告を公査し、その結果を公表する活動を行う業界団体です。

ABC協会は、第三者として、部数を監査(公査)し認定しています。この認定された部数がABC部数です。対して、公称部数(自称部数)とは、ABC協会に参加していない発行社が自社発表しているもので、数倍から10倍以上の部数を自称している場合があります。
ABC部数とは | 日本ABC協会

データに含まれる指標について

データに含まれてる指標は、メディア名・カテゴリ・サイト会員数・自社UU(月間訪問者数(3ヶ月平均))・自社PV(自社サイトの月間閲覧ページ数(3ヶ月平均))・外部PV(外部配信先)での月間閲覧ページ数(3ヶ月平均)の6つです。

※外部配信先:グノシー(ルクラ・ニュースPASSなど、グノシー運営の他サイトも含む)、スマートニュース、TRILL(Yahoo!ビューティーも含む)、Yahoo!ニュース、LINEアカウントメディア

注意点
公査されているといえ、各社が自主的に報告した数字がベースとなるため、例えば「Botや社内アクセスを除外する」など算出基準が不明です。また、サイトによっては、PVを増やすために「記事閲覧の前に1クリック必要」「ページ分割が多い」などの施策を行っていることもあります。そのため「A社よりB社のサイトのPVの方が多い」などの考察は今回行っていません。

自社PV成長メディア10選

そんな日本ABC協会のデータを4半期分つなぎ合わせて、推移をまとめました。その中から一年間通して継続的に150%以上の成長をしていた10個のWebメディアを成長メディアとして紹介します。

1.GetNavi web ゲットナビ

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2.ザテレビジョン

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3.コミックウォーカー

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4.MEN'S NON-NO WEB

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5.Smart FLASH

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6.andGIRL

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7.non-no Web

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8.LEE

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9.Milly ミリー

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10.暮らしニスタ

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ドメイン単位でのリンクビルディングは有効

さて、これらのサイト、色んな考察が可能ですが、今回気になったのが、nonnoとLEEです。この2つは集英社の8つの女性誌のサイトの2つですが、どちらも「hpplus.jp」というドメインのサブドメインで運用しています。

おそらく「hpplus.jp」のメインドメインに被リンクを集中させることでサイト評価を上げる戦略なのではないかと思います。実際に、ドメインパワー/被リンクチェックツールを使ってみたところ、以下のような結果でした。

■hpplus.jp:参照ドメイン7,151件 被リンク数857,802件 ドメイン被リンク平均120件
■競合(withonline):参照ドメイン数1,009件 被リンク数1,009件 ドメイン被リンク平均127件
(※2019年7月15日時点)

メインドメインでの評価がサブドメインにどこまで影響するかは検証不足ですが、PV推移だけ見ると、その影響は大きそうです。

また同様にリンクビルディング戦略を取っていると伺ったことがあるのが、暮らしニスタです。暮らしニスタでは、優良ドメインを持つサービス(大手メーカーなど)を取材した際に、戦略的に被リンク設置を提案しているそうです。

■暮らしニスタ:参照ドメイン1,161件 被リンク数129,398件 ドメイン被リンク平均111件
■競合(OTONA SALON):参照ドメイン数701件 被リンク数118,305件 ドメイン被リンク平均1168件
(※2019年7月15日時点)

ここで注目したのは、参照ドメイン数です。リンクビルディングは、一歩間違えれば「ブラックハットSEO」と言われるグレーな手法につながります。そのため現在、検索エンジン側でも「単純な被リンク数だけではなく、リンク側のサイト品質やドメイン数も見る」のが評価基準と聞いています。

今回、注目した「hpplus.jp」「暮らしニスタ」は、1ドメインあたりの被リンク数が少ないことが共通としています。単純な被リンク数ではなく、ドメイン単位での正当なリンクビルディングはサイト評価を上げるうえで有効と言えそうです。
(具体的な戦術については、暮らしニスタの運営会社がセミナーなどで公開しているので、興味のある方は参加されてみることをおすすめします。「セミナー一覧 | プロモニスタ」

外部PV成長メディア3選

1.mi-mollet(ミモレ)

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2.暮らしニスタ

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3.LEON

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外部配信を増やすポイントはBR(直帰率)を下げること

外部配信で数字を伸ばしているメディアに共通していたのは

1.「サムネイル画像」と「ファーストビューの画像」が一致していること
2.リード文をしっかり作りこんでいること

でした。

外部PVの成長メディアに触れる前に、外部配信のアルゴリズムを少し紹介します。外部配信メディアの代表格である「SmartNews」は、特に着目している指標に「記事のクリック率」「直帰率」の2つを挙げています。

(参照:SmartNews Engineering Blog「スマホの画面で記事をよりよく読んでもらうために」

SmartNewsでは、PV 発生後 5 秒以内の SmartView(記事詳細)からのユーザーの離脱を「直帰」、記事の全 PV の中で、5 秒以内の PV が占める割合を「直帰率(BR)」と定義されています。

そして私自身が以前関わった案件で「クリック率(CTR)は高いが、直帰率(BR)も高い」メディアは、配信が少なくなることが検証できています。つまり外部配信において、一過性のPVやCTRよりも「直帰率が低い=良質なメディア」と評価され、配信が増える可能性が高いです。

直帰率を下げるにはサムネ詐欺にならないこと

ユーザーは、一覧に表示された情報から、記事詳細にどのようなサムネイルが表示されているのかを想像しています。 そのため期待していたサムネイルが記事本文にないことが離脱の原因になります。また文章の書き出しは、このユーザーの想定を裏切らないことが前提になってきます。

ニュースアプリを見るユーザーは、特定の話題やサイトを見に来ていません。一覧と記事詳細のファーストビューにギャップがあると「意図した興味が満たされないリスクの高い記事」と離脱されます。

外部配信で数字を伸ばしているメディアに共通していたのは

1.「サムネイル画像」と「ファーストビューの画像」が一致していること
2.リード文をしっかり作りこんでいること

でした。

サムネ詐欺にならないことが重要です。PVを伸ばすために一瞬のCTRを重視してしまうことは大きなリスクになります。具体的にどう改善するのかのチェックポイントは改めて別のnoteにまとめていく予定です。

自社PV縮小メディア

1.ウォーカープラス

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2.web Sportiva

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3.週刊女性PRIME

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不調の原因は「ウェブメディア用にコンテンツが作られていない」こと?

