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SPA!の「ヤレる女子大生ランキング」に関する雑感

正月が明け、いまいちTwitterのモチベーションが上がらず、私もTwitterを辞めようかなーと思っていた矢先、SPA!の「ヤレる女子大生ランキング」が炎上している事を知りました。最初のうちはそれほど食指が動かなかったのですが、SPA!に対して記事の撤回と謝罪を求める抗議サイトが何万もの署名を集めていることや、ツイフェミたちがこぞって賛同していることなど、色々と狂ってるなと思い、少しずつツイート・リツイートを行うようになりました。

この手の問題でいつも思うのは、SNS上の炎上如きにビビっていたら何も表現出来なくなってしまう。ということです。署名が何万も集まったら流石に無視は出来ないのかも知れませんが、所詮SNS炎上の延長に過ぎません。SPA!は「女性をモノ扱いしていた」と謝罪してしまった様ですが、これは良くなかったと思います。痴話喧嘩をしている最中は相手に何を言っても火に油であるのと同じように、この手のタイプも相手が隙を見せたら素寒貧になるまで因縁をつけてくるでしょう。なので最初が肝心なのです。今回の場合は「この度は、貴重なご意見をお寄せいただき誠にありがとうございました。今後とも引き続きご支援お願い申し上げます。」等と当たり障りの無い言葉で適当にあしらい沈静化するまで放置すれば良かったのではないでしょうか。こういうことを言うとトーンポリシングだの何だのと怒られてしまいそうですが、生理的な快不快に過ぎない要求までマトモに取り合う必要はありません。

キズナアイ炎上の件が分かりやすいですね。

2018年10月上旬、キズナアイはNHKのノーベル賞解説の聞き役として起用されましたが、その性的なコスチュームや女性は理系が苦手というステレオタイプに基づいた配役(実際はそんな事も無いのですが)に関してツイフェミたちに目を付けられ炎上しました。しかしNHKはこの炎上に関しては何の反応も示さないまま、その後も性的なVTuberを起用し続けました。その結果どうなったのかと言うと

ツイフェミはキズナアイのことなんて完全にスルーするようになりました。

ね、簡単でしょ?

性的なVTuberがNHKに起用されることが本気で社会的に問題だと思っているのならBS1スペシャルのリポーターとしてミライアカリが起用されたことや、正月に放送された「バーチャルのど自慢」にも抗議すべきでしょう。でもやらない。

つまるところ社会を良くしたいのでは無く、お手軽に「褒められたい」「共感されたい」「達成感を得たい」という利己的な欲求に過ぎないからではないでしょうか。

要はSNS上の炎上なんて、大半はお仲間同士の「いいね」争奪戦に過ぎないのです。主張が持続しない理由は、SNS上での話題のピークが過ぎているとか、相手にしてもらえないとか、人それぞれだとは思いますが、所詮その程度の主張に過ぎないのです。大した信念も覚悟もなく目新しい話題に食いついているだけなので、インスタにフォトジェニックな画像をアップするため人気店に行列を作る人達と大差ありません。インスタよりは「社会に物申す知的なアテクシ」を誇示出来るのかも知れませんが、生理現象に過ぎないので持続してもせいぜい1ヶ月というところでしょうか。逆に1ヶ月以上持続するなら少しは本気なのかな?という程度のものですね。

さて、そろそろ本題に入りますが、ここで重要なのは、署名だろうが炎上だろうが、その主張に公共性はあるのか?だと思います。今回の「ヤレる女子大生ランキング」の抗議署名についてはどうなのでしょうか。署名サイトの文章を抜粋しながら検証します。

まず概要は

「週刊誌および出版社による、女性の差別用語、軽視する発言を今後一切やめる他、今回の記事の撤回及び謝罪をお願いします。」

女性の差別用語とは? 軽視とは?
もしかして「ヤレる女子大生」のことを差しているのでしょうか。それこそヤリマンに対する蔑視なのでは?

確かにSPA!の記事にはヤリマンに対するミソジニー的な蔑視が含まれているのかも知れませんが「ヤリマン」を女性差別用語、軽視と主張する側にもミソジニー的な蔑視が内面化されている。これは、多くの著名人による抗議署名サイトに対する批判に共通して見られる内容です。

続いて

「こう行った発言により性犯罪に合う女性は後を絶ちません。」

主張が怪しくなってきました。何故かここで性犯罪の話に切り替わっているのです。その後も世界のレイプ事情の話を続けていて、それはそれで問題なのですが、今回のSPA!の記事とは全く関係がありません。ヤレる→レイプと短絡的に捉えているのでしょうか。何れにせよ悪質な印象操作でしょう。

SPA!の記事がレイプを推奨しているのなら問題ですが、当然合意の上での性交渉を差しています。お相手が嫌なら女性は普通に拒否すれば良いのです。女性の主体性を無視し、モノ化しているのではどちらなのでしょうか。SPA!の記事がレイプを助長するという意見に関しても私は否定的です。何故ならSPA!は世相を映す鏡に過ぎないからです。あくまでレイプする男が悪いのです。この件に関しては後ほど詳しく述べます。

続いて

「世界では2018年には女性が安全に中絶を得られる国が増えたり、女性が投票権を得て100年を迎えたり、サウジアラビアでは女性が運転できるようになったり、」

世界中で女性の権利が拡大されるのは素晴らしいことです。ならば女性の"性の自己決定"に関しても権利拡大を訴えるべきではないでしょうか。そう考えると「ヤレる女子大生ランキング」なんてのは侮辱でも何でもありません。極端な話「大学の偏差値ランキング」と同じです。女性の権利拡大を推進したいのであれば、「ヤリマン」を侮辱と捉える家父長的な日本の空気にこそ抗うべきではないでしょうか。主張に一貫性がありません。

そして最後の

「私達、女性は男性より下ではありません。」

そもそも問題となっているSPA!の記事はギャラ飲みアプリに関する特集です。ギャラ飲みアプリを使用する女性側に男をモノ(ATM)化している子はいないのでしょうか。「ギャラ飲み」「パパ活」などで検索すると男性をモノ化した女性向けの記事はいくらでもヒットしますよ?

私は女性も男性もお互い様だと思っています。「ヤリマン上等!」「金ヅル上等!」でも良いじゃないですか。誰もが最初は相手をモノ化するんですよ。何も分からない他人なのですから当たり前の話です。ルックスや出身校、年収や職種などで判断せざるを得ないわけです。よく知らない相手と性交渉したり金銭のやり取りを行うのも、知り合うための一つの手段でしょう。あえてモノ化する・される事で距離感を調整している面もあります。少なくとも私は、知りもしない相手からいきなり主体性のある個人として扱われる方が気持ち悪いです。

抗議署名サイトに掲載されている主張は大旨以上の通りです。個人的に一番問題かな?と思っていた大学の固有名詞を出していた件については、少なくともこのサイトには記載されていないようです。なので、これを見て最初に思った率直な感想は「え?こんな公共性のカケラもないお気持ち表明に何万人も署名しているの?」でした。あまりに軽率すぎませんか?

Twitterでも述べましたが、「ヤレる」という言葉だけでレイプ的なものを想像してしまい、思考停止に陥っているとしか思えません。脊髄反射的な署名なんて匿名でのネットリンチと変わらない。それどころか署名の方が自分の行為を社会正義と思い込んでいる分タチが悪いとすら思います。

話は少し逸れますが、Twitterで一つ興味深いことがありました。私がこの件に対するカウンターとして「マジでチョロい!理系男子を確実に落とす超簡単な恋愛テクニック」という女性向け記事を紹介したところ、予想外の伸びを見せ、図らずもこの記事がBIBLIOGRAPHYの人気記事1位になってしまうという珍事が起きました。雑なツイートだった為か沢山の反論リプも頂いたのですが、共通するのは「"ヤレる"は性暴力的だけど"落とす"は恋だから全然違う」というもの。

いやいや、どんだけお花畑なんですか。恋と言っても美しいものばかりではないし、逆に初っ端から性交渉に及ぶことをポジティブに捉えている人だっているでしょう。そもそも問題は記事が相手をモノ化しているかどうかですよね?「マジでチョロい!」と銘打っている記事が相手の主体性を尊重しているとでも思っているのでしょうか。何というか、こういった反論からも署名している人たちがどういう方々なのか透けて見える気がします。

逆に言えば、SPA!の記事内容が全く同じだとしても「落とせる女子大生ランキング」だったらここまで炎上しなかったということなのでしょう要はキャッチフレーズに引っ掛かってるだけなんですよね。でもそれって本質を見ていない言葉狩りに過ぎないんですよ。署名するならせめて言葉尻だけで判断するのではなく、もう少し内容を吟味してから行うべきなのではないでしょうか。

この署名では少なくとも記事の撤回と謝罪を求めているわけです。発信者はあわよくばSPA!を廃刊にまで追い込みたかった様ですが、いずれも軽々しく行って良いものではありません。「表現の自由」の大切さを軽視しすぎです。確かにSPA!の記事は女性に対する敬意に欠けていたのかも知れない。私も失礼だと思います。でも封殺して良いものではありません。むしろSPA!は世の中がそういったニーズに溢れている事を可視化する重要な監視装置でもあるわけです。この署名で行おうとしているのは、テレビに嫌いな芸能人が映ったからテレビを破壊してスッキリしようとするのと変わりません。

SPA!が今後そういったニーズに応えた記事を書かなければ問題は解決するのかというと、むしろ逆でしょう。私はこの記事によってギャラ飲みアプリなんてものを初めて知りましたし、ギャラ飲みアプリを使用している男性によって女子大が性的なランク付けをされていることも初めて知りました。こういう事実を知ることで始めて各々が取れる対策があるのでは無いでしょうか。女子大生の娘を持つ親の心配な気持ちも分かるのですが、だからこそ脊髄反射的に封殺するのではなく、むしろ記事を利用して娘に気を付けるよう促すことが大切だと思います。それによって娘がアプリに興味を持ってしまう可能性もあるかも知れませんが、それこそ女性の主体性を尊重すべきですし、何も知らないよりは遥かにマシです。SPA!に抗議した女子大も、抗議するのは結構ですが、同時に何故ランクインしたのか考えてみる必要はあると思います。

以上のような表現規制運動に共通するのは、いずれも「臭いものに蓋」に過ぎないことです。問題の根本的解決に繋がらないどころかむしろ悪化する。これこそが、私が表現規制に不寛容である理由です。出版社は自らの生命線である大切な表現の自由をこの程度の炎上如きで萎縮させるべきではありません。個人的には、情緒的に脊髄反射で署名してしまう人達よりも、そういう人達の要求を簡単に受け入れてしまう企業側の方が罪深いとすら思っています。「あなた方のためにも私達の記事は必要だ」と、逆に説教するくらいの気持ちで、毅然とした対応を取るべきなのではないでしょうか。

(後ほど加筆・修正するかも)

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