このなかから最も減少率の大きいsportivaに注目しました。ここも集英社のサイトなので、先ほどの女性誌サイトと同じサブドメイン戦略をとっています。(ただし、なぜか女性誌以外のサイトはサブドメインだったり、サブドメインじゃなかったりと戦略が統一されていません…。何か社内事情があるのかもしれません)

sportivaは先ほどの被リンク数だけ見ると、超優秀です(参照ドメイン2,199件、被リンク数213,526件、ドメイン被リンク平均91件)。ですが、自社PVは減少傾向です。

サイトの表側を見ただけですが、分かりやすいところでは以下の2つが原因なのではないかと考えました。

1.紙コンテンツベースでWEBコンテンツを作っている
2.カテゴリに戦略性がない?多すぎる?


📝1.紙コンテンツベースでWEBコンテンツを作っている?

Sportivaは以前は雑誌媒体でしたが、現在はWEBがメインになっているようです。

「当初は月刊誌で、毎月25日に発売されていたが、2010年4月25日発売の6月号をもって定期刊行を停止した。その後は不定期でオリンピック特集号などを刊行するとともに、Web版の運営を続けている」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Sportiva

しかしサイトの説明は「集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva」と紙メインの説明になっています。あくまでも想像ですが、紙の編集部やライターの方が、WEBコンテンツを作っているのではないでしょうか。そのため「タイトルがWEBコンテンツっぽくない」「リード文がない」などの傾向があります。「リード文」が重要視される外部配信PV数も減少しています。

📝2.カテゴリが多いが、戦略的に構造化されていない?

成長メディアで紹介した「GetNavi」と比較してみました。

【カテゴリページ】
(spotiva)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/
(GetNavi)
https://getnavi.jp/cuisine/

【記事ページ】
(spotiva)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2019/07/15/fc_4/
(GetNavi)
https://getnavi.jp/homeappliances/403262/

spotivaのコンテンツの最初のディレクトリは「/clm」で統一されて。そして、第二階層以下で約30近いカテゴリ分けがされ、一見正規化さるたURLルールがありません。

「カテゴリ分けはWebサイトのわかりやすさに直結するもので、SEOにも影響します。論理的にコンテンツを分類し、階層構造を構築することが必要不可欠です」
「カテゴリ分けが不適切でわかりにくい構造をしていると、コンテンツが優れていたとしてもコンテンツの関係性やWebサイトにおける位置づけなどを正しく理解してもらえなくなってしまいます」
SEOに効果的なカテゴリ分けとは?|アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ

URLルールから考えられるのは「検索エンジンにサイトの魅力が伝わっていない」「カテゴリが多すぎて、どんなサイトが伝わっていない」可能性です。専門特化したサイトが増えているなか、カテゴリが多すぎると、ユーザーの印象・使い勝手にもマイナスになることが多いです。

今回のまとめと今後書いていくこと

今回のまとめ

📝自社PVが成長しているウェブメディア

・GetNavi web https://getnavi.jp/
・ザテレビジョン https://thetv.jp/
・コミックウォーカー https://comic-walker.com/
・MEN'S NON-NO WEB https://www.mensnonno.jp/
・Smart FLASH https://smart-flash.jp/
・andGIRL https://www.andgirl.jp/
・non-no Web https://nonno.hpplus.jp/
・LEE https://lee.hpplus.jp/
・Milly ミリー https://millymilly.jp/

📝外部PVが成長しているウェブメディア

・mi-mollet https://mi-mollet.com/
・暮らしニスタ https://kurashinista.jp/
・LEON https://www.leon.jp/

📝自社PVが不調なウェブメディア

・ウォーカープラス https://www.walkerplus.com/
・web Sportiva https://sportiva.shueisha.co.jp/
・週刊女性PRIME https://www.jprime.jp/

📝好調・不調サイトから見るPVを上げるTIPS

・自社PVを伸ばすのに、正当なリンクビルディングはまだまだ有効
・外部PVを伸ばすには、サムネ詐欺のリスクを減らすこと
・カテゴリ分けで改善できる可能性があるかも。カテゴリールールはサイト開設時に決めておくこと

📝今後書いていくこと

今後も今回作成したWEBメディア指標をもとに、角度を変えた考察を続けていく予定です。Twitterでは、より細かいアイデアや発見を出していきますし、まだ勉強不足のところも多いので、この記事を読んでご意見などいただけますと嬉しく思います。

※2019年9月29日追記:2019年度4月~6月データを追加して更新

メディアを運用されている方や広告を運用されているマーケターの方の参考になれば幸いです。

いつもサポートありがとうございます!サウナの後のフルーツ牛乳代か、プロテイン代にします。「まあ頑張れよ」という気持ちで奢ってもらえたら嬉しいです。感謝